火葬

火葬の手続きやマナーとは?

火葬手続きの多くは、葬儀社が代行して行ってくれます。
火葬とは、葬儀後にご遺体を火で焼いて葬るという葬送の一種です。荼毘に付すという表現もあります。葬送には火葬以外にも、土葬や水葬、鳥葬、空葬などもあり、国や地域、文化、宗教などによって葬送は異なります。日本では以前は土葬が主流でしたが、条例などの定めにより現在はほとんどが火葬です。
火葬するには手続きが必要です。火葬の定義や、火葬を行うまでの流れや費用を紹介します。また火葬する際に、棺に入れて良いものや入れてはならないものなどのマナーもあわせて紹介します。

CONTENTS
1. 火葬とは
2. 火葬の手続き
3. 火葬の費用
4. 火葬の流れ
5. 火葬のマナー(副葬品)

1. 火葬とは

火葬とは葬送の一種で、ご遺体を焼却して葬ることを意味します。現代の日本では火葬が圧倒的に多く、世界の中でも有数の火葬大国と言われています。
日本の火葬率は昭和55(1980)年に90%台に到達すると平成2(1990)年に97.1%、平成17(2005)年に99.8%、平成23(2011)年で99.9%に推移してきたと発表されています。
火葬大国となるまでの経緯には明治時代のコレラなどの伝染病の流行が影響していると言われています。当時、土葬が主流であった日本に、伝染病予防法が明治30(1897)年に施行され、「伝染病患者ノ死体ハ火葬スヘシ」と規定されたことで火葬場が建設されるようになり、徐々に火葬率が上がり、明治33(1900)年には火葬率は29.2%に達しました。
これには伝染病だけでなく、都市化や衛生観念の浸透なども一つの要素として影響していると見られていますが、一方で故郷を出て、他郷で暮らしていた人たちが、死後は故郷に埋めて貰いたいと願い、それを実現するために遺体ではなく遺骨にする必要があったからではないかとも推測されています。

 歴史 

日本で初めて火葬にされた天皇は、第41代持統天皇(697年ご崩御)です。僧侶では道昭(700年ご遷化)が遺命により火葬されたという説があります。また「続日本紀(しょくにほんぎ)」には第42代文武天皇(707年ご崩御)が本人の遺言に従って荼毘に付されたとも記されています。
前述のように、現在の日本の火葬率は99.9%以上となりましたが、土葬と水葬も法律上禁止されているわけではありません。水葬は船員法第15条の「船舶の航行中船内にある者が死亡したときは、国土交通省令の定めるところにより、これを水葬に付すことができる」とされています。
土葬は、大都市の多くが市町村条例で禁じておりますが、中には条例制定をしていない自治体もあります。ただし特段の理由がなければ、土葬は許可されないのが現状となっています。

2. 火葬の手続き

火葬を行うためには手続きが必要です。

火葬は死後24時間経過した後でないと行うことができません。これは「墓地、埋葬等に関する法律」で定められています。そして、火葬を行うためにはいくつかの届け出をしなければなりません。届け出をするために必要なのが火葬許可証です。火葬許可証の発行には、故人の住民票がある自治体に「死亡届」と「死亡診断書」、「火葬許可申請書」を提出する必要があります。
火葬許可申請書は自治体に備え付けてあります。火葬について担当しているのは戸籍関係の部署であることが多いです。火葬許可証は申請後すぐに発行され、火葬場で必要となるため、紛失しないように気をつけましょう。 火葬許可証を火葬場に提出すると「済み」の押印をされて返却されます。これが埋葬する際に必要となる埋葬許可証となります。火葬許可証同様に、埋葬許可証も紛失してしまうと埋葬ができなくなってしまうので厳重に保管しましょう。

火葬の手続きの殆どは葬儀社が代行してくれる

これまで火葬における必要な手続きを紹介しましたが、実はこれらの殆どを葬儀社が代行してくれます。一部の地域や自治体は、遺族以外の提出を認めないとしているところもありますが、殆どのケースで認められているので安心してよいでしょう。
もしも心配な方は、事前に葬儀社に、これらの手続きを代行してくれるかどうかを確認しておくことをおすすめします。

3. 火葬の費用

火葬には費用がかかるケースとかからないケースがあります。詳しくは利用する予定の火葬場に直接確認する必要がありますが、ここでは火葬の費用とそれに付随する費用を紹介します。

自治体が運営する公営の火葬場

火葬場には大きく分けて、自治体が運営する公営の火葬場と、民間企業が運営する民営の火葬場の2種類あります。
自治体が運営する公営の火葬場を利用する場合、故人がその自治体に住民票があれば、市民料金で利用可能となります。市民料金は無料から利用可能で、多くても2〜3万円程度です。

民間企業その他(公益社団・財団法人、宗教法人等)が運営する民営の火葬場

民間企業が運営する民営の火葬場の場合、例えば東京23区であれば最低でも75,000円の費用がかかります。詳しくは利用予定の火葬場に直接お問い合わせすることをおすすめしますが、23区以外にも以下の地域では民営の火葬場を利用するケースがあるため、対象となる方は調べてみるとよいでしょう。

東京都:23区、狛江市、調布市、三鷹市、武蔵野市、小金井市、国分寺市、小平市、東大和市、 東村山市、西東京市、東久留米市、清瀬市

火葬料金以外にかかる可能性がある費用

火葬の費用は純粋に火葬するための費用だけでなく、それに付随して例えば骨壷や骨箱、待合室使用料なども発生しますので、注意が必要です。特に骨壷や骨箱は、持ち込みを禁止している火葬場もあるため、利用予定の火葬場に直接問い合わせるとよいでしょう。

火葬は安置費用が追加になる可能性あり

東京の23区を例として、火葬料金以外にも追加費用がかかるのが遺体安置料金です。安置期間は一般的に逝去してから、葬儀を行うまでの期間を指しますが、東京の特に23区は人口密度が高いため、火葬場が混み合い、希望するスケジュールで予約を取ることが少々困難であると言われています。そのため、火葬が一週間先になってしまうなどのケースも少なくなく、それによって安置期間が延び、それに応じた追加費用がかかると言われています。葬儀社を選ぶ際は、安置期間がどれくらいまで追加費用がかからないかも確認するとよいでしょう。

4. 火葬の流れ

火葬の流れをご紹介します。

①葬儀終了後に火葬場へ出棺
葬儀を終えた後は火葬場へ出棺となります。火葬場に同行するのは遺族や親族などの親しい方が対象となります。

②火葬場に到着
火葬場に到着後、火葬許可証を提出します。火葬終了後に火葬許可証は判を押され埋葬許可証になります。

③火葬前のお別れと炉前読経と焼香
火葬前に最後のお別れをします。斂祭(れんさい)と言います。僧侶の手配をした方は、炉前での読経をしていただき、焼香をします。

④火葬
お棺を火葬炉に入れると火葬が始まります。火葬時間はおおよそ40~120分程度です。火葬炉によって火力が異なることと、その日の火葬炉の混み具合によって変化します。遺族は火葬が終わるまで待機します。

⑤火葬後の拾骨・骨上げ・骨揚げ
火葬終了後に火葬炉前に集まり、係員の指示に従い、遺骨を拾い骨壷におさめる「拾骨(しゅうこつ)・骨上げ・骨揚げ」をします。参加者全員で、二人一組で1つの骨を竹の箸で拾い上げ骨壺に納めるしきたりです。最後にのどぼとけの骨を納めます。

5. 火葬のマナー(副葬品)

ご遺体とともにお棺にいれるものを副葬品といいます。そこで副葬品として認められていないものを紹介します。

【不燃物】
基本的に不燃物は認められていません。特に故人が生前身につけていたメガネやアクセサリー、指輪などを入れることのないように気をつけましょう。ちなみに一部地域では、あの世でお金に困らないようにという理由から、硬貨を副葬品として棺に入れる「冥銭」という風習がありますが、お金も基本的には難しいので注意しましょう。

【環境汚染となるもの】
環境汚染や有害物質を発生させる可能性があるものは禁止されています。

火葬は、故人との最後のお別れとなります。葬儀や告別式では一般参列者も含めてのお別れでしたが、火葬は遺族や親族、生前に親しかった人などに限定されており、火葬する前に故人のお顔を見る最後の機会でもあります。
火葬を初めて経験する場合、火葬直前の故人が、たったの1時間程度の火葬によって、跡形もなく遺骨だけに変わることに動揺するかもしれません。
しかし、事前にこれらの情報を知っておくことで、気持ちの準備を整えておくことができるかもしれません。
故人との最後のお別れとなる火葬で、後悔が残らないよう、心づもりをしておくとよいでしょう。