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今さら聞けない意味や由来も解説!
お彼岸っていつ?なにするもの?

「お彼岸」はよく聞く言葉ですが、その意味や由来、なぜこの時期に行うのか、お盆との違いなど詳しく説明できる人は意外と少ないかもしれません。この記事では、お彼岸の基本的な意味から、事前準備、当日の過ごし方まで分かりやすくご紹介します。お彼岸をより深く理解して、家族と有意義な時間を過ごしましょう。

お彼岸とは?

お彼岸は、春と秋の年に2回行われる行事で、春分の日と秋分の日を中日(ちゅうにち)とした前後3日間、合計7日間を指します。この期間は、私たちが生きている煩悩や迷いの多い世界「此岸(しがん)」と、死後の悟りの世界である「彼岸(ひがん)」が最も近づく時期とされています。

お彼岸の由来や意味

お彼岸という言葉は、仏教用語でありサンスクリット語の「波羅蜜多(パーラミター)」を漢訳した「到彼岸(とうひがん)」を略した言葉の「彼岸」から生まれたと言われています。サンスクリット語の「パーラミター」とは、この世の苦しみや煩悩から逃れ、悟りと安らぎの境地に至ることを意味します。
お彼岸の期間は、私たちもこの世に生きながらにして彼岸へ近づくための修行を行う期間とされています。具体的に何を行うかと言うと、先祖供養を通じて感謝の気持ちを表したり、仏教修行をすることで自身の内面を見つめ直したりする期間となります。仏教の教えでは、六波羅蜜と呼ばれる6つの正しい行いを実践する時とされています。

お盆との違いは?

お彼岸とお盆は、どちらも先祖供養を行う年中行事ですが異なる部分があります。 お彼岸は、お墓参りなどを通じて感謝の気持ちを表し、自身の内面を見つめ直す期間です。一方でお盆は、ご先祖様の霊がこの世に戻ってくる期間であり、先祖様のお迎え・お見送りをするときには玄関先やお墓の前で「迎え火・送り火」を焚く風習があります。

2024年の秋のお彼岸はいつ?

2024年の秋彼岸は、9月22日(日)の秋分の日を中日とした前後3日間なので、9月19日(木)から9月25日(水)までの7日間です。

お彼岸には何をするの?

お墓掃除、お墓参り

お彼岸には、家族でお墓の掃除とお墓参りを行います。お墓に到着したら、掃除を始める前にまずはご先祖様に手を合わせて、これからお掃除をさせていただく旨を伝えましょう。お墓掃除はまずは下の敷地、そして石塔の上から下へという順番で進めます。

  1. 敷地内の剪定と掃除
    敷地内に木が植えられている場合は、最初に剪定しましょう。次に雑草を抜き、落ち葉やゴミを集めます。このとき、枝や枯葉などが隣のお墓に入らないよう注意しましょう。
  2. 墓石の掃除
    次に墓石の掃除です。柔らかいスポンジや布を使い、優しく水をかけながら拭いて汚れを落としましょう。きれいになったら、墓石を乾いたタオルで拭きましょう。特に文字の彫刻部分や細かい装飾部分は汚れやすいので念入りに。墓石を拭く際には、故人の身体を拭いてあげるような優しい気持ちで接するとよいでしょう。
  3. 花筒や線香皿の掃除

    花筒は、取り外して中身を捨て、綺麗に洗いましょう。花筒には新しい水を入れ、新鮮な花を生けます。線香皿は、古い線香の燃えカスを取り除き、綺麗に磨きましょう。
  4. お供え物をする
    お供え物は、故人が好きだったもの、季節を感じられるもの、心を込めて選んだものを供えるのがよいとされています。お盆や台、半紙に上にお供え物を置きましょう。
  5. 掃除が終わったら手を合わせる
    すべての掃除が終わったら、線香を焚いてもう一度手を合わせましょう。お墓参りが終わったら、お供えした食べ物や飲み物は、お墓に残したままにせず持ち帰りましょう。

お墓参りに必要な
アイテムもチェック

【掃除道具】
柔らかめのブラシやスポンジ、タオル(水拭き用と乾拭き用の2枚)、ゴム手袋や軍手、植木バサミ、ごみ袋

【お供え物】
お花、食べ物や飲み物、お水、お盆や半紙

【お参りに使うもの】
数珠、ろうそく、お線香、マッチやライター

※ほうきやちりとり、手桶、ひしゃくなどは寺院や霊園に用意されていることが多いので確認しましょう。

仏壇・仏具の掃除・お参り

掃除前にはご先祖様へ「これからお掃除をします」と合掌しましょう。そして仏壇に乗っている仏具や花を取り出して掃除しやすい状態にします。このとき、移動する前にスマホ等で写真を撮っておけば戻すときに間違えないので安心です。

仏壇はまず、毛払いという道具でお仏壇全体と内部のごみやホコリをはらいます。その後、柔らかい布で拭いていきましょう。仏具は毛払いでホコリをはらったあとは、素材に合わせて掃除しましょう。真鍮のものは専用の研磨剤を使ってお手入れをしたり、金メッキのものは乾いた布で軽く拭くなどしましょう。位牌などを掃除するときは、金の部分は剥がれてしまう恐れがあるため触れないように気をつけましょう。

お寺主催の彼岸会に参加

お彼岸の時期には、お寺が「彼岸会(ひがんえ)」と呼ばれる合同法要を行うことがあります。お寺によっても異なりますが、参加にはお布施が必要で一般的な相場は3,000円~10,000円とされています。

お彼岸のお供え物

おはぎ・ぼたもち

お彼岸の定番のお供えといえばおはぎとぼたもちです。この2つは同じものですが季節によって呼び名が変わります。春は「ぼた餅」で牡丹、秋は「おはぎ」で萩の花が由来となっています。

彼岸団子

地域によっては彼岸団子をお供えすることがあります。彼岸団子とは、白い団子を積み重ねたお菓子です。個数にはある程度決まりがあり、六道を表して6個が一般的です。

季節の果物

お彼岸のお供え物として、旬の果物は彩りも豊かなのでご先祖様への感謝の気持ちを伝えるのにぴったりです。旬でなくても年間を通して購入しやすいもので日持ちするものもお供え物にすることも多いです。

故人が好きだった食べ物・飲み物

故人が好きだったお菓子や飲み物もふさわしいです。ただし、仏教の教えにのっとり肉や魚介類は避けましょう。最近ではお寿司やビールなどの形をしたローソクがありますので、それをお供えしてもよいでしょう。

精進料理

肉や魚介類を使わずに作られた精進料理をお供えすることもあります。このような精進料理をお供えする際には、御料具膳(おりょうぐぜん)と呼ばれる、仏様へのお供え物専用のお膳を使います。

まとめ

お彼岸は、ご先祖様や故人を想い、供養する大切な年中行事です。家族でお墓参りをしたり、彼岸会に参加したりすることで、慌ただしい日常から少し離れ、故人を偲び、心穏やかに過ごす時間を作ってみてはいかがでしょうか。お彼岸の期間などに、ご家族でお墓参りに出かける予定を立ててみるのも良いですね。

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