葬儀・告別式(喪主側)

葬儀と告別式の違いは?
葬儀・告別式の流れや喪主の挨拶を紹介

人は人を亡くしたときに、その人の死を弔うために儀式を行います。これを葬儀や告別式、通夜、葬式、葬祭などと呼びますが、実はそれぞれの単語の意味は異なります。そこで葬儀と告別式を中心に、それぞれの意味や違い、全体の流れなどを紹介します。
喪主として葬儀・告別式を行う際には、これらを理解しておくことで、慌てることなく冷静に対応することができるでしょう。

CONTENTS
1. 葬儀・告別式のそれぞれの定義
2. 葬儀と告別式、通夜の違い
3. 葬儀・告別式の全体の流れ
4. 遺族・親族の服装
5. 喪主の挨拶

1. 葬儀・告別式のそれぞれの定義

葬儀と告別式は似て非なるものです。そこでここでは葬儀と告別式のそれぞれの意味を紹介します。日常会話の中では、葬儀と告別式は同じ意味で用いられることが多いです。※『日本葬送文化大事典』より
通夜は、別に逮夜などとも言い、本義は遺体を火葬(土葬)する前夜をいいます。
葬儀とは死者の往生や成仏を願っての儀式をいい、それに続く最後の別れの場が告別式です。
しかし、そもそも葬儀とは、葬送儀礼が略されたことで誕生した言葉です。そして葬送儀礼、つまり葬儀とは人の死を弔うための儀式そのものを意味しています。その結果、告別式も葬儀の中に含まれることになります。今日では通夜や葬式、火葬などの一連の儀式も葬儀の流れとして考えられるようになりました。葬儀は一般的に二日間にわけて行われます。初日に通夜、二日目に葬儀・告別式を行います。葬儀・告別式は、宗教者をお呼びして宗教儀礼を行って故人を弔い、その葬儀の後に喪主が参列者に挨拶して火葬場に向かいます。

 歴史 

葬儀の古い歴史の一例は約6万年前までさかのぼります。旧人類であるネアンデルタール人の骨がイラク北部の洞窟で見つかり、そこを調査した結果、その骨の周囲にその洞窟からは見つかるはずのない花粉が見つかりました。これは遺体の側にお花をお供えしたのではないかと推測されています。つまり死者を弔うための儀礼を行っていたのではないかと解釈されています。また、ネイチャーオンライン版より、7万8千年前と思われるアフリカ最古のホモ・サピエンス(現生人類、ヒト)の墓が洞窟で発見されており、注意深く埋葬された2~3歳の子どもの遺体が納められていたとも報告されています。
インドを起源とする仏教の葬儀のあり方は、中国に渡り儒教の影響を受け葬送儀礼となり、12世紀に禅宗の「禅苑清規」や出家した僧侶の葬儀作法を定めた「尊宿喪儀法」、修行中に亡くなった僧の葬儀作法を定めた「亡僧喪儀法」となり日本に伝わります。中でも亡僧喪儀法が浄土教や密教の影響を受け、その後の武士の葬儀になっていきます。これらの鎌倉・室町時代の仏式葬儀のあり方が今日の日本の葬儀の原型と言えます。

2. 葬儀と告別式、通夜の違い

葬儀と告別式、通夜の違いを紹介します。先程紹介した通り、葬儀は初日に通夜、二日目に葬儀・告別式を行いますが、それぞれの目的や意味は以下のとおりです。

通夜の目的や意味

通夜は故人を囲い、参列者が故人について語り合い、故人を偲ぶために行います。通夜は、夕方から夜に掛けて行うのが一般的です。現在は少なくなりましたが、夜通し行われることがあり、それが由来して「通夜」と呼ばれるようになりました。
通夜が行われていたのは、医学が未発達だった時代に、亡くなっているかどうかの判断が曖昧だったことで仮死状態から蘇生することがあったためです。つまり夜通し故人に寄り添い、もしかしたら息を吹き返すかもしれないという可能性があったため、通夜という名前がつけられ、寝ずの番が誕生しました。

葬儀の目的や意味

葬儀は宗教的な儀礼儀式を含んでおり、故人(または喪主)が信仰していた宗旨宗派に則って行います。仏教であれば僧侶による読経や焼香が行われ、故人の冥福(仏式)を祈り、死者を葬るための儀式です。また、残された人たちが、故人を悼むことで死を受け入れ、悲しみを乗り越えるための儀式でもあります。

読経(お経を読むこと)においては、ご本尊様の名を唱える「本尊唱名(または称名)」が行われます。

各宗派の本尊唱名は、曹洞宗や臨済宗は「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」、真言宗は「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう、遍照金剛とは弘法大師=空海のこと)」、浄土宗・浄土真宗本願寺派・真宗大谷派は「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」となっています。本尊の前に唱える「南無」は、信じ敬い、心から帰依する気持ちを表す言葉です。日蓮宗の「南無妙法蓮華経:なむみょうほうれんげきょう(法華経:ほけきょう)」のみ御題目と呼びますが、故人を霊山浄土へ旅立たせる目的で唱えます。

告別式の目的や意味

告別式は葬儀の後に行われます。故人に向けて焼香をして最後の別れを告げます。そして遺族に会釈をして偲びます。葬儀は故人のために行う要素がある一方で、告別式は故人と参列者との関係性の中で行われるものだと理解すると良いでしょう。

3. 葬儀・告別式(2日目)の全体の流れ

1日目は「通夜(喪主編)」「通夜(会葬者編)」参照

葬儀・告別式の所要時間は1時間程度です。時間帯は斎場や火葬場の混み具合等に左右されます。葬儀・告別式の全体の流れを紹介します。

仏式の場合の式次第

①参列者の受付
参列者、会葬者の方々を受け付けます。記帳してもらい、香典を頂戴します。

②葬儀・告別式の開式と僧侶入場
葬儀・告別式の開式の宣言を司会者(葬儀社スタッフのケースが一般的です)が行います。開式とともに宗教者が入場します。

③僧侶読経
仏式での葬儀・告別式であれば僧侶による読経が行われます。遺族が望んだ場合、繰上げ初七日法要・式中初七日法要を行うことも可能です。

④焼香
血縁の近い順番で、喪主・遺族・参列者の順番で焼香を行います。宗派によって焼香の方法が異なります。

⑤弔辞・弔電の紹介
司会者が弔辞・弔電の紹介を行います。

⑥告別式の閉式
最後に告別式の閉式です。閉式とともに僧侶を会場からお見送りします。閉式の案内は開式同様に司会者が行います。

⑦お別れの儀
お別れの儀でお棺に別れ花を入れます。お身体全体を見ることができるのは一般的にはここまでとなります。

⑧釘打ち
最後の対面が終わったら棺の蓋が閉ざされ、釘打ちが行われます。釘はすでに葬儀社の手で途中まで打ち込まれていますので、喪主、近親者、参列者と二回ずつ軽く打っていきます。釘は必ず石で打ちますが、これは三途の川の石を表しているためです。

⑨喪主挨拶・出棺
喪主が故人や参列者に向けた挨拶を行い、その後に火葬場へと向かいます。

神式の場合の式次第

神式では、「葬場祭(そうじょうさい)」が行われます。受付には「手水の儀」に使う桶と柄杓を用意します。

①手水の儀
柄杓を右手で持ち左手に水をかけます。次に柄杓を左手に持ち替え右手に水をかけます。再度左手に持ち替え、左手で水を受けて口をすすぎます。

②一同着席
祭壇に向かって右側に喪主、近親者、親族が座り、左側に世話役、親族が座ります。一般参列者はその後ろに座ります。

③斎主入場
一同起立して斎主を迎えます。

④式の辞
司会者が開式の挨拶をします。

⑤祓(しゅうばつ)の儀
斎主(神官)が式場、伶人、参列者、供物を清めます。参列者は頭を下げお祓いを受けます。

⑥奉幣(ほうへい)、献饌(けんせん)
伶人が楽を奏で、斎員が故人の好きだった饌(食べもの)を祭壇に供えます。供物は開式前に用意し、お神酒の蓋をとる場合もあります。

⑦祭詞奏上(さいしそうじょう)
斎主が祭詞を奏上し、故人の人柄や略歴を述べます。一同は腰を折るように一拝します。

⑧誄歌奉奏(るいかほうそう)
伶人(雅楽を演奏する楽士)が故人を追慕する歌を奉奏します。

⑨弔事・弔電の紹介
司会者が弔辞・弔電の紹介を行います。

⑩玉串奉奠(たまぐしほうてん)
斎主、喪主、遺族、親族、一般の順に、二拝・しのび手で二拍手・一拝します。

※しのび手とは、神式の葬儀でかしわ手を打つとき、両手を打つ手前で止めます。忌み明けまではこれを用います。

⑪撤饌・撤幣
伶人が楽を奏し、斎員が饌と幣帛(へいはく=供物)を下げます。お神酒のふたを閉める場合もあります。

⑫斎主一拝・退場
斎主が一拝し、一同もそれにならい一拝します。

⑬閉式の辞
司会者が閉式の挨拶をします。続いて喪主が挨拶する場合もあります。続けて告別式に入るか休憩をはさみます。

キリストの場合の式次第

仏式の葬儀をカトリックでは「葬儀ミサ」、プロテスタントでは「葬儀式」と呼び、教会で行われます。

カトリックの葬儀ミサの進行例

①開祭

②言葉の典礼
聖書の朗読、聖歌斉唱、福音書の朗読、神父の説教、祈りが行われます。

③感謝の典礼
遺族が奉納したパンとぶどう酒によるミサ、聖体拝領という故人が神に受け入れられたことを祈る儀式が行われます。

④告別と葬送
聖歌斉唱、神父の言葉、神父による棺に聖水をかける撒水、告別の祈り、弔事・弔電の紹介、献花、遺族代表の挨拶が行われます。

プロテスタントの葬儀式の進行例

①奏楽
奏楽とともに参列者が着席し、牧師が入場します。

②讃美歌斉唱

③聖書朗読

④祈り

⑤説教
故人の略歴や人柄を紹介します。

⑥讃美歌斉唱

⑦弔事・弔電の紹介

⑧祝祷
遺族と参列者に神の祝福を祈る

⑨奏楽

⑩告別式
献花や遺族代表の挨拶が行われます。

4. 遺族・親族の服装

喪主側の服装は、喪服となります。和装、洋装はどちらでも構いません。

男性

  • 正喪服
    洋装:黒のモーニングコート
    和装:黒羽二重染め抜き(くろはぶたえそめぬき)に五つ紋付きの羽織・袴(三つ紋、一つ紋の順に格が高いが、いずれも準礼装であり、喪服に入れる場合は格から五つ紋となる)
  • 準喪服(喪服)
    洋装:ブラックフォーマル(喪服用のブラックスーツ)、白のワイシャツ 黒のネクタイ 黒の靴下 黒の靴
正喪服(洋装)
正喪服(和装)
準喪服

女性

  • 正喪服
    洋装:洋装喪服(ブラックフォーマル)で黒色の正式なスーツやアンサンブル
    和装:羽二重に染抜きの五つ紋で黒無地(関西方面では一越ちりめんを正式とする場合もあります。)帯揚げや小物、草履は黒、足袋は白
  • 準喪服(喪服)
    洋装:ブラックフォーマル(正喪服よりデザインや素材は柔軟)
    和装:一つ紋か三つ紋で黒に限らず地味な色
正喪服(洋装)
正喪服(和装)
準喪服(洋装)
準喪服(和装)

5. 喪主の挨拶

葬儀・告別式は喪主による挨拶で締めます。喪主の挨拶の例文を紹介します。

「遺族を代表して、故人◯◯の長男の私、△△から、皆様にひとことご挨拶させていただきます。

本日は、お忙しいところを、◯◯の葬儀にご会葬下さいまして、誠にありがとうございます。◯◯は、◻月◻日、永眠いたしました。享年◻(享年に歳は付けないのが通例とされています)でございました。

◯◯は皆様に温かく見送られ、喜んでいると思います。生前、故人に対する皆様のご厚意に、私から心より御礼を申し上げます。

(人物紹介・エピソード・思い出話)

最後になりますが、まだまだ未熟な私どもに、故人に対する生前同様のお付き合いとご指導を賜りますようお願い申し上げます。本日はありがとうございました。」

喪主の挨拶を行う上でのヒント

喪主の挨拶は「感謝の意を伝え、故人のエピソードや思い出などを述べ、最後にまた感謝の意を伝える」という順番で行いましょう。
もしも喪主としての挨拶に不安がある方は挨拶状を準備して、それを読み上げたとしても失礼ではありません。葬儀・告別式は故人との最後の別れとなりますので、挨拶を考えることが喪主に負担となり、結果的に葬儀・告別式に後悔が残らないように努めましょう。

葬儀・告別式を喪主という立場で行うということは、ご自身にとってこの上なく大切な人がなくなったことを意味します。本来、葬儀・告別式は故人を偲び、弔い、故人のいない世界と生活に向けて、新たな一歩を踏み出すための最初の大切な儀式です。しかし葬儀・告別式を喪主という立場で行うという責任感が逆にプレッシャーとなり、故人に対して心置きなく最後のお別れをすることができずに、後悔を残す可能性もゼロではありません。
今回は葬儀・告別式の意味や目的、流れなどを紹介しました。これらは非常に大事なことですが、それ以上に故人との最後の時間を後悔することなく送っていただけるよう、願っています。