【何て言えばいい?】【気を付けることは?】
子供への死の伝え方
身近な人や、可愛がっているペットが亡くなったとき、子供に「死」をどう伝えたらいいのか悩むことがあると思います。今回は子供への死の伝え方や、気を付けること、さらにお子さんを持つ方が実際にどのように伝えたのかを聞いた、実例エピソードや絵本をご紹介します。
子供は「死」をどう理解する?
乳幼児の場合、死はまだ理解できませんが、母親などと離れた場合、不眠や体重減少などの変化が起きることがあります。
2~6歳の場合、死は眠りのようなものとして捉えることが多く、故人が生き返る、もしくはどこかで生きていると考えることも。そのため「どうやってご飯を食べるの?」などと質問することもあります。
子供に「死」をどう伝えるのがいい?
一番大事なのは、子供の年齢やその子の発達段階に合わせて伝えてあげること。幼い子にとっては「死」を言葉だけで理解するのは難しいため、「お星様になったんだよ」「お花が咲いている天国に行ったんだよ」と、おとぎ話のように伝えてもいいでしょう。
気を付けるべきことは?
「死」の原因が自分にあると考えてしまい「私のせいで死んじゃったの?」「私や他の人にも同じことが起こるの?」など、不安や悲しみが長く続いてしまう子も。「あなたのせいじゃないんだよ」「いつでも泣いていいんだよ」と、不安や悲しい気持ちを受け止め、優しく真摯に対応する姿勢が大切です。
実際に「死」をどう伝えた?
ここからは、お子さんを持つ方が「死」をどのように伝えたのかをご紹介します。
事前に“お見送りしようね”と伝えた
1歳のときに母方の、3歳のときに父方の曽祖母が亡くなり、それぞれ「ひいおばちゃんが天国に行くことになったから、お見送りしようね」と葬儀が始まる前に伝えました。3歳のときには「ひいおばあちゃんがいるから、あなたが今いるんだよ。」とも。本人は理解できていないだろうと思いますが、きちんと伝えることが大事かなと考えていました。
葬儀では、本人はマイペースに過ごし、親戚のお姉さんと遊んでもらうなど、その様子を見て、逆に大人が癒されていたのではと思います。
今でも実家に帰ると、一緒におばあちゃんの祭壇にお線香をあげるようにしています。
(青い魚さん)
少しずつ理解を深めているよう
私たち親は、「本人が知りたがったら教えよう。理解ができなかったら、今すぐ理解させなくてもいい」と思っていたので、日頃、何か積極的に伝えることはしていませんでした。
ただ、息子が4歳の頃、ずっと仲良く遊んでいた愛犬が、元気がなくなっていく様子を見て「元気ないね。犬ってどれくらい生きるの?」と質問をするなど、本人なりに理解を深めている様子でした。
その愛犬が亡くなったときは、最後だとわかっているようで、火葬直前まで撫でていました。火葬後は一緒に骨を拾い、「お家に連れて行きたい」と言うので、少し分けてもらい大切に飾っています。今でも親子で愛犬の話をすることも。
(Sandyさん)
葬儀の参列で成長を感じられた
私自身が小さい頃、「死んだらどうしよう」と死に対して怖いイメージを持っていたことを覚えており、自分の子供には、あえて死について積極的には伝えていませんでした。
ちょうど5歳になってから、曽祖母の葬儀に参列する機会があり、「もう会えない」のは理解したようで、以前より死についての質問が多くなったと感じています。
改めて曽祖母の死について聞いてみると「あまり悲しくなかった。友達が死んだら悲しいけど…」と、自分の立ち位置や感情を理解しているよう。子供なりに成長していて、死の概念が構築されているんだなと感じました。
(M.Kさん)
子供と一緒に「死」を考える絵本
「死」への悲しみや不安をそっと包んでくれる絵本を集めてみました。子供に教えるのではなく、一緒に寄り添って考えてみてはいかがでしょうか。
ずーっとずっとだいすきだよ
作・絵:ハンス・ウィルヘルム 訳:久山 太市 出版社:評論社
大好きな犬のエルフィーと一緒に育った男の子。エルフィーは男の子より早く年をとって、ある日、お別れが来てしまいます。でも、男の子はいくらか悲しみが和らいだのです。それは毎晩エルフィーにちゃんと想いを伝えていたから。生きているうちに、周りの人やペットに想いを伝える大切さに気付かせてくれる1冊。
わすれられないおくりもの
作・絵:スーザン・バーレイ 訳:小川 仁央 出版社:評論社
かしこくて優しいアナグマの死。前半はアナグマの立場から、後半は残された友だちの立場からストーリーが語られます。動物たちが思い出を語り合い、アナグマの“おくりもの”に気が付くのです。冬を越え、春を迎える時間の経過と共に、動物の心が癒されていくお話です。
うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん
作・絵:ディック・ブルーナ 訳:まつおか きょうこ 出版社:福音館書店
うさこちゃんの大好きなおばあちゃんが亡くなったお話。うさこちゃんやその家族の悲しみ、お墓のことがシンプルに描かれています。小さい子でもわかりやすく「ひつぎってなあに」「この後、どうなるの?」など興味を持って読める絵本です。
おじいちゃんのごくらくごくらく
作:西本 鶏介 絵:長谷川 義史 出版社:鈴木出版
「ごくらくごくらく」が口癖のおじいちゃんと、おじいちゃん子の「ぼく」。おじいちゃんの「ぼく」を見つめるまなざしがとっても優しく、「ぼく」もおじいちゃんが大好きな気持ちが伝わってきます。読んだ後は温かな気持ちに。
このあとどうしちゃおう
作:ヨシタケシンスケ 出版社:ブロンズ新社
おじいちゃんが亡くなる前に書いていた「このあとどうしちゃおう」ノート。そこには死んだ後どうしたいかが書かれています。ユーモアたっぷりで、思わずくすっと笑ってしまう部分も。でも最後は「今、生きていること」を考える主人公にはっとさせられます。
まとめ
人や生き物はいつ死ぬのか、死んだらどうなるのかは、大人にも分かりません。死の不安や悲しみを和らげるため、子供に伝えなくては、教えなくてはと悩むのではなく、寄り添いながら、一緒に考えることが大事なのかも。ゆっくりと「死」について考える時間をお子さんと一緒に持ってみてはいかがでしょうか。
イラスト:徳丸ゆう