失敗しないブライダルネイルのポイントは?
結婚式の最中、花嫁さんの手元は予想以上に多くのゲストの視線を集めます。写真に撮られることも多く、結婚指輪がきらめく手のアップ写真は一生の宝物に。
だからこそネイルには力を入れたいものだけれど、ほかの準備に追われてあと回しにしがち。ブライダルエステに通い、ヘアメイクのリハーサルも終えてひと安心と思いきや、「ネイルのこと忘れてた、どうしよう!」なんて慌てる人も。そうならないためにも、事前にしっかり準備をしておきたいものです。
そこでここでは、ブライダルネイルの準備の仕方から失敗しないオーダーのポイントまでを、経験豊富なネイリストさんに聞きました。
お話をお聞きした方
ネイルまつ毛salon慧~kei~
オーナー nana.さん
美容師免許、ネイル検定一級、ジェル検定上級、まつ毛エクステの技術者ライセンスを有する。8年前に独立し、東京都狛江市にネイルとマツエクのサロンをオープン。ブライダルネイルも行う。サロンについて詳しくはinstagram(@_kei_nail/)にて。
Q.ブライダルネイルはどこでやるのがいい?
もちろん自分でやる人もいますが、結婚式前は何かと忙しくて手が回らないこともあるため、ブライダルネイルの経験豊富なサロンにお願いするのがおすすめです。
サロンなら、たとえば、「結婚式の前日に自分でマニキュアをしましたがなかなかうまくいかず、何度もオフしてやり直してたら、除光液で指先が荒れてガサガサになるし、睡眠時間が削られて目の下にクマができるしで散散でした」(Kさん)といった失敗も避けられます。
マニキュアの場合、完璧に乾くまでには半日以上かかります。サロンなら、保湿など指先のケアをしっかり行い、マニキュアが剝がれにくいよう爪の表面を磨いてベースコートを塗り、マニキュアのあとはトップコートでしっかり保護。こうすることで1週間はきれいな状態を保てますので、結婚式の4・5日前には余裕をもって行っておくといいですね。
マニキュアではなく、ネイルチップ(つけ爪)を使用する場合もあるでしょう。ただし、「ネイルチップを購入して両面テープで固定。市販のものだったので自分の爪の形に少し合わずに浮きやすく、挙式が始まる直前にちょっと引っかかったら簡単に取れてしまって。直すのに大慌てでした。その後もまた取れるのではとハラハラで、挙式に集中できずでした」(Aさん)といった失敗談もあるので要注意。サロンでネイルチップをオーダーすれば、自分の爪のサイズにピッタリ合うように調整してもらえるので取れにくいんです。また接着剤も、強力な両面テープやさらにしっかりと接着できるネイルグルーなどもセットで提供してもらえるので安心ですよ。
さらにネイルサロンなら、ストーンやラメをあしらったり、絵を描いたりといった手の込んだアートネイルもオーダーできますし、サロンでしかできないジェルネイルやスカルプチュア(後述)もできます。
Q.ブライダルにおすすめのネイルの種類は?
ネイルには主に以下のような種類があります。花嫁さんのなかには、職業柄ネイル禁止で式の前日まで仕事がある人、お子さんがいるパパママ婚のため家事や育児で爪を伸ばすことができない人など、それぞれに事情があります。そのため、自分の状況に合うネイルの種類を選ぶとよいでしょう。
●マニキュア(ポリッシュ)
- 自爪にネイル専用のカラー剤を塗る方法
- 乾くまでに時間がかかる
- 除光液で簡単に落とせ、爪へのダメージも少ない
- 自分で行うこともでき、費用も安く済ませられる
- 持ちは1週間~10日(サロンでやった場合)
●ジェルネイル
- 自爪にジェルを塗り、専用のUVライトで硬化する方法
- すぐに乾いて手を動かせる
- 厚みがあり、ツヤ感のある仕上がりに
- 専用の道具が必要なためサロンにて実施
- オフする際は、溶剤を浸透しやすくするためジェル表面を削り(このとき削りすぎに注意)、溶剤を染み込ませたコットンをのせ、アルミホイルを巻いて10分ほどおいてからウッドスティックでやさしく剥がしていくといった作業が必要。無理に行うと爪の層が剥がれてどんどん薄くなってしまうため注意
- 持ちは3~4週間
●パワーポリッシュ
- マニキュアとジェルの中間。ジェルよりもオフしやすいネイルを塗り、専用のUVライトで硬化する
- ジェルネイルと同様に速乾性やツヤ感がある
- 専用の道具が必要なためサロンにて実施
- オフする際は、ジェルと違って表面を削る必要はなく、溶剤を染み込ませたコットンをのせ、アルミホイルを巻いて10分ほどおいてからウッドスティックでやさしく剥がしていく。ジェルよりも爪が傷付きにくいのが特徴
- 持ちはジェルよりも短く2週間
●スカルプチュア
- アクリル素材を溶かして自爪の上で固め、長い人工爪を作ることができる
- 速乾性がある
- 長い爪を作ってから、その上にマニキュアやジェルネイルを行う
- 専用の道具が必要なためサロンにて実施
- オフはジェルネイルと同様の作業が必要で、爪を傷付けやすいため注意
- 持ちは3~4週間
●ネイルチップ
- 人工爪にマニキュアやジェルネイルを施したものを、専用の接着剤を使って自爪に着ける
- 市販のものもあるが、サロンなら好きなデザインをオーダーし、自分の爪の形にフィットするよう微調整も可能
- オフも簡単で、両面テープの場合はぬるま湯に指先を数分浸し、グルーの場合は専用の溶剤を塗って数分置き、粘着力が弱まって浮いてきた部分にウッドスティックを差し込んでゆっくり外す。無理に剥がすと自爪を傷付けるため注意が必要
- 持ちは基本的に1日
Q.ネイルサロンには式の何日前に行くのがベスト?
もし結婚式を挙げるホテルなどの中にネイルサロンがある場合、事前に打ち合わせをしたうえで時間に余裕があれば結婚式当日にネイルを行うこともできるでしょう。でも、街のネイルサロンに依頼するなら、マニキュアの場合は前述の通り4~5日前に、ジェルネイルやスカルプチュアの場合は7~10日前に、ネイルチップの場合は完成までに時間がかかるため3週間~1カ月前には訪問しましょう。
さらに言えば、できれば“ぶっつけ本番”は避けたいところ。初訪問のサロン、初めましてのネイリストさんでは、緊張や遠慮もあって自分の希望を言い出しにくいもの。そのため、ドレスやブーケが決まる3カ月前くらいには気になるサロンに足を運び、日常のネイルを行ってもらいながら信頼感を深め、ブライダルネイルについても少しずつ相談をしていくという流れがベストです。
ネイリストの側でも、普段のネイルを行うなかでその方の好みやライフスタイルを知っていれば、ブライダルネイルについても提案をしやすくなります。私の顧客のなかにも結婚が決まりブライダルネイルをオーダーしてくださる方がいますが、「結婚式前は本当にやること・考えることがいっぱいで、ネイルまで気が回らない。全部お任せしたい!」と言われることも多々あります。そのため、ブライダルネイルは挙式準備が本当に忙しくなる前に、余裕をもって取りかかっておくとよいでしょう。
Q.ネイルサロンに行く際に準備していくとよいものは?
最近は、ネットで探せばブライダルネイルの写真が溢れているので、自分がいいなと思った写真を保存しておいて、見せてもらいたいですね。写真がどんなにたくさんになってしまっても大丈夫ですし、この写真のこの指のネイルというようにピンポイントでも構いません。できるだけ情報をたくさんいただいた方が、その方の好みを把握できてありがたいです。
また、和装やホワイトドレス・カラードレスの写真、結婚指輪の写真、ブーケの写真(完成予想のデッサンや使う花の写真でも可)、さらに結婚式のテーマやふたりのこだわりなどについても教えていただけるといいですね。これらの要素をネイルのデザインの中に取り入れていくことも多いので。
たとえば上は、私が手がけたブライダルネイルのお客さんの写真(ジェルネイル)ですが、ホワイトドレスのレースに使われている柄を手描きしたり、カラードレスがオレンジ色だったのでラメやストーン、ビジューはややオレンジ色に寄せたものを使っています。カラードレスの色に寄せすぎてしまうとホワイトドレスの際に少し違和感が出てしまうため、どちらにも合うような淡い色を選んでいます。衣装のお写真は試着した際の全身の写真のほか、レースの柄などもわかるようなアップの写真を、光が当たる角度なども変えながら少し多めに撮影していただけたのでとても助かりました。
当店の場合はLINEでお客様とやり取りできるようなシステムにしているため、ドレスが決まった、ヘアメイクのリハーサルがあったといったタイミングで随時、写真を送っていただいてデザインイメージを膨らませていきました。また、こちらでストーンやパールなどのパーツを探しているなかでよいものがあればLINEで写真を送って確認いただくこともあり、お客様が心からご納得いただけるまでじっくりと準備。実際にマニキュアを施したのは1週間前でしたが、美しい状態をしっかりキープでき、晴れやかに当日を迎えることができたと喜んでいただけました。
Q.和装の場合のネイルはどうする?
和柄のネイルというと、ネットで調べても定番の模様しか出てこなかったりします。せっかくならやはり人とは違うネイルがしたいと言われる方も多いため、白無垢や色打掛けの柄に合わせたデザインをご提案することも多いんです。白無垢でも必ず柄が入っていますから、その部分が分かるように写真を撮ってもらっています。
こちらのネイルでは、色打掛けに使われているゴールドや草花の柄を取り入れてデザインしました。この方の場合、和装は前撮りだったため、和装にぴったりのネイルを行うことができました。もし結婚式当日に和装からホワイトドレス、カラードレスとお色直しをされる場合は、すべての衣装に合うようなデザインにした方が美しいでしょう。
または、それぞれの衣装に合わせたネイルチップを用意するというのもひとつの方法です。最近は、取れにくくて剥がしやすい接着剤も登場していますので、お色直しのタイミングでネイルチップを交換することも不可能ではありません。
ネイルチップなら、きれいに剥がしてウエディングの記念に取っておけるのがいいと言う方もいらっしゃいますよ。
Q.ブライダルネイルはどうやってオフするの?
結婚式のあと、二次会へ行くという方も多いと思いますが、ブライダルネイルのまま行かれる方がほとんどです。すべてが終わったら、マニキュアやネイルチップの場合は自分で簡単にオフできます。ジェルネイルやスカルプチュアの場合、専用の溶剤などを事前に準備しておき、正しいやり方に沿って行えば自分でもできますが、もし余裕があれば、ネイルサロンでオフしてもらうこともできます。ただし、オフしてもらって新たなネイルを施してもらう場合はよいのですが、オフのみは受け付けないというサロンもなかにはありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。