通夜 (会葬側)

お通夜、葬儀、どちらに参列する?

通夜の本来の意味は、親族や親しい友⼈などゆかりの深い⼈々が集まって、夜通し灯りを消さず線⾹の⽕を絶やさず、故⼈の冥福(仏式)を祈り、別れを惜しむ儀式です。葬儀は仏教であれば僧侶の読経や焼⾹、神道では神官による祭詞や祈祷、キリスト教では聖書の朗読や讃美歌の斉唱、お祈りといった故⼈の魂が死後の世界に旅⽴つための宗教的な儀式が中⼼です。また葬儀と共に⾏われることの多い告別式は、お別れの会という意味合いが強く、喪主が中⼼になって知⼈・友⼈が故⼈との最後のお別れをする場です。

ですので、親族や故⼈との関わりが深い⼈は、お通夜と葬儀の両⽅、それ以外の⽅は葬儀・告別式への参加が望ましいとされています。故⼈との関係にもよりますが、都合で通夜か葬儀のどちらかしか参加できない場合は、葬儀への参加が良いと⼀般的には⾔われていますが、どうしても都合が、という場合はお通夜のみの参加も最近は多いようです。どちらに参列するにせよ、故⼈への感謝や親しみの気持ちを持ち、別れを惜しみ、冥福を祈ることが⼤切です。 

CONTENTS
1. 参列する際の服装
2. お香典はいくら包む?
3. 通夜の香典袋
4. お悔やみの言葉
5. 間違いのないお焼香の作法
6. 数珠の使い方
7. 通夜振る舞いに案内されたら

1. 参列する際の服装

男性の服装

男性は喪服かブラックスーツが好ましいです。ただし光沢感のある生地のブラックスーツは避けましょう。急ぎ駆けつける場合など喪服の用意ができない場合、ビジネススーツでも光沢感がなく、暗い色のものであれば代用は可能です。
シャツは白をおすすめします。ネクタイは黒が良いでしょう。ベルトや靴、靴下も黒が良いでしょう。ただしベルトのバックルや靴については派手だったり、装飾が施されているものは控えたほうが良いでしょう。黒い靴でのエナメル素材などの光沢のある靴は避けましょう。

準喪服
略喪服

女性の服装

女性も男性同様に喪服か、黒を基本としたワンピース、アンサンブルがおすすめです。華美な装飾やノースリーブ、短いスカート、肌の露出が多い服装は避けましょう。また光沢感のある生地の服も控えましょう。靴や鞄も黒の落ち着いたデザインをおすすめします。エナメルなどの光沢素材は控えましょう。

準喪服(洋装)
準喪服(和装)
略喪服

2. お香典はいくら包む?

香典は「いくらでなければいけない」という決まりはありません。
しかし、気持ちの問題とはいえ、少なすぎると失礼に当たりますし、多すぎるのも、先方にいらぬ気づかいをさせてしまう場合があります。

※「恩師、教え子」は、「その他」に含まれています。

出典:第6回香典に関するアンケート調査報告書(令和3年度実施)
一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会 調査より

ただし、付き合いの深さによっては、もっと多く包む場合もあります。親密度が高くなるほど、香典の金額も高くなります。

【お香典のタブー】

香典には新札は使いません。香典をあらかじめ用意していた、つまり故人の逝去を待っていたという意味でふさわしくありません。
「4」、「9」のつく金額や偶数もよくないとされています。
地域の風習、しきたりなどにより異なる場合があるので注意しましょう。

3. 通夜の香典袋

仏式では、浄土真宗以外であれば「ご霊前」あるいは「御香典」と表書きするのが一般的です。浄土真宗のみ、亡くなるとすぐに極楽浄土に行き仏になるといわれているため「御仏前」の表書きを用います(他の宗派では四十九日以降に御仏前の表書きを用います)。
神道では「御玉串料」「ご霊前」、キリスト教では、百合の花か十字架模様の封筒に、カトリックの場合は「ご霊前」「御ミサ料」「御花代」「御花料」、プロテスタントの場合は「弔慰金」「御花代」「お花料」と書きます。

 歴史  昔は翌朝までが当たり前?!

通夜への参列の歴史

通夜とは元来、家族や親族、親しい友人だけで、夜通し灯明と線⾹を絶やすことなく、死者に寄り添い守ることでした。明治大正期の通夜は夜通し僧侶による読経が行われ、故人に親しい⼈たちが集い⼀晩、地域によっては⼆晩続けて丸通夜が⾏われていました。参列者は読経の合間に供される料理や酒を口にしながら故人を偲んでいたようです。丸通夜では、故人との縁がかなり深い人以外は途中で退席したため、これが半通夜の始まりと言われています。昭和期に入り、丸通夜での飲酒で醜態をさらす弔問客が増えたことから、『葬儀の心得』という書籍が発行され、戦時中に厳粛性が求められるようになり、通夜は時間限定で儀式的な「半通夜」がしめやかに行われるようになりました。高度経済成長期には、地域の関係性が弱まり、都市部の住宅事情も変化し、自宅で親族や近隣の手助けによる通夜を行うことが難しくなりました。さらにこの時期には一般の弔問客も増え、通夜の会場は寺院や葬儀場へと移り、親しい関係者以外の⼈も含めた会葬者の儀礼の意味合いが強くなっていきました。

4. お悔やみの言葉

受付などで交わす挨拶としてのお悔やみの言葉は、平凡でありきたりのものがよいとされています。不必要な言葉によって差し障りがあることもあるので、短くすませるのが無難といえます。

【お悔やみのNG】

故人との関係性等により異なりますが、一般的には下記のことに気を付けた方がよいでしょう。

  • 死因や病状などを聞くこと
  • お悔やみを言う時に笑顔を見せること
  • 子供を亡くされた場合に自分の子供の話をすること 

【お悔やみの留意点】

「この度はご愁傷さまでございます。心よりお悔やみ申しあげます」などがお悔やみの言葉として一般的です。留意点としては、宗教による用語の違い。
「ご冥福をお祈りいたします」は仏式のみ「成仏」「往生」なども仏教用語のため、ほかの宗教では使えません。
キリスト教では、お悔やみのかわりに「帰天」「召天」という言葉を用います。

お悔やみの長電話は禁物

喪家に電話する際は、長々とお悔やみを伝えることはタブーと言われています。これは葬儀等の準備で忙しい喪家を気遣ってのことです。

■重ね言葉は使わない
不幸を連想させる「浮かばれない」、「迷う」などの忌み言葉や「わざわざ」、「またまた」などの重ね言葉は控えるようにしましょう。

■僧侶が読経中は席を立たない
やむを得ず途中で離席や退席する場合でも、僧侶が読経中は席を立つことは慎みましょう。

5. 間違いのないお焼香の作法

お焼香の作法がわからずに、不安な気持ちで順番を待つ。葬儀は故人を偲ぶ大切な時間なので、そうならないためにも、作法は覚えておきましょう。

【抹香での焼香】

①遺族に向かって一礼、祭壇の手前まで進む

②祭壇に向かって一礼、焼香台の前に進んで合掌

③右手の親指と人指し指、中指で少量の抹香をつまみ上げる動作と同時に軽く頭を下げ、香を香炉に静かに落とし合掌

⑤少し後ろに下がって遺族に向かって一礼、向きを変えて席へ戻る

弔問・会葬・参列って
どう使い分けるの?

通夜や葬儀に参加することを、「弔問」、「会葬」、「参列」などと言いますが、これらの言葉の意味は似ているようで少し違います。「弔問」とは、故人の家を訪問して遺族にお悔やみを伝えることです。ですから葬儀前夜の通夜や葬儀後の訪問を「弔問」と呼びます。「会葬」は、葬儀や告別式などの故人との別れに関する儀式に参加することを言います。「参列」は、式典に参加するという意味で、弔事に限った言葉ではありません。結婚式やお祝い事全般に使われる言葉です。

6. 数珠の使い方

数珠のデザインは宗派により異なりますが、現在市販のものの多くはどの宗派でも通用します。
一般に男性は大きい玉、女性は小さい玉のものを用います。
数珠は、左手首にかけるか手で持ちます。
合掌の時は短い数珠の場合は、合わせた両手の親指と人さし指の間にかけ親指で押さえるようにします。長い数珠を使う時は、両手の中指にかけすり合せます。

【数珠の使い方】
数珠は左手にかけるか、 持っておく

長い数珠
合掌の時は、中指にかけ両手ですり合わせる

短い数珠
合掌する時は、両手にかけ親指で押さえる

短い数珠

7. 通夜振る舞いに案内されたら

通夜振る舞いには故人とともにする最後の食事の意味があるといいます。遺族に勧められたら一口でも箸をつけます。

【お通夜からの帰り方】

ご遺族の心労、疲れに配慮して辞去するのがよいでしょう。ただ、一度に多くの人が帰ってしまうと、遺族に寂しさを感じさせるかもしれないので、タイミングを見計らって退席します。
遺族は弔問客の出迎えや見送りをしない習わしなので、一言挨拶するか、目礼だけで辞去しても失礼にはあたりません。

お通夜は、親族や親しい友人などゆかりの深い人々が集まって、故人の冥福を祈り、別れを惜しむ大切な儀式です。残されたご遺族を思いやる気持ち、故人との思い出や故人への感謝の気持ちを持って参列するように心がけましょう。