雨の日の結婚式・葬儀、靴はどうすればいいの?
雨の日の結婚式や葬儀への参列で気になるのは足元。もし靴が濡れてしまったら?雨で滑りやすい場所をヒールで歩きたくない!会場で靴を履き替えてもいい?……など、疑問や心配がつきません。
そこで、結婚式と葬儀それぞれの会場担当者に、雨の日の靴のお悩みを解消するアドバイスをいただきました。まずは結婚式&葬儀の靴のマナーを知ることから始め、雨の日の靴選びのポイント、おすすめの対処法&お役立ちグッズまでをご紹介します。
お話をお聞きした方
【結婚式について】
ノートルダム大阪ONE 支配人・八田真一さん
ユニバーサルシティ駅から徒歩2分の好立地にある「ノートルダム大阪ONE」の支配人として活躍。こちらは12~15階から見える絶景が自慢で、地上60mの独立型チャーチやワンフロア貸し切りのパーティ会場を有する
【葬儀について】
(株)日本セレモニー 近畿フューネラル事業部総支配人・河内山雅人さん
全国80カ所を超える支店、25の結婚式場、220を超える斎場式場を有する(株)日本セレモニーの近畿地区・葬祭部門を統括。日本セレモニーでは、月々の積み立てで結婚式や葬儀に備える会員制の「ナイスライフシステム」が好評
知っているようで意外と知らない 冠婚葬祭の靴のマナーをおさらい
まずは、結婚式&葬儀に参列する際の靴のマナーを改めてチェックしてみましょう。
Q.結婚式に参列する際の靴のマナーとは?
「フォーマルな席にふさわしい上品で華やかな靴を選びましょう。サンダルやオープントゥはカジュアルな印象のためNGなど、具体的な注意点は以下を参考に」(八田さん)
- 素材…光沢のあるエナメルやサテン、レースなどがベスト。動物柄やファーの飾りなど殺生をイメージさせる素材はNG(本革やスエードはOK)
- カラー…何色でもよいが、バイカラー(ツートンカラー)は“別れ”を連想させるため避けたい。
- ヒール…できるだけ細くて高め(3cm以上)がフォーマル。ただし、妊娠中や足腰に不調がある、ヒールが苦手などの場合は無理をせず、ヒールなしor低めのパンプスを。
- デザイン…カジュアルな印象のサンダルやミュール、つま先が開いたオープントゥは避ける。特にオープントゥは、ヒールが高いオシャレなデザインのものであっても、つま先が“妻が先(立つ)”という意味を連想させて縁起が悪いためNG。
- そのほか…生足はカジュアルなため避け、ストッキングを着用のこと。黒はNG。
Q.葬儀に参列する際の靴のマナーとは?
「色は漆黒の無地で、華やかさのないデザインの靴を。そのほかNGも多いため、以下を参考にマナー違反にならないような靴選びを心がけましょう」(河内山さん)
- 素材…なるべくツヤのない本革・合成皮革・布がベスト。エナメルは華やかな印象のため避けること。殺生のイメージが強いヘビやワニ革、スエードはNG。
- カラー…漆黒の無地。畳敷きの控室などに靴を脱いで上がることもあるため、中敷きの色も地味であること、靴の底や側面などに派手な色が使われていないかについても配慮を。
- ヒール…ヒールなしはカジュアルすぎるため避ける(妊娠中や足腰が不調などの場合は除く)。ヒールの高さは3~5cmがベスト。ヒールの太さは細すぎると華やかすぎ、太すぎるとカジュアルすぎるため、中程度を選ぶこと。
- デザイン…カジュアルなスニーカー、サンダル、ローファー、ブーツなどは避け、パンプスを選ぶ。パンプスのつま先が尖ったポインテッドトゥは華美な印象のためNG、つま先があいたオープントゥはカジュアルな印象のためNG。また、リボンなど華やかな装飾や金具のストラップ付きは避ける。
- そのほか…生足はカジュアルなため避け、黒のストッキングを着用のこと。肌色はNG。ヒールのカツカツ音が響きすぎないよう、足にフィットしたサイズの靴を選び、ヒールの底のゴムがすり減っていないかも確認を。
「補足ですが、靴を脱ぎ履きする場面では必ずと言っていいほど靴の取り違えが発生しますので、洗濯バサミなど目印になるものをご持参されるとよいでしょう」(河内山さん)
結婚式or葬儀当日に雨だった場合の靴の選び方や濡れた際の対処法
マナーに沿った靴をせっかく準備したのに、当日が雨だったらガッカリ。そして、会場に行くまでに濡れてしまったらどうしようと、困ってしまいます。天気予報をこまめにチェックし、もし雨が降ったらどのように対処するか、以下を参考に事前に準備をしておくとよいでしょう。
Q.濡れてもいい靴で行き、玄関先で履き替えてもいい?
結婚式
「はい、もちろんOKです。雨の日は靴が濡れるだけでなく、足元が滑りやすくなっているため転倒の危険性も高まります。もし転んで洋服が汚れてしまったり、もしケガをされてしまったりすると、何よりも新郎新婦が責任を感じてしまい、祝福ムードに水をさしてしまいますので、安全第一でお越しいただければと思います。そういう意味でも、レインブーツや濡れてもいいスニーカーなど滑りにくく歩きやすい靴で来ていただき、会場に到着後、持参した靴に履き替えるのがおすすめです。結婚式の場合、会場にもよりますがゲスト専用更衣室を用意しているところも多いので、玄関先ではなく更衣室でゆっくりお履き替えを。靴を履き替える場所を聞かれ、嫌な顔をするような会場はないと思いますので、どうぞお気軽にスタッフまでお声がけください」(八田さん)
葬儀
「玄関先でのお履き替えももちろんOKですが、基本的には入口に案内スタッフがいると思いますので、そちらでお声がけを。葬儀会場では更衣室の準備がないことも多いのですが、使っていない控室などがあればご案内できます」(河内山さん)
Q.履き替えた濡れた靴は、どうすればいい?
結婚式
「持参したビニール袋などに入れてクロークでお渡しいただければお預かりいたします。ビニール袋などをお忘れの際もおっしゃっていただければご用意できますので、遠慮なくご相談ください」(八田さん)
葬儀
「クロークでのお預かりのほか、ロッカーが用意されている会場では、濡れた靴も気軽にロッカーへお預けください」(河内山さん)
Q.雨の日に、会場側で準備していることはありますか?
結婚式
「洋服が少し濡れてしまったり、髪が乱れてしまったりといった際には、タオルやドライヤーをお貸し出しできますので、ご相談ください。また、お帰りの際に引き出物が濡れないよう撥水性の紙袋に加え、上からすっぽりかぶせる雨除けのビニール袋もご用意しております」(八田さん)
葬儀
「雨の日には、玄関先にご自由に使っていただけるようタオルを準備する会場も多いと思います。肩やバッグが濡れたり、靴を履き替える時に濡れた足を拭きたいといった際などにお使いください。余談ですが、雨の日以外に冬の雪の日なども同様に、会場までブーツで来て式用の靴に履き替えていただければ大丈夫です。また、ひざかけを持参して利用していただくのもマナー違反ではありません(色はできれば落ち着いたグレーや茶などで、キャラクターなどが描かれていないものを)。冬だけでなく、夏も冷房が効いていますので、冷え性の方はぜひご準備を」(河内山さん)
Q.ちなみに、傘についてのマナーや注意事項は?
結婚式
「傘のマナーは特にありません」(八田さん)
葬儀
「傘も黒の無地がベストなので、喪服を揃えるとき一緒に傘も購入しておくとよいですね。黒以外であれば、ビニール傘を選ぶと無難です。ただしビニール傘は取り違いも頻発しますので、先に述べた靴の洗濯バサミと同様に、傘にも自分用のマーク(目印)を準備しておくのがおすすめです」(河内山さん)
降水確率が高くなる梅雨シーズンには
雨対策グッズを準備しておくのもおすすめ
荷物が多くなるので靴の履き替えは避けたい、そんなに大雨ではないから参列用の靴で出かけたい……そんなときには、撥水スプレーやレインシューズカバーを使うなどのアイデアもあります。以下でおすすめの商品を厳選してご紹介します。
【アイデア1】
市販の撥水スプレーを使って靴を防水仕様に
靴に撥水スプレーを使用しておくことで濡れるのを防止できます。汚れ防止にもなるため、効果が切れないよう定期的にスプレーしておくのがおすすめです。こちらの商品は、革や布、ナイロンなどあらゆる素材に対応し、靴・傘・バッグ・洋服にも使用できる優れもの。20cmほど離して全体にスプレー後、約10分自然乾燥するだけと、簡単なのも魅力です(撥水・防水スプレーは一度に大量に吸い込むと危険です。風通しの良い屋外でご使用ください)。
【アイデア2】
靴をすっぽり覆うレインシューズカバーを利用
レインシューズカバーは、使い捨ての簡易的なものからシリコン製の完全防水タイプまでいろいろ。ヒール部が開いているパンプス用もあり、会場まで大切な靴を雨からしっかり守ることができます。以下の商品は、靴をすっぽり覆うことができて見た目もスマート(金属など装飾付きは使用不可、対応サイズは22.5~25.5cm)。裏面には凹凸もあり、滑りにくいのもポイントです。
【アイデア3】
デザイン性に優れた晴雨兼用のパンプスを選ぶ
雨に強い素材を使ったレインシューズというと、デザイン的にイマイチ?と思いがちですが、最近は結婚式にもそのまま履いていけるオシャレな本革の晴雨兼用パンプスが登場。以下の商品は、革なめし段階から撥水加工を施して、雨水を弾き、底の隙間は水の侵入を防ぐ特殊加工、靴底は滑りにくいスリップ防止のラバー製になっています。さらに、インソールには高反発と低反発クッション入りなど足が疲れにくい工夫が満載で、8cmのヒールながら、履き心地も満点です
葬儀に履いて行けるタイプなら、こちらがおすすめです。靴の内部には、防水耐久性と透湿性を備えたゴアテックスファブリクスを採用。雨の日でも靴の中が濡れることはありません。中程度のヒールの太さで、ヒール高は5cmと少し高めですが履き心地は抜群です。
梅雨真っ只中のこの時期。雨の日にも快適に過ごせる結婚式用、葬儀用のそれぞれの靴や雨対策グッズを揃えておくといいですね。