香典

香典のマナーや相場は?

香典とは、お線香や香・お花の代わりに、故人の霊前に供える金銭を指し、通夜や葬儀、法事、法要に参列する際に持参します。
香典をお渡しするまでに、香典の相場や香典の包み方、書き方など何かと注意点が多く、葬儀のたびに不安を覚える方もいるとは思いますが、金銭が絡むということもあり、マナーを守って、相手に失礼のないように贈りたいものです。
香典の相場はご自身の年齢や相手との関係性、また葬儀か法事法要のどちらになるかによっても変化します。また香典の包み方・書き方・渡し方以外にもいくつかマナーがありますので、それらを紹介します。

CONTENTS
1. 葬儀での香典の相場(年齢と関係性別)
2. 法事での香典の相場(関係性別)
3. 香典袋の選び方と書き方
4. 香典の包み方
5. 香典の渡し方
6. 供物・供花のマナー
7. 不祝儀袋の表書き

1. 葬儀での香典の相場(年齢と関係性)

香典の相場は葬儀と法事法要で異なります。またご自身の年齢や相手との関係性によっても変化します。香典の相場を場合別で紹介します。

香典に偶数の金額を包むのはマナー違反と言われています。偶数が“重なる”という意味につながることや、“割り切れる”ことから、故人とのつながりを切るという意味につながるからです。また忌み数の「4」と「9」も控えましょう。それぞれ「死」と「苦」を連想させる数字だからです。最近では夫婦連名の場合に2万円ということも多くなっているようです。

 歴史 

香典の起源と歴史

香典は元々「香奠」と書き、「香を供える」ことを意味しました。なぜ香を供えたかと言うと、香が故人のあの世での食事になると考えられていたからです。
その後、お香から食料、そして金銭へと変遷していき、それとともに「香典」「香資」「香料」へと呼び方を変えてきました。
この変化の背景には、貨幣経済の発展が影響していると言われています。室町時代後期に、武士が金銭での香典を出したという記録もあるようですが、農村部では長い間、お米などを食料香典として送っていたようです。
その後、明治期に貨幣経済が発達し、貨幣そのものが流通したことで、食料香典から金銭香典へと変化していきました。

2. 法事での香典の相場

続いて法事・法要での香典の相場を紹介します。

3. 香典袋の選び方と書き方

香典袋の選び方と書き方を順を追って紹介します。
薄墨の毛筆や筆ペンを準備しましょう。

②香典袋を準備しましょう。仏式葬儀であれば「黒白の水引」神葬祭であれば「双銀(銀一色のもの)、もしくは双白(白一色のもの)の水引」キリスト教式であれば「水引は不必要」で、十字架や花模様のデザインが一般的で、宗教が不明の場合は白無地を選びましょう。

③表書きを書きます。事前に宗教がわかっている場合、浄土真宗以外の仏教であれば「御霊前」浄土真宗であれば「御仏前」神葬祭では「(御)玉串料」キリスト教式では「献花料」や「お花料」としましょう。不明の場合は表書きは「御香典」、「御霊前」、「ご霊前」が一般的です。

④表書きの下に名前を書きます。

うすずみ(薄墨)や灰色のペンを用いる理由

元々は、墨汁が涙で薄まって黒が薄くなったことから、悲しみを表すために薄い墨などで書くとされています。もし用意できない場合は黒くても細いペンなど、黒が目立たない(グレーに近い)筆記具で書くのが望ましいでしょう。

複数名で香典を出す場合の書き方

夫婦や友人同士など、2名以上の連名で香典を出す場合の書き方を紹介します。

夫婦

中央に夫の名前を書きます。妻はその左隣に書きますが、名字は省略しましょう。

複数の会社関係者

3名までであれば全員の名前を記します。会社名、組織名、団体名は一番右側に書きます。右から左に向かって、目下の方となるようにしましょう。4名以上の場合は全員の氏名、住所、金額を白い無地の便箋に記して香典袋に入れましょう。香典袋には「会社名・組織名 一同」としましょう。

複数の友人同士

3名までであれば全員の名前を五十音順で書くと良いでしょう。4名以上の場合は全員の氏名、住所、金額を白い無地の便箋に記して香典袋に入れましょう。香典袋には「友人 一同」としましょう。

4. 香典の包み方

香典の包み方を紹介します。

①お金を準備します。ただし新札は控えましょう。なぜなら「新札は死を予測し、事前に用意していた」という印象を与えてしまいかねないからです。もしも新札しか手元にない場合は、一度折り目をつけるとよいでしょう。

②香典袋は「外袋」と「中袋」で分けられており、中袋にお金を入れ、それを外袋で包みます。

③お札を中袋に入れる際、中袋を裏にして開けたときに、お札の表人物が描いてある方が上になるように入れましょう。また、上下は、人物が下にくるように入れ、お札が2枚以上の場合には、お札の向きを揃えることを忘れないようにしましょう。

④最後に香典袋を袱紗(ふくさ)に包んで持参しましょう。

袱紗(ふくさ)の相場

袱紗は葬儀だけでなく、結婚などのお祝い事でも使用します。とはいえそれほど利用する機会は多くないかもしれませんが、決して高い金額ではないため、万が一のために購入を検討しておくのも良いでしょう。
ちなみに袱紗はインターネットであれば1000円程度のものから、高品質や素材、デザイン性を求めた場合は、10000円程度のものもあります。
なお、慶弔ともに使用可能な色は紫色の袱紗です。

5. 香典の渡し方

最後に香典の渡し方を紹介します。

受付で一礼をし、お悔やみの言葉を述べましょう。

②袱紗を開いて袋を取り出し、袱紗をたたみ、その袱紗の上に香典袋をのせて、相手側が表書きを読み取れるように向け直し、両手で渡しましょう。

もしも通夜や告別式、法事に参列できない場合は、香典を現金書留(お手紙同封可能です)で郵送しましょう。その際に参列できないことに対するお詫びとお悔やみの言葉を添えると良いでしょう。

【文例】

○○さんの突然の訃報に接し、ただ驚いております。
ご入院中とは伺っておりましたが、ご遺族の皆様のご心中もいかばかりかと存じ、心よりお悔み申し上げます。
本来ならばご葬儀に参列し直接お悔やみを申し上げたいところですが、あいにく遠方のため、ご葬儀に参列できず誠に申し訳ございません。
心ばかりですが、御香料を同封いたしますので、御霊前にお供えしていただくようお願い申し上げます。
略儀ながら書中にて、謹んでご冥福をお祈りいたします。

6. 供物・供花のマナー

故人の霊を慰めるために霊前に供える品物を「供物(くもつ)」、霊前に供える花を「供花(きょうか・くげ)」といいます。贈る際は、喪家の意向を確認してからにしましょう。
供物は、宗教によって贈って良いもの、いけないものがあります。仏式の場合は線香やろうそく、果物、干菓子などが一般的です。酒、魚、肉は贈ってはいけません。
神式の場合は、果物や和菓子、お酒、ろうそくが多いようです。線香は贈ってはいけません。
キリスト教式の場合は、供物を贈る習慣がないため、花だけにしましょう。
供花で花輪を贈るのは、会社や団体、公的な立場の個人が一般的で、個人的に花を贈りたい場合は生花が適当です。
供物・供花ともに通夜に供えるときは当日の午前中まで、葬儀・告別式であれば前日までに届くようにしましょう。

7. 不祝儀袋の表書き

不祝儀袋の表書きは、宗教や宗派で異なります。一般的な表書きを挙げておきます。

  • 御霊前
    葬儀のとき霊前に供える金包みに使います
  • 御香典
    香の対価として供える金品に使います
  • ご仏前
    四十九日以降の法要に供える金包みに使います
  • 御花代
    香や花の代わりに供える金包みに使います
  • 御供
    仏前に供える菓子などの品物に使います
  • 御布施
    葬儀や法要など僧侶へのお礼の金包みに使います
  • 回向料
    お布施と同様です
  • 御膳料
    僧侶が酒食を辞したときに渡す金包みに使います

  • 香典返しや引き出物の表書きに使います
  • 寸志
    通夜や葬儀の際、お手伝いの人、火葬場の係、車の運転手などへのお礼の金包みに使います

香典袋はコンビニや書店、スーパー、デパートなどあらゆるところで購入が可能です。そのため、突然の訃報でも準備できないということはないでしょう。
しかし、突然の訃報に「何をどう書いたらいいかわからない」、「いくら包めばいいかわからない」という方は増えています。
葬儀は、故人との最後のお別れの場です。それは参列者だけでなく遺族も同様です。香典のマナーを知らずに渡すと残念な思いが残ります。
香典の書き方はそれほど難しいわけではありません。いざという時に困らないようにしたいものです。