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ウエディングプランナーに聞く 最新!結婚式トレンド5

ようやくコロナ禍が落ち着き、結婚式も以前のように制限なく思いのままできるようになりました。これから結婚式を考えているカップルの中には、コロナの影響もあって結婚式への参列経験が少なく、自分たちはどんな挙式・披露宴にしたらいいかイメージできないという方も多いのでは?

そこで、いまどきの結婚式事情やトレンド、今後の予測について、ブライダルのプロに話を聞きました。お二人が心から満足できる結婚式を叶えられるよう、参考にしてみてください。

【取材にご協力いただいたのはこちら】

「ホテルベルクラシック東京」
婚礼部マーケティング・ソリューション部支配人・中根淳さん/婚礼部プランナー・松尾命さん/婚礼部プランナー・今井美沙さん

▲「ホテルベルクラシック東京」はJR山手線大塚駅から徒歩1分の好立地にあるワンランク上のホテル。地上51mの屋上にはガーデンチャペルがあり、緑や花々、青く澄んだ空に包まれ、都心とは思えない環境下でウエディングができると人気

「ホテルロイヤルクラシック大阪」
ウエディングプランナー・豊島愛香さん

▲「ホテルロイヤルクラシック大阪」は、大阪新歌舞伎座の跡地に2019年オープンしたホテル。歴史を継承する個性的な建物は、世界的建築家・隈研吾氏によるもの。木を基調にしたチャペルも和装にも洋装にも合うと人気

「ベルクラシック神戸」
ウェディングプランナー・池田翔子さん

▲「ベルクラシック神戸」は、三ノ宮駅のすぐ近くにある専門式場。白亜の建物、クリスタルがちりばめられたチャペル、そして水辺のある緑豊かなガーデンがあり、リゾート感たっぷり。季節限定でガーデンウエディングも行えます

結婚式トレンド①

“カジュアル” “アットホーム”をキーワードに
親族と友人だけのおもてなしウエディングが人気

社会全体でなにかと“多様化”が話題になる昨今。結婚式も「大人数の華やかな披露宴もあれば、家族だけの少人数パーティもあります。写真だけ残したいというフォトウエディングの需要も増えていて、多様化していることを感じます」と語るプロの方々。

そんな中でも、やはり主流になってきているのが「親族と友人だけを招いた40~60人規模の結婚式」とのこと。以前から“家族婚(ファミリーウエディング)”の人気が高まっていましたが、コロナ禍で“仕事関係者は招かない”という人が増え、コロナ収束後もそれがスタンダードになってきているようです。

このような流れを受け、会場を選ぶ際も、自分たちが好きな雰囲気で選ぶというより、アクセスが便利だったり、バリアフリー対応やゲスト更衣室、キッズスペースなど設備が整っていることなどを優先。ゲストにとって利便性のいい会場を選びたいという方が多いそう。また、年齢層の高いゲストにも気軽にくつろいでいただけるような落ち着いた内装だったり、眺望がいいなどゲストに楽しんでいただける要素がポイントになるようです。

▲親族と友人を招いた、50人前後のアットホームな披露宴が主流に(ホテルベルクラシック東京)

▲エントランスやロビーが広々としていて、ゲストをゆったり迎えられるかもチェック。高齢ゲストが多い場合は、車イスの用意やバリアフリーなのも会場選びの条件に(ホテルベルクラシック東京)

こどもが多い結婚式では、キッズスペースの有無も重要。写真のように、披露宴会場にスペースを設ける方法も(ベルクラシック神戸)

結婚式トレンド②

仏滅OK、親族中心なら“平日結婚式”もあり。
マタニティ婚やパパママ婚もスタンダードに

最近は少しずつではありますが、“結婚式は大安吉日が良く仏滅はNG”という考えが薄れつつあるようです。それでもまだ仏滅を選ぶ人は少ないので、式場によっては割引キャンペーンを実施していて、お日柄にこだわらない人にとってはかなりお得で魅力的。同様に平日も週末にくらべれば需要が少ないため、お得なキャンペーンが行われることも。会社関係を招かない結婚式が増える中、親族と親しい友人だけなら有給休暇を取ってもらいやすいため、平日昼の結婚式を選択する人も多くなっているようです。

タブーが少なくなってきているという意味では、“妊娠・出産と結婚式を行うタイミング”についても同様の傾向が。ひと昔前は、妊娠したら結婚式は“おなかが目立つ前にしなくちゃ”とか“安定期に入り、赤ちゃんが生まれてくる前になんとか挙げたい”といった考えの方も多かったものです。でも、今はマタニティ婚は普通になりました。誕生したお子さまと一緒のパパママ婚も一般的になってきています。

ここ数年はパパママ婚が急増していますが、その背景にはコロナ禍の影響も大きいよう。コロナ禍で結婚式を延期している間に妊娠・出産。コロナ禍が収まってから、お子さまも一緒に結婚式を行うケースが急増したのです。そんなパパママ婚に参列したゲストの中には、こどもも一緒の結婚式はとても微笑ましく幸福感に満ちていて、自分も将来、パパママ婚をやりたいと憧れる方もいたそう。

たとえばマタニティ婚だったら、安定期に入っておなかの赤ちゃんの性別が分かる時期に結婚式を行い、ベビーの性別当てクイズをやってみたり。パパママ婚の場合は、お子さまが演出に参加できる1~2歳になるまで、あえて時期を少し待ってから行うという方がいたり。選択肢がとても広がっているようです。「式場側でも実例のストックが増えていますので、ご相談いただければ“お子さまがこの年齢だったらこんな演出ができる”といった提案もどんどんできますよ」と嬉しいアドバイスもいただきました。

以前は、海外挙式を行ったあと、友人らを招いて帰国後1.5次会(結婚パーティ)を行うのが流行りましたが、最近は、妊娠中に親族中心の結婚式を行い、こどもが生まれ1歳になった頃に友人を招いて出産後1.5次会を行う人もいるそうです。

▲お子さまの年齢に合わせ、できる演出もいろいろ。ハイハイのリングボーイも、ドレスアップしてひとりで役目を果たしたリングガールも、見ているだけでかわいい!(ベルクラシック東京)

▲挙式時に二人の両親へ小さな箱をプレゼント。そこにはエコー写真があり、新たな命ができることをご報告。ご両親の頬には感激の涙が。タイミングが合えば、こんな演出もマネしたいですね(ホテルロイヤルクラシック大阪)

結婚式トレンド③

挙式スタイルは、教会式が定番ではあるものの
“人前式”も人気急上昇中で、半数に迫る勢い

少し前までは、“ステンドグラスが美しい大聖堂で、キリスト教式のしきたりにのっとった本格的な教会式”に憧れていた方も多かったのですが、最近はもっとカジュアルな雰囲気が好まれるよう。形式にとらわれず、自由度の高い挙式を希望する方が増加。そんな需要に合わせホテルや専門式場のチャペルも、厳かな雰囲気の本格的な教会のような内装ではなく、十字架を取り外し可能にして人前式の会場としても利用できるところも出てきています。

人前式とは、教会式や神前式・仏前式のように神仏に誓いを立てるのではなく、ゲストの前で結婚を宣誓し参列者全員に証人になってもらう挙式スタイルのこと。人前式には決まりがなく、誓いの言葉も自由ですし、好きな音楽を流したり個性溢れる演出を行うのもOK。パパママ婚の場合は、お子さまと一緒に宣誓したり、お子さまのほっぺに誓いのキスをしたりと、自由度が高いのが人気に。その人気ぶりは、人前式を選ぶ割合が教会式6割に対して4割、会場によってはほぼ5対5に迫る勢いで増えていることからも見て取れます。

ただし教会式もそれほど厳密でなくてOKという場合もあり、たとえば演出では、新婦のベールを母親がおろすベールダウンの儀式に加え、新郎がワイシャツとベストで入場後に新郎の父や母がジャケットを着せてあげるジャケットセレモニーといった新しい演出を取り入れる方も。お子さまがラジコンカーに乗ってパパママに指輪を届けるリングボーイやお子さまを抱っこして3人で退場なども可能ですので、まずは各式場のプランナーさんに相談してみてください。

そして、挙式後のアフターセレモニーでは、独身ゲストのみを対象に行うブーケトスやブーケプルズはすっかり影を潜め、お子さま連れのゲストにも全員に楽しんでもらえるお菓子投げなどの演出が人気だそう。

歩くと光るバージンロード。リングボーイ(こどもが指輪を運びます)や家族3人で退場時など、シーンに合わせ好きな色に変更可(ベルクラシック神戸)

▲新郎新婦のお子さまがリングボーイorガールに。頑張って運んでくれる姿を見てゲストからも笑みがこぼれます(ベルクラシック神戸)

▲アフターセレモニーでは、挙式の緊張感から解放されてゲストと歓談や写真撮影を楽しむ時間をたっぷりと(ベルクラシック神戸)

▲ラジコンカーでお子さまがリングを運んだり、誓いのキスではお子さまにキスを(ホテルロイヤルクラシック大阪)

人前式でゲストが足跡スタンプを押して署名、記念に残る証明書が完成(ホテルロイヤルクラシック大阪)

▲アフターセレモニーで行ったお菓子まきでは、お子さまも大喜び(ホテルロイヤルクラシック大阪)

▲新婦の母によるベールダウンの儀式(ホテルベルクラシック東京)に加え、ジャケットセレモニー(ホテルロイヤルクラシック大阪)を行うケースも

結婚式トレンド④

披露宴では、高砂席のない“ソファウエディング”が話題。
演出のメインは、ゲストと写真撮影&ゆっくり歓談

●披露宴の進行の定番といえば下記のとおり。
①新郎新婦入場 → ②高砂席に着席 → ③主賓の挨拶と乾杯の音頭 → ④ケーキ入刀とファーストバイト → ⑤お色直しで新郎新婦退席 → ⑥プロフィールDVD上映 → ⑦再入場 → ⑧テーブルラウンド(キャンドルサービスや写真撮影など) → ⑨ゲストの余興やスピーチ → ⑩親への手紙の朗読と花束贈呈 → ⑪新郎挨拶・退場 → ⑫エンドロール上映 → ⑬プチギフトを手渡しながらお見送り

この大まかな進行はひと昔前も今も変わりません。ですが、最近の傾向として“自分たちにスポットライトが当たるような演出は極力避けたい”“自分たちが目立つのではなく、ゲストをもてなし、ゲストにスポットが当たるようにしたい”という人が増えているようです。ゲストの人数が減って会場もその分狭くなったことで、まずは“高砂席”をやめて、ゲストの目線と同じ高さの“ソファ席”を選択する人も増えています。

高砂席をやめたことで、ゲストが二人の元を訪れやすくなり、カジュアルに歓談したり写真撮影したりする時間も長くなります。派手な入場演出や、ゲストの前でふたりが何かを行う演出はとにかくNG!というカップルも多いそう。そんな中でも唯一残っている演出がケーキ入刀。儀式っぽいものをひとつくらい残しておこうということなのか、ケーキ入刀だけはなぜかみんなが“必須”と考えているようです。ただし、その後のファーストバイトには、新郎新婦が両親や友人、お子さまに食べさせるサンクスバイトも取り入れることが多くなっています。

そのほか、仕事関係を呼ばないので主賓挨拶はなし。コロナ禍で、大声を出したり、事前に集まって練習をするなどができなかったことで、ゲストの余興もグンと減ったそう。今は、職場の忘年会などに参加するのを避けたいという人も多く、披露宴もそれと同じで、余興を頼むとゲストにとって大きな負担になると考え、余興やさらにスピーチも行わなくなってきています。逆に、プロフィールDVDやエンドロール上映など、ゲストの負担にならない演出は取り入れる人が多いようです。

▲ソファでゲストとたくさん写真撮影を(ホテルロイヤルクラシック大阪)。ゲストテーブルを回りながら歓談と写真撮影をゆっくりと(ホテルベルクラシック東京)

余興をゲストに頼むのはやめて、新郎新婦がゲストを楽しませるイベントを開催するケースも増加(ベルクラシック神戸)

こどもたちがウエディングケーキを運んでくるかわいらしい演出に、会場も大盛り上がり(ベルクラシック神戸)

▲こどもゲストが多い場合は、飽きないように簡易カメラを渡して撮影隊になってもらったり、お菓子のプレゼントを用意するなどの配慮を忘れずに(ホテルベルクラシック東京)

▲お子さまへのファーストバイト(ホテルロイヤルクラシック大阪)と母へのサンクスバイト(ホテルベルクラシック東京)

▲テーブルラウンドの際にゲストにフルーツを入れてもらう「果実酒作りラウンド」、右端はゲスト全員が色つきの砂を容器に流し入れ世界にひとつしかない唯一無二のサンドアートを制作。オリジナリティのある演出を取り入れて(ホテルベルクラシック東京)

▲二人の思い入れのある食材や故郷の特産品を取り入れるなど、オリジナリティのある一品でおもてなし(ホテルロイヤルクラシック大阪)

▲デザートのみブッフェスタイルにするケースも。コロナが落ち着いてきたことで徐々にブッフェも再開。ポップコーンメーカーを取り入れた人も(ホテルロイヤルクラシック大阪)

結婚式トレンド⑤

節約とこだわりどころのメリハリが効いた
憧れだけじゃない、地に足が着いた結婚式を

衣装については、以前から変わらず“白ドレスから色ドレス”“白ドレスから和装”というようにお色直し1回が主流。デザインのトレンドの変化はどんどん早くなっていて、今は細身のマーメイドラインと、逆に裾が広がっているAラインがよく出るよう。トップのデザインは、ナチュラルな雰囲気のオフショルダーやいまどきのパフ付きが流行りで、ヘアもゆるふわスタイルが人気とのこと。

▲パフ付きのAラインドレス(ホテルロイヤルクラシック大阪)とマーメイドライン(ホテルベルクラシック東京)

▲人気の編みおろしやダウンヘア(ホテルベルクラシック東京)

ブーケは、花の茎が見える花束タイプの「クラッチ」が圧倒的に支持されていて、ナチュラルなドレスやヘアにもよく合います。会場装花は、ここ数年のトレンドである“くすみカラー”が人気で、ドライフラワーや、すすきのようなパンパスグラスもよく使われるそう。花は大輪ではなく、カスミソウのような小さな花が選ばれる傾向が強く、緑の割合は多め。緑が多くなると、トレンドのナチュラルな雰囲気を演出できるからです。

▲クラッチのブーケ(ホテルロイヤルクラシック大阪)、カスミソウのクラッチブーケは特に人気(ホテルベルクラシック東京)

ゲストテーブルにはこんな小さな花をアレンジするのもおすすめ(ホテルロイヤルクラシック大阪)

ゲスト数の減少=会場が小さくなることで、ゲストテーブルの装花に背の高い大振りの花は不要に。花にお金をかけない代わりに、おもてなし料理にお金をかけたり、ぺーパーアイテムやウエルカムボードを手作りして節約する代わりに、ゲストへのギフトをこだわったり。「結婚式というと大きなお金が動く分、金銭感覚が麻痺し、つい予算オーバーになりがち。と思いきや、みなさん本当にしっかりされていて、こだわりたい部分にはお金をかける、それ以外の部分はしっかり節約。そんなふうにメリハリを効かせ“地に足が着いた結婚式”を叶えられていて、感心してしまいます」とプロの方々からもお褒めの言葉が。

▲ソファの背景に飾られているのがパンパスグラス(左端はベルクラシック神戸、中と右端はホテルロイヤルクラシック大阪)

▲二人で手作りした工夫いっぱいのウエルカムコーナー
(左はホテルロイヤルクラシック大阪、右はホテルベルクラシック東京)

▲心がこもった手作りのペーパーアイテム(ホテルロイヤルクラシック大阪)

引き出物は、サンクスカードにカタログギフトのQRコードを印刷したもののみ。ゲストに持ち帰っていただくのは、写真のようなお見送り時のプチギフトのみというケースが多くなっているそう(ベルクラシック神戸)

今回は、コロナ禍を経た新しい結婚式の流れについて知ることができました。トレンドを意識しながらも、自分たちらしい結婚式とはどのようなものか、一度考えてみてはいかがでしょう。気になる会場がありましたら、気軽に訪ねてウエディングプランナーに相談するのもおすすめです。

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