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こどもの習い事やお稽古が上達するパワースポット

最近お子さまが音楽やダンスなどの習い事を始めたという方もいらっしゃるでしょう。がんばるお子さまを応援する意味を兼ねて、芸事にご利益がある寺社を訪れてみませんか?

芸事にご利益がある神様と言えば、音楽の神「弁才天=弁財天」、芸能を司る「天宇受売命(あめのうずめのみこと)=天鈿女命(あめのうずめのみこと)」が有名です。それぞれを祀る寺社は全国にありますので、旅行や帰省がてらお子さまを連れて参拝してみましょう。

“音楽”なら、七福神の紅一点「弁才天(弁財天)」

日本には古くから「稽古始め」の風習があり、邦楽や舞踊、能、歌舞伎など伝統芸能の手習いを始めるのは6歳の6月6日が吉とされてきました。現代では、入園・入学のタイミングで楽器やダンスのレッスンを始めるお子さまも多いでしょう。

音楽系の習い事を始めたお子さまの上達を願うなら、音楽の神「弁才天」へ。弁天様とも呼ばれる弁才天は、七福神のなかで唯一の女性神。もともとは、ヒンドゥー教の女神「サラスヴァティー」のことです。

弁才天は、琵琶に似た弦楽器「ヴィーナ」を持ち、学問や芸能、特に音楽にご利益があるとされています。古代インドのサラスヴァティー川の化身であることから、五穀豊穣の神でもありました。日本では川の流れの音にちなみ「妙音天(みょうおんてん)」、または川の流れのように弁舌がよどみないということから「弁才天」と呼ばれるようになりました。のちに、吉祥天と混同し、福徳賦与の神として「弁財天」とも表記されるようになりました。

旅行を兼ねて、お子さまと一緒に「日本三大弁才天」へ!

弁才天(寺社により表記が異なりますので、下記文中では寺社での表記にならっています。)は仏教の神様ですが、神道の神である宇賀神との神仏習合によって神社に祀られているケースもあります。せっかくならば、長期の休みに家族旅行を兼ねて「日本三大弁才天」を訪ねてみませんか?

日本三大弁才天①:江島神社(えのしまじんじゃ)/(神奈川県藤沢市江の島)

江島神社は、今から1500年程前、聖徳太子より少し前の欽明天皇(~571年?)の勅命で、江の島の洞窟に神を祀ったのが起源という歴史ある神社です。天照大神から生まれた三姉妹の女神が祀られており、江の島内に点在する「辺津宮(へつみや)、たぎつひめのみこと」「中津宮(なかつみや)、いちきしまひめのみこと」「奥津宮(おくつみや)、たぎりひめのみこと」の3社からなります。辺津宮には、鎌倉時代初期の作である「八臂弁財天(はっぴべんざいてん)」、鎌倉時代中期以降に作られた全裸体の座像「妙音弁財天(みょうおんべんざいてん)」が安置され、江戸時代には弁才天を詣でる人々で大いに賑わいました。

江の島

日本三大弁才天②:竹生島 宝厳寺(ちくぶしま ほうごんじ)/滋賀県長浜市早崎町竹生島

竹生島は、琵琶湖に浮かぶ小さな島です。島内には宝厳寺がありますが、こちらの起源は724年、聖武天皇の夢枕に天照皇大神(あまてらすおおみかみ)が立ち、「竹生島は弁才天の聖地であるから寺院を建立せよ。すれば国家泰平、五穀豊穣、万民豊楽となるであろう。」とお告げがありました。そこで、聖武天皇の勅使である行基により堂塔が建立され、本堂に弁才天像を安置したのが始まりとされています。毎月15日には「弁天様のご縁日」として奉納が行われ、この日に祈願すれば芸能向上のご利益がより成就すると言われています。
※漢字表記複数あり

日本三大弁才天③:亀居山放光院大願寺(ききょざんほうこういんだいがんじ)/広島県廿日市市宮島町

宮島の厳島神社に隣接する大願寺(正式には高野山真言宗、亀居山放光院大願寺)。明治元年の神仏分離令以前は、筥崎宮、宇佐八幡宮など多くの社寺の修理造営を担っていました。神仏分離によって厳島神社の仏像仏具が大願寺に移管され、そのなかに日本三大弁才天のひとつ「八臂弁才天像」がありました。以前は一般には一切公開されない絶対秘仏でしたが、移管後は毎年6月17日の厳島弁才天大祭の日のみ御開帳され拝観できます。

“ダンス”なら、美しき踊り子「天宇受売命(天鈿女命)」

舞踊系の習い事を始めたお子さまの上達を願うなら、「天宇受売命(天鈿女命)あめのうずめのみこと」を参拝するのがおすすめです。

神代の時代、太陽神である天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸に隠れ、世界が暗闇に閉ざされたことがありました。これを救ったのが天宇受売命で、岩戸の前に大勢の神が集まるなか、胸や脚がはだけても神がかり的な舞いを披露。神々が歓声を上げ、それに釣られて大神が出てきたという神話が残っています。

このときの踊りが現在の神楽(かぐら)の発祥と言われ、天宇受売命は日本最古の踊り子、日本芸能の祖神と呼ばれるようになりました。天宇受売命を祀る神社を参拝することで、技芸上達のご利益が期待できます。

「天宇受売命」を祀る神社は全国各地に!

天宇受売命は、『古事記』では「天宇受売命」、『日本書紀』では「天鈿女命」と表記され、ほかにも細女命(うずめのみこと)、おかめ様などの別称があります。
天宇受売命を祀る神社は全国各地にありますが、なかでもメディアに取り上げられる機会も多い有名なスポットを厳選して以下でご紹介します。

天宇受売命を祀る神社①:烏森神社(からすもりじんじゃ)/東京都港区新橋

JR新橋駅烏森口から徒歩3分ほどにある、940年創立の神社。ご祭神は、芸能の神「天鈿女命」ほか。技芸上達や商売繁盛、必勝祈願などのご利益で知られます。また、日本橋の椙森(すぎのもり)神社、神田の柳森神社とともに「江戸三森」として古くから崇められています。

天宇受売命を祀る神社②:猿田彦神社・佐瑠女(さるめ)神社/三重県伊勢市宇治浦田

天宇受売命は猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)の妻であったことから、夫婦でご祭神として祀られている神社もあります。こちらでは、猿田彦神社の境内社として天宇受売命を祀る「佐瑠女神社」があり、芸事のほか、縁結びの神としても崇められています。

天宇受売命を祀る神社③:車折神社(くるまざきじんじゃ)・芸能神社/京都府京都市右京区嵯峨朝日町

“京都嵐山にあるアーティストのパワースポット”と称され、数多くの芸能人が参拝しています。天宇受売命をご祭神として祀るのは、車折神社の境内社である「芸能神社」。境内には、朱色の板に奉納者の名前が書かれた「朱の玉垣(たまがき)」がずらりと並ぶのが見ものです。

ここにご紹介した以外にも、弁才天や天宇受売命を祀る寺社は全国各地にあります。自宅の近所や旅行・帰省先などで探して、参拝に出かけてみてはいかがでしょう。

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