【子どもの「行きたくない!」
みんなどう対応した?】
保育園&幼稚園
行き渋りへの向き合い方
保育園や幼稚園に「行きたくない!」と朝からぐずってしまう子ども。どうしたらいいんだろうと困ってしまいますよね。今回は行き渋りの状況と、パパ・ママがどう向き合ったかの実例エピソードをご紹介。専門家に対処法のアドバイスもお伺いしました。
どう対応した?行き渋りエピソード
別れ際に安心させる声がけを
『人見知りが始まった9カ月頃、先生に預けてお別れする時泣くように。「ママが夕方に必ずお迎えに来るからね」と言って抱きしめたり、引き渡すギリギリまで抱っこしたりしていました。最近はお友達と遊ぶ楽しさがわかってきたのもあり、泣かずにバイバイできる日も。』
あつこちさん
わが子に共感し、
話をしっかり聞いた
『転園をきっかけに、「新しい保育園行かないの」と泣く娘。私と夫で「大変だよね。頑張ってるよね。」と共感しながら話を聞きました。娘の中で葛藤はあったようですが、5日目には笑顔でバスに乗れるように!頑張るわが子の姿を見て、夫婦で号泣しました。』
yukoさん
早お迎えの日を作って、
少しずつ慣れてもらうように
『下の子が3月末に生まれ、上の子も一緒に里帰りし、1カ月ほど休園しました。その間に進級もしてしまい、上の子にとっては環境の変化が大きかったと思います。通園を再開するとぐずってしまうように。そこで週に1日、早くお迎えに行く日を作りました。もうすっかり慣れて、楽しく通っています。』
ぱっちょさん
先生にも相談し、
気持ちを切り替えてもらった
『仲良しのお友達が転園したのと同時に、担任の先生が退職してしまったのがショックだったようで、園の準備を始めると泣いてしまうように。園に行ってしまえば大丈夫だったので「先生にお休みしていいか聞きに行こうか?」と連れて行き、先生に娘の状況を共有して、気持ちの切り替えをお願いしていました。今では笑顔で登園しています。』
ひまゆりママさん
ぎゅーっと抱きしめてあげた
『家族で新型コロナウィルスに罹ったため、3週間ほど休園したのをきっかけに「保育園行きたくない!」「ママお迎え来る?」と悲しい表情を浮かべていたわが子。「ママは絶対お迎えに来るからね!」とぎゅっとハグしてからお別れしていました。そのうち「ママはお迎えに来る!」と自分で言い聞かせるようになり、いつの間にか言わなくなっていました。』
青い鳥ちゃんさん
明日が楽しみになる声がけを
『自我が芽生え、気持ちが向かないとき、ベビーカーに乗るのをイヤイヤする息子。「明日は保育園だよ、楽しみだね」「早めに迎えに行くから遊ぼうね」「パパと朝一緒に行くよ、嬉しいね」など、明日が想像出来たり、楽しみになったりするような声がけをしています。今は「保育園に行くよ」というと「うん!」と元気に返してくれるように。』
みほさん
専門家に聞いた!
行き渋りの対応ってどうしたらいい?
家庭教育研究家
田宮由美さん
小学校教諭・幼稚園教諭・保育士の資格を取得。幼児教室を地元で展開。幼稚園、小学校に勤務。小児病棟への慰問や、子どもの悩み相談員など多方面から多くの親や子どもに関わる。現在は執筆、講演、メディア取材、教育機関職員研修、個別指導を中心に活動をしている。テレビ、ラジオにも出演するほか、執筆記事はYahooニュースやlineニュースにも取り上げられ、深い共感を得ている。子どもの自尊感情について研究した論文は2本が国立国会図書館に収められている。著書「比べない子育て」(1万年堂出版)は、翻訳され台湾でも出版。他「子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方」(KADOKAWA出版)がある。
行き渋りの原因に
合わせた対応方法を
お子さんが行き渋るのには、さまざまな原因があります。さらに、原因は一つだけでなく、いくつものことが複雑に絡み合っていることも。お子さんの様子や状況を見ながら、原因に合わせた対応方法を考えるのがいいでしょう。
原因1 環境の変化
保育園や幼稚園に新入園すると、初めての集団生活がスタートします。今まで家族と一緒に過ごしてきた子どもにとっては初めてのことばかり。さらに進級や転園も新しい先生やお友達、慣れない場所で過ごすことになり、不安を感じてしまうことも。
ただ、この場合は慣れてしまえば行き渋りがなくなることがほとんど。少しずつ園の楽しさや、安心できるところなんだということがわかるような言葉がけをしましょう。
原因2 休みのリズムに慣れてしまった
ゴールデンウィークなど長期のお休みがあると、休みのリズムに慣れてしまい、登園の朝起きるのが辛くなってしまうことがあります。
前の日は早めに寝るなど、親が生活のリズムを整えてあげることが大事です。
原因3 体調不良
熱があってだるいなど、わかりやすい場合はもちろん、その他にも視力の低下など、周りが気付きにくい症状を抱えていることもあります。視力低下などの場合、園での生活に支障が生じて「行きたくない」と思ってしまう子もいるでしょう。
少しでも思い当たることがあれば、病院を受診し医師に相談することをおすすめします。
原因4 憂鬱に感じることがある
苦手なお友達や先生がいたり、発表会の練習を憂鬱に感じたりなど、園で嫌なことがあるために行き渋ることもあります。
この場合は時間をかけて子どもの話を聞いてあげることが大切。無理に理由を聞き出そうとするより、まずは子どもの行きたくない気持ちに寄り添いましょう。そのうえで、園の先生に相談するのもいいでしょう。
原因5 園以外の不安
きょうだいの誕生、引っ越しなど、園以外の環境の変化や、親の喧嘩でも子どもは不安を感じるもの。
子どもとの時間をしっかりとって、話を聞いたり一緒に遊んだりし、不安を取り除いてあげることが重要です。
無理に聞き出さないよう注意して
原因を見つけたいあまり、質問攻めにしたり、怒ったりしないよう注意しましょう。「他のお友達は園に行ってるでしょ」と言うのも良くありません。無理に答えを引き出そうとせず、まずは子どもの気持ちに寄り添うことが大事です。
さらに園の先生に相談するときも、先生や園の対応に問題があるような言い方ではなく、子どもが困っていることや不安に思っていることを伝えて。一緒に解決していきたいという姿勢が大切です。
もっと聞きたい!
行き渋りの細かいQ&A
Q ずっと行き渋りが直りません。どうしたらいい?
A 子どもと向き合う時間をとってみては
行き渋ることによって、親が何かしらの言葉がけや、関りを持ってくれるので、そのコミュニケーションを欲っしているのかもしれません。その場合はもっと自分に向き合って構って欲しいという気持ちがあるので、話を聞いたり一緒に遊んだりなどの時間をとってみては。
中には園が合っていないこともあるので、その場合は転園を考えても。
Q 園を休ませてもいい?
A もちろんOK。ゆっくり不安を取り除いて。
行き渋ったら無理に行かせる必要はなく、親子のふれあいの時間をとるといいでしょう。
ですが、仕事の都合などで休ませるのが難しいこともあると思います。その場合は、先生に状況を説明し、子どもに「必ず迎えにくるよ」と声がけを。さらに帰宅後は頑張りを認める声がけをしてあげましょう。
Q 園を休んだ場合、やるといいことは?
A 普段通りに過ごして。
特別なことはせず、いつも通りに過ごすことが大切です。休んでいることを悲しんだり、怒ったりするのはNG。そして、できるだけテレビや動画など受け身になってしまうものより、ブロックや絵本読みなど能動的な遊びを一緒に楽しむといいでしょう。
自然なタイミングで「園に行ってみる?」と声をかけてみても。
Q 園に預けるときやお迎えに行くとき、やるといいことは?
A 安心感を持ってもらえるように。
ぎゅーっと抱きしめて「必ず迎えに来るからね」と安心できるような声がけを。さらにお迎えの時も同じようにぎゅーっと抱きしめて「今日も頑張ったね」と認める言葉をかけてあげるなどするとよいでしょう。
送りの際は、親が名残惜しそうにすると子どもも気になってしまうので、先生に預けたらさっと離れるのがいいと思います。
Q 行き渋る朝の時間以外に、心掛けることややるといいことは?
A その子だけとしっかり向き合う時間を。
子どもと一対一で向き合う時間を作ることをお勧めします。保育園での話を聞いたり、一緒に絵本を読んだり、時には親の仕事の話をするのもよいでしょう。短くてもいいので、その間は家事など他のことはせず、子どものための時間に。
行き渋りは
子育てを頑張っている証拠
子どもが行き渋るということは、「お母さん、お父さんが好き」「お家がいい」と思っているから。親が子育てを頑張っている証拠です。なぜ行きたくないんだろうと悩んでしまうこともあると思いますが、成長のステップと考えておおらかな気持ちで見守ってあげるといいですね。
まとめ
行き渋りに大切なのは親や家族がゆったり構えて、子どもの気持ちを受け止めること。先生など力を貸してくれる人もきっといるはずです。ご家族もお子さんも楽しい園生活が送れるよう応援しています。
イラスト/徳丸ゆう