これで安心!
お葬式の参列マナーや
NGマナーを徹底解説
〜服装・持ち物・香典etc.〜
お葬式への参列が決まった際、「何を着ていけばいい?」「香典はどうすれば?」「作法が分からない……」といった疑問や不安が頭をよぎる方は多いのではないでしょうか。この記事では、服装、持ち物、香典の基本から、参列できない場合の対応や避けたいNGマナーまで、お葬式の参列マナーを紹介します。基本をしっかり押さえて、落ち着いてその日を迎えましょう。
葬儀の服装のマナー

男性の服装マナー
男性の服装は、光沢のないブラックフォーマル(礼服)に白シャツを合わせるのが基本です。普段ビジネスで着用するスーツは、黒い生地を選んだとしてもフォーマルな服装ではないため葬式にはふさわしくありません。ただし、通夜の場合は「突然の訃報に急遽駆けつけた」という意味合いになるので着用しても差し支えないケースもあります。ネクタイは、黒色の無地で光沢のない素材のものを選びましょう。足元は、シンプルな黒い革靴であれば問題ありません。
女性の服装マナー
女性の場合、光沢のないブラックフォーマルを着用しましょう。スカート丈は膝がしっかりと隠れる長さのものが相応しいです。靴も黒無地の布製か革製のもので、ヒールの高さは3〜5cm程度、つま先の形はラウンドトゥかスクエアトゥが一般的です。ストッキングは黒色の30デニール以下のものを目安に着用します。ただし、寒い時期であれば黒色のタイツを着用しても問題ありません。
アクセサリーは、結婚指輪以外は外すのが無難で、バッグは黒色の布製のシンプルなデザインを選びましょう。
子どもの服装マナー
学校等の制服があればそれを着用するのが最も適切です。制服が無い場合は、モノトーンや紺色を基調とした服装を選び、制服のような装いを心がけましょう。男の子は、白シャツに黒、紺、グレーのズボンを基本とし、寒い時期にはブレザーや黒いジャケットを羽織ります。女の子は、白い襟付きのブラウスに暗い色の長めのスカート、または地味な色で装飾の少ないワンピースなどが良いでしょう。
靴下は、モノトーンや暗い色の長めのものを選び、くるぶし丈の短いものは避けるのが無難です。靴もフォーマルなものや地味なものを選ぶと良いですが、幼稚園までの年齢ならスニーカーでも構いません。その場合も地味な色を選びましょう。
持ち物のマナー

イラスト…香典袋と袱紗、数珠
香典
香典は、故人にお供えするお金のことで、弔意を表すものです。香典袋に入れ、袱紗(ふくさ)に包んで持参しましょう。香典袋の書き方や金額の目安など、詳しいマナーについては後ほど紹介します。
袱紗(ふくさ)
袱紗は、香典を包む布のことで、持ち運ぶ際や受付で差し出す際に相手への礼儀を示す意味合いがあります。そのままポケットやバッグに入れるのは避けましょう。袱紗がない場合は、小さな風呂敷でも構いません。
数珠(仏式の場合)
仏式の葬儀に参列する際には、数珠を持参しましょう。数珠は、故人の冥福を祈る際に手を合わせるためのものであり、宗派によって形や素材が異なりますが会葬の場合は自分の持っているもので構いません。数珠は基本的に一人ひとり用意するもので、他の方と貸し借りすることはマナー違反となります。神道やキリスト教など、仏教以外の宗教の葬儀に参列する際には、数珠は必要ありません。
ハンカチ・ティッシュ
ハンカチは、白または黒の無地のものを持参しましょう。柄物やプリント、ラメなどの装飾があるものは避けましょう。
エプロン
エプロンは、必須の持ち物ではありませんが、故人と特に親しい親族などの間柄の場合で、故人の家で行う場合などには、台所仕事などのお手伝いをする可能性があるので持参しましょう。黒や白の無地で、派手な装飾のないシンプルなものを選ぶのが望ましいです。
香典のマナー

香典の書き方
香典袋には、水引のついた外袋とお札を入れる中袋があるのが一般的です。記入には、薄墨を使用することがマナーです。
- 表書きの書き方
外袋には表書きと名前を書きます。1人で出すなら自分の名前を記載、夫婦で出す場合は夫の名前の左隣りに名字を省略した妻の名前を書きます。会社関係者など3名で出す場合は、中央に目上の人の氏名を書き、その左に順次全員の名前を書きます。会社名または団体名を書く場合は一番右側に記入します。
表書きは、故人が信仰していた宗教によって書き方が変わってきます。以下で基本的な書き方を紹介します。
なお、無宗教または故人の宗派が不明の場合は「御霊前」、「御香典」など汎用性の高い文字を書きましょう。 - 仏式
「御霊前」(ごれいぜん、四十九日法要前)
「御仏前」(ごぶつぜん、四十九日法要以後) - 神式(神道)
「御神前」(ごしんぜん)
「御玉串料」(おたまぐしりょう)
「御榊料」(おさかきりょう) - キリスト教(カトリック)
「御花料」(おはなりょう)
「御ミサ料」(おみさりょう) - キリスト教(プロテスタント)
「御花料」(おはなりょう)
「献花料」(けんかりょう)
「弔慰料」(ちょういりょう)
中袋の書き方
中袋の表には金額、裏には住所と名前を記載します。表面の金額の数字は、例えば10000円なら「金壱万圓」、30000円なら「金参万圓」のように旧漢数字(大字)を使って書くという方法もありますが、普通の漢数字でも構いません。
3000円…金参仟圓
5000円…金伍仟圓
7000円…金七仟圓
10000円…金壱萬圓
30000円…金参萬圓
50000円…金伍萬圓
70000円…金七萬圓
100,000円…金拾萬圓
香典の金額の相場
故人との関係性によって金額は変わってきます。1万円、3万円など割り切れない数にして、「死」や「苦」を連想させる4や9のつく金額は避けましょう。
- 身内の場合
両親:5万円~10万円
祖父母:1万円~5万円
兄弟姉妹:3万円~5万円
おじ・おば:1万円~3万円
その他親戚:5000円~1万円 - 友人や知人の場合
友人、知人:5000円~1万円
友人、知人の家族:3000円~5000円
近隣の方:3000円~5000円 - 会社関係者の場合
上司:5000円~1万円
同僚:3000円~1万円
部下:3000円~1万円
勤務先の社員の家族:3000円~5000円
取引先の方:5000円~1万円
香典袋へのお金の入れ方
お金を入れる際には、袋の表面に対してお金を裏面にし、肖像画を下側にするように入れるのが一般的なマナーです。また、新札を使うのは避けましょう。「不幸を予め知って用意した」と捉えられ、遺族に対する配慮が足りないとされます。
香典の渡し方
香典を渡す時には、一言お悔やみの言葉を添えることでより丁寧な印象になります。例えば、「この度はご愁傷様でございます」や「心よりご冥福をお祈りいたします」、「どうぞ御霊前にお供えください」といった言葉を添えましょう。その際、語尾は相手に聞き取りにくい程度の小さな声で伝えるのが相応しいです。
数珠のマナー

- 数珠の種類
数珠には、本式数珠と略式数珠の二種類があります。本式数珠は、宗派によって形や素材が定められています。故人の宗派が明確な場合は、本式数珠を持参するのが良いでしょう。一方、略式数珠は宗派を問わず使用できる簡略化された数珠です。故人の宗派が分からない場合や本式数珠を持っていない場合は略式数珠で構いません。 - 数珠の扱い方
数珠は、基本的に左手に持ち、房は下へ垂らして扱います。合掌する際には、左手に持った数珠を両手のひらで挟むようにし、房は下に垂らします。読経中は、数珠を左手に持ち房を下にした状態で膝の上に置きましょう。焼香の際も同様に、数珠を左手に持ち房を下に垂らしたまま香炉に進みます。
焼香のマナー

焼香とは、線香や粉末状の抹香を焚き仏様や故人を拝むことです。参列者は自身の心身を清める意味もあります。ここでは、目にする機会の多い、粉末状の抹香(まっこう)を用いた立礼焼香の流れを紹介します。
- 焼香の順番がきたら、祭壇に進み、遺族や僧侶に一礼する。
▼ - 焼香台の一歩手前まで歩き、祭壇・遺影を見て一礼する。
▼ - 宗派ごとの作法に従って抹香をつまみ、額のあたりまで上げた後に香炉に落とす。
▼ - 宗派ごとの作法に従って、1回〜3回繰り返す。
▼ - 改めて遺影に向かって合掌し一礼する。
▼ - 遺影の方を向いたまま2、3歩下がり遺族や僧侶に一礼して席に戻る。
葬儀に参列できない場合のマナー
さまざまな事情により葬儀に参列できない場合もあるでしょう。その場合、遺族へ欠席の連絡をするとともに参列できない理由を伝えるのが丁寧です。ただし、理由が結婚式などの慶事である場合は相手への配慮として触れない方が良い場合もあります。
直接参列できない場合でも弔意を示す方法があります。香典、供花、弔電などを送る、あるいは後日改めて弔問に伺うといった形で気持ちを伝えましょう。
- 香典
香典を送る場合、代理の方にお願いする、現金書留で郵送する、後日弔問に伺う際に持参するなどの方法があります。 - 供花
葬儀会場の祭壇を飾る供花を送る方法もあります。供花を送りたい場合は、ご遺族の意向を確認してから葬儀会場に連絡し、お葬式に間に合うように送りましょう。 - 弔電
弔電はお悔やみのメッセージを電報で送るものです。弔電を送る場合は、お葬式に間に合うよう早めに手配するのが望ましいでしょう。
その他のNGマナー
故人が亡くなった経緯を聞くこと
死因を詳しく尋ねることは失礼にあたります。ご遺族は、話したくない事情やまだ心の整理がついていない場合もあります。詮索するような言動は避け、ご遺族から話がない限り静かに哀悼の意を伝えましょう。
忌み言葉・重ね言葉を使うこと
葬儀の場では、不吉なことを連想させる忌み言葉や、不幸が繰り返されることを連想させる重ね言葉の使用を避けましょう。以下では使われがちな言葉の言い換えを紹介します。
- 忌み言葉
死ぬ→なくなる、ご逝去
死亡→ご逝去、他界
生きていたころ→ご生前、お元気でいらしたころ - 重ね言葉
重ね重ね→深く
次々→立て続けに
ますます→より一層
遺族との長話
ご遺族は悲しみの中、弔問客への対応や葬儀の準備などで心身ともに疲弊しています。励ましやお悔やみの言葉を伝えたい気持ちは大切ですが、参列すること自体が弔意を示す行為となります。簡潔に気持ちを伝え、長居しないように心がけましょう。
まとめ
お葬式には、細やかなマナーが存在するため不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、何よりも大切なのは、故人を偲び、ご遺族に寄り添うという気持ちです。今回ご紹介した基本的なマナーやNGのマナーを参考に、落ち着いた心持ちで参列しましょう。