服装(喪主側)
葬儀を喪主側として行うときの服装は?
葬儀を喪主側として行う場合、一般参列者とは異なり着用すべき服装や身だしなみに幾つかのマナーが存在します。ちなみに葬儀で着用する服を「喪服」と呼ぶことをご存知な方は多いかもしれませんが、実は喪服にもいくつかの種類があります。今回は喪服に関してご説明します。
CONTENTS
1. 喪服の種類
2. 喪主側の男性の服装
3. 喪主側の女性の服装
4. 喪主側のこどもの服装
5. 喪主側の服装のその他の注意点
1. 喪服の種類
喪服には以下のように種類があります。
【正喪服】
最も高い格式の喪服です。喪主や故人から三親等までの親族などが着用します。
【準喪服】
一般的な喪服です。一般参列者が着用することが多いのですが、喪主や親族が着用することもあります。
【略喪服】
三回忌以降の法事法要や急な弔問、お通夜へ参列する際に着用します。
着用すべき喪服は喪主側かどうか、また通夜や告別式、あるいは法事法要かどうかも影響します。男性・女性・こどもにそれぞれ分類して、葬儀の際の喪服について、注意点含めてご紹介します。
2.喪主側の男性の服装
喪主側として葬儀を執り行う場合、故人だけでなく参列者様に対しても礼を失しない服装が必要です。喪主側の男性の服装を紹介します。
正喪服
洋装
モーニングにネクタイは黒無地でネクタイピンはつけません。ポケットチーフも控えましょう。なお、モーニングは昼間の服装なので、通夜には準礼装のブラックスーツを着用しましょう。もちろん昼間にブラックスーツを着用しても問題はありません。
和装
黒羽二重染め抜き(くろはぶたえそめぬき)の五つ紋付きの羽織(三つ紋、一つ紋の順に格が高いが、いずれも準礼装であり、喪服に入れる場合は格から五つ紋となる)と仙台平か博多平の袴を揃えた紋付き羽織袴が一般的です。着物は黒無地で冬は羽二重、夏は平絽のものです。足袋や草履は鼻緒が白または黒のものをはき、扇子は持ちません。
準喪服(喪服)
現代ではブラックフォーマル(喪服用のブラックスーツ)が主流になりつつあります。ブラックスーツであれば、ダブルでもシングルでもどちらでも問題はありません。ただしビジネス用のブラックスーツはふさわしくありませんので注意しましょう。白のワイシャツ、黒のネクタイ、黒の靴下、黒の靴を着用します。
歴史
喪服の歴史
現代では喪服の色は黒が一般的ですが、以前は白や鈍色でした。
平安期:平安貴族は、喪服に「鈍色(にびいろ)」という濃い灰色を使っていたそうです
中世から大正初期:白い喪服
戦後:黒い喪服
喪服の色が黒として定着したのは戦後です。戦後に立て続けに行われた戦没者の葬儀によって、白い喪服では非常に汚れやすかったため、汚れの目立たない黒の喪服を提案したことがきっかけだとされています。
3. 喪主側の女性の服装
女性の喪服は以前は和装が一般的でしたが、現在は洋装を着用するケースが殆どです。喪主側の女性の喪服を紹介します。
正喪服
洋装
ブラックフォーマル(喪服用のブラックスーツ)の正式なスーツ、アンサンブルなどが一般的です。肌の露出は控える意味でも長袖・膝が隠れる程度の丈の長さにしましょう。
和装
黒無地染め抜きの五つ紋付きの着物に黒無地の丸帯が正式とされています。紋は実家の女紋か婚家の紋を使用しましょう。冬は羽二重か一越ちりめん、夏は駒絽や平絽のものです。帯留めはつけません。帯揚げやバッグなどの小物、草履は黒、足袋は白を履きましょう。
準喪服(喪服)
洋装
ブラックフォーマルで、正喪服よりデザインや素材は柔軟なものになります。アクセサリーはオニキス、パールなどのネックレス。ストッキングは黒、靴も黒になります。
和装
一つ紋か三つ紋で、黒に限らず紫や茶、灰色などの地味な色の長着に黒い帯になります。
【喪章について】
喪章は、葬儀の際につける黒または黒と白の布で、左腕に巻く腕章型や胸元につけるリボン型があります。弔意を示すためのもので、遺族や葬儀の関係者が着用します。
喪服レンタルも選択肢の一つ
喪服はそう何度も利用することがありません。また喪服一式を揃えるための費用も決して安くはありません。そのため現在は喪服をレンタルする方も増えています。
4. 喪主側のこどもの服装
喪主側のこどもの服装は、就学児童と未就学児童で分けて紹介します。
就学児童
学校指定の制服があれば、それを着用しましょう。制服がない場合は、靴も含めて全体的に黒やグレー、紺などがベースのスーツを選びましょう。光沢感のない素材で、装飾がないデザインがおすすめです。シャツは襟付きがよいでしょう。
未就学児童
幼稚園や保育園指定の制服があれば、それを着用しましょう。制服がなければ、上記同様に黒やグレー、紺などをベースとしたスーツを着ると良いでしょう。光沢感の無いものを選び、派手なデザインは控えましょう。
幼児・乳幼児を連れた葬儀の注意点
幼児や乳幼児を伴う葬儀では、走り回ったり、大きな声を出すことを気にするあまり葬儀に集中することができないのではないかと心配される方がいます。
とはいえ葬儀自体を不参加とするのは、本人はもちろん、こどもにとってもよくないことであると考える方も少なくありません。
そんなときは、いざというときのためにすぐに退出できる場所を選んで葬儀に参加すると良いでしょう。
事前に葬儀スタッフや遺族にその旨伝えて、理解を得ておくと更に良いでしょう。
5. 喪主側の服装のその他の注意点
最後に、アクセサリーやバッグ、靴などについての注意点も紹介しておきます。
アクセサリー
アクセサリーは、結婚指輪を除いて、基本的にはつけません。着用せざるを得ない時計や眼鏡は落ち着いたデザインと色合いのものをおすすめします。ネックレスについては、身につけていてもそこまでマナー違反ではありませんが、それでも真珠やオニキスをおすすめします。ただし、ネックレスは一連のものにしましょう。二連は「不幸が重なる」という言葉の禁忌に通じるため避けたほうがよいでしょう。
バッグ
バッグは黒い布製で金具が目立たないハンドバッグが一般的です。革製品は殺生を想起させるため、避けたほうが良いでしょう。デザインは爬虫類の型押しなど柄のあるものは控えましょう。またエナメルや光沢感のある、あるいは華美な素材も控えましょう。荷物が多い場合はサブバッグを検討しましょう。ただしショルダーバッグは避けましょう。
靴
靴は男女ともフォーマルな黒い革靴がおすすめです。ただし、光沢感のあるエナメルや金具付きのものなどは避けましょう。
男性はつま先がストレートチップで内羽式のものがフォーマルスタイルですが、プレーントゥを履くケースも増えています。ローファーはカジュアルさがあるためおすすめできません。
女性は革製が一般的ですが、布製でも問題はないとされています。色は黒で、シンプルなパンプスが基本で、男性同様に光沢感や金具などは不要です。つま先は尖っていないプレーントゥで、ヒールの高さは3〜5センチほどのミドルヒールがおすすめです。ローヒールやハイヒール、ウェッジヒール、ピンヒールは避けましょう。ただし、足元に不安な高齢の方や妊娠中の方などは、ローヒールで歩きやすい靴でも問題はありません。