形見分け
形見分けとは?
形見とは、亡くなった方を想起させるような思い出の残る品物です。そして形見分けとは文字通り、その形見を家族や親戚、知人友人に分けることを意味します。故人の形見となる品物をいつまでも忘れずにそばにおいておきたいという方々のために形見分けをし、故人を偲んでもらうものです。そのため、形見分けによってトラブルが起こることは避けたいものです。形見分けの由来や、そもそも形見分けをいつ行うべきか、また形見分けを行う際の注意点をまとめてみました。故人の愛用していた品物を、マナーを守って分けることができるよう少しでも参考になれば幸いです。
CONTENTS
1. 形見分けとは
2. 形見分けはいつ行うべきか
3. 形見分けの注意点
4. 形見分けのトラブル
1. 形見分けとは
形見分けとは、故人が生前に愛用していた品物や、遺族や知人友人が故人との思い出を振り返る上で重要な品物を、分け合うことを意味します。形見分けと遺産相続は異なります。双方とも故人の残したものを分配するものですが、遺産相続は相続できる人や分け方等が法的に決められているのに対し、形見分けには特にそのような決まりはなく、故人の愛用品などを分けることです。 形見分けと遺品整理も異なります。遺品整理は故人が遺したものを必要な品物と不要な品物に分け、不要なものは処分したりリサイクルすることです。
歴史
形見分けの歴史
形見分けがいつから始まった風習なのかは明らかにされていません。かつては形見分けをする品物といえば着物が定番で、着物であった理由は、身につけていたものにはその人の想いが宿るという考え方があったからだと言われています。ちなみに現在はそこから範囲を広げ、アクセサリーや本など身の回りのものを主に、故人が愛用していた品物が幅広く形見分けの対象となっています。お伝えした通り、形見分けという風習の起源はわかっていませんが、大切だった亡き人といつまでも側に一緒にいたいという気持ちは古今東西変わっていないと考えることは不自然ではないでしょう。となれば、形見分けという風習はかなり昔から存在していた可能性もあるかもしれませんね。
2. 形見分けはいつ行うべきか
形見分けは忌明けに行うのが一般的です。ただし宗教によって忌明けの定義は異なりますので以下を参考にしてください。
仏教
仏教で言う忌明けとは故人が亡くなられてから49日後となります。そして忌明け後に行う、忌明け法要や四十九日法要、納骨法要、開眼法要などのあとに形見分けをすると良いでしょう。
神道
神式での忌明けとは、五十日祭や三十日祭のあとを意味しますので、それらの後に形見分けをすると良いでしょう。
キリスト教
キリスト教には忌明けという概念が存在しないため、形見分けを行う場合は1ヶ月命日の追悼ミサ以降が望ましいでしょう。
気持ちが整理される形見分け
忌明けによって遺族に通常の生活が戻りますが、とはいえまだまだ気持ちの整理がつくかといえば、そうではありません。そのような状態で形見分けの作業をすることになるわけですが、故人の遺品を形見分けするべきかどうかを一つ一つ見ながら考えることで、故人はもちろんのこと、故人を取り巻く方々も思い出され、更に気持ちが整理されることがあります。形見分けは忌明けに行うべきだとお伝えしましたが、実はこのような気持ちの整理がつくことも一つの効果として期待されているのが形見分けなのです。
3. 形見分けの注意点
形見分けを行うときの注意点を紹介します。
誰に贈るか
形見分けは、家族や親戚を優先し、知人友人、会社関係者、ご近所さんなどを対象に、故人と生前交流の深かった方々を中心にお声がけすると良いでしょう。
目上の人に贈るときは注意が必要
形見分けは、現在はそこまで厳格ではなくなりましたが、以前は立場や地位、年齢が上の人に贈るのはマナー違反とされていました。廃れてきているとはいえ、念のため、目上の方に形見分けする場合は、「ご無礼かもしれませんが」と、一言添えると良いでしょう。
丁寧な梱包でなくてもよい
形見分けでは、新品のように丁寧な梱包をする必要はありませんが、割れ物などを贈る場合は、割れないような梱包をするようにしましょう。
高価な品物はNG
高価な品物を形見分けする場合、相手が恐縮したり、遠慮する可能性があります。また高価過ぎる場合、贈与税がかかる可能性もあるので注意が必要です。
修理・修復して贈る
形見分けで贈る品物が壊れている場合、場合によっては修理修復する必要があります。また衣類であれば、クリーニングをすると良いでしょう。
無理に形見分けをしない
「故人が生前愛用していたので是非貰ってください」と相手に了承を得ることなく、無理に形見分けをすることは望ましくありません。相手の意向を尊重して、形見分けをすると良いでしょう。
遺産相続、遺品整理、形見分けを行う順番
遺産相続と遺品整理、形見分けを行う順番ですが、おすすめは遺産相続を最初に行い、次に形見分け、最後に遺品整理です。遺産相続が最初である理由は、相続放棄なども含めて期限が決められているからです。遺産相続を行い、資産的価値があるものとないもので分けることで、そのあとの形見分けと遺品整理が楽になります。次の形見分けですが、形見としての価値があるかどうかを判断することになります。ここで遺品整理を先に行ってしまうと、必要か不要かのみで判断してしまうため、形見としての価値があるにもかかわらず処分してしまいかねませんので注意が必要です。最後は遺品整理です。形見ほどの価値はなかったとしても捨てられないものなどを分類します。そこで明らかに不要なものを処分したり、リサイクルショップやフリマアプリなどを通じて売却すると良いでしょう。
4. 形見分けのトラブル
形見分けでよくあるトラブルを紹介します。
故人の遺志が尊重されていない形見分け
形見分けは、故人が生前に語っていた内容を思い出し、それに従って行うことがあります。また、場合によっては遺言で形見分けについて、故人が遺志を残すこともあります。それらを無視して形見分けをすることがないようにしたいものです。形見分けは故人を偲ぶ供養であることを忘れないようにしましょう。
誤って形見を処分してしまった
ある品物を形見分けとして譲り受けたいと考えている人がいる場合、それらを誤って処分してしまうとトラブルになります。このようなトラブルは、故人が生前に趣味でコレクションしていたような品物にありがちですので注意しましょう。
故人との関係性が不明なのに形見分けをしてしまった
形見分けとして譲ってほしいと申し出てくる方々の中に、故人との関係性が不明な方、あるいはそこまで親しかったわけでない場合、その申し出は慎重に検討しましょう。他にその品物に相応しい方がいるかもしれませんし、そもそも形見分けをするほどの関係性でないにも関わらず形見分けをすることは、故人が悲しむでしょう。
遺品整理の専門業者
故人が遠方に住んでいたり、遺族が高齢で後片付けができない場合など、遺品整理を請け負ってくれる専門業者に依頼するのも一つの方法です。電化製品や家具を査定して買い取ってくれる業者もあります。