宗派を問わないオシャレ数珠の選び方5つのポイント
まだちゃんとした数珠を持っていないという方、意外に多いのでは? 欲しいとは思うけれど、どんなものを選べばいいかわからない。絶対必要なものか、なくても困らないのか、相場はいくらくらいなのか……。そんな基本的なギモンから最新のオシャレ数珠の選び方までを、“数珠のプロ”に聞きました!
お話をお聞きした方
滝田商店 EC事業部チーフ・仏事コーディネーター
村崎雅枝さん
大正2年に東京浅草で創業した仏壇・仏具・数珠専門店「滝田商店」のスタッフ。店舗内には“関東随一の品揃え”を誇る数珠コーナーがあり、数珠選びで迷う方には丁寧にアドバイスを行う。滝田商店ではネット通販も充実。EC事業部チーフである村崎さんは、ファッションのトレンドも常にチェックし、オシャレ数珠の商品開発も手がける。
Q.まだ数珠を持っていませんが、やっぱりひとつは必要?
数珠は念珠とも呼ばれ、これを持って仏さまに手を合わせることで煩悩が消滅し功徳を得られるとされています。絶対になければならないということもありませんが、やはり最低でもひとり一連(ひとつ)は持っておきたいものです。ちなみに数珠は家族であっても貸し借りはNGのため、自分だけのものが必要になります。
数珠は葬儀の際だけでなく、法事やお彼岸・お盆などの墓参り、自宅で仏壇に手を合わせる際に使われる方もいて、そういう意味では日常の中で欠かせないものと言えます。急なお通夜ができて会社からそのまま平服で参加する際も、数珠さえあれば失礼に当たらないということから、自宅用と会社用に二連(ふたつ)用意しているという方もおられます。
数珠は仏具なので仏教徒以外の方は持たなくてもよいのですが、周囲の目が気になるという方は、宗教や宗派を問わない略式の数珠を持つとよいでしょう。
Q.数珠を選ぶ際に最低限知っておきたいポイントは?
1.まず本式数珠か略式数珠かを選択
正式な数珠は宗派によって形が異なるため、自分の宗派に合わせて選びます。一方、略式数珠は、宗派に関係なく幅広いシーンで使えます。
2.男性用か女性用かこども用か選ぶ
珠の大きさにより男性用と女性用があり、男性は大きい珠の数珠、女性は小さい珠の数珠を選びます。さらに、お子さまには小さな珠のこども用もあります。
3.あとは好きな色・デザインを選べばOK
略式数珠のデザインはだいたい一緒です(珠のカットがやや変わったものがあるくらい)。なので、ほかの人と少し違ったものをと求める方は、珠の素材や色で差を付けることになります。葬儀で使うものだけに、みなさん「赤やピンクなど派手な色を選んでもいいの?」と疑問を持たれることも多いようです。でも、数珠の色や素材に決まりはありません。仏具を扱う専門店で取り扱っている数珠であれば、どんな色であってもマナー違反に当たるようなことはありませんので、好みでお選びください。
Q.20~30代女性におすすめのオシャレな略式数珠の選び方は?
では、当店で扱っている略式数珠を例に挙げながらご紹介しますね。
ポイント1
トレンドカラーを選ぶ
ファッションのトレンドカラーが数珠選びにも影響大。ここ数年は、パープルやグリーンの人気が高く、数珠だと少し年配向け? というイメージもあるのですが、当店でお買い求めになる若い女性の方には次のような商品がかなり売れ筋なんですよ。
ポイント2
可愛らしいピンク色で差を付ける
20~30代はもちろん、年代を問わず人気なのがピンク色です。好きな色を選ぶことで気持ちも明るくなれる気がしますね。当店ではお母さまが娘さんの結婚のお祝いに数珠をプレゼントしたいとお買い求めに来られることも多く、次のようなピンク色の数珠が人気です。さらに個性的なものをお求めの方には、黒オニキスにピンク色がアクセントになったタイプもおすすめです。
ポイント3
個性的な素材を選ぶ
珠の主な素材は石(オニキス、水晶、メノー、ヒスイ、サンゴなど)、貝(パール)、木ですが、この中で木はあまり数も少なく、個性的。手触りもよく、ナチュラル志向の方におすすめです。ほかに、伝統工芸品の七宝焼きを採用したタイプも。こちらはかなり珍しいので、みんなと違う数珠を持ちたいという方にはおすすめです。
珠はさくら材、房は正絹を藍の若葉で染めた「ibuki 生藍」
ポイント4
美しいカットの珠を選ぶ
珠の形は通常は丸ですが、個性的なカットが施されたタイプもあります。光が当たるとキラキラして、まるでアクセサリーのような感覚で持つことができます。
ポイント5
誕生石を選んでオリジナリティを
自分の誕生月の宝石を取り入れることで、自分だけのオリジナリティと石のパワーを得られるというメリットが。こちらの商品は、12種類の誕生石と5種類の房を自由な組み合わせで選び、親玉(房が取り付けてある珠)に名前や好きな言葉3文字を入れることができるオーダーメイド品です。
オーダーメイドの「私だけの念珠」
Q.持ち運びの仕方や普段のお手入れはどうすればいい?
数珠を長持ちさせるために、専用の数珠袋に入れて持ち運ぶようにしましょう。当店の商品は、房が絹なので折れた線などは付きませんが、化繊が使われている場合は折れた線が付いてしまうと戻らなくなることも。そうならないように専用の袋に丁寧にしまって携帯しましょう。
数珠を使ったあとは、柔らかい布で軽く皮脂などの汚れを拭き取り、数珠袋や桐や紙の箱の中へ。木製の数珠の場合は虫が付くこともあるため、防虫剤を入れておくとよいでしょう。
数珠を長く使っていて、劣化により紐が切れてしまったら、それは縁起が悪いわけではありません! 悪い縁が切れて良かったと肯定的に受け取りましょう。珠をなくさないようにすれば、修理して再び使うこともできます。もし不要になったときは、ゴミに出して処分するのはNG。お炊き上げ供養が必要になります。修理や供養は当店などの仏具店で承ることができますので、相談してみてください。
Q.こども用の数珠とは? 持たせることのメリットは?
例えば当店ではお子さま用の数珠も取り扱っています。10歳以上になれば大人と同じサイズ(女性用)を使うこともできますが、それ以下の小さなお子さまの場合は、大人用だとやはりサイズが大きすぎて使いづらいからです。
小さいこどもは親のマネをしたがるもの。親御さんとお揃いの数珠を持ち、親のマネをして仏さまに手を合わせることは、情操教育にも良いのではないでしょうか。
「青虎目石」大人(男性)用〈左〉とこども用〈右〉
「本水晶 紫雲石仕立て」大人(女性)用〈左〉とこども用〈右〉
こだわって選んだ数珠をステキに使いこなしている女性を見かけたら、ちょっと憧れてしまいますよね。しかも、お子さん(女の子)とお揃いの数珠を持ち、ママが使い方を教えてあげながら一緒に仏さまに手を合わせていたら、微笑ましくもあり、親御さんの株も一気に上がりそうです。今回の記事を参考に、お気に入りの数珠を手に入れるべく、探し始めてみませんか?