結婚

結婚するのに必要なことは?

「結婚」は人の一生のいくつかある節目の中でも大きなお祝いごとです。婚姻届けを提出して入籍するだけの方から、仲人を依頼し、結納を経て挙式や披露宴、さらには二次会まで行う方もいます。結婚の意味や結婚までの流れをご紹介します。

CONTENTS
1. そもそもなぜ結婚するの?
2. 結婚までのタイムライン
3. 結婚の届け出(入籍)について

1. そもそもなぜ結婚するの?

「結婚」は人の一生のいくつかある節目の中で大きな意味を持ち、年齢を重ねていくことで迎えるものではなく、様々なきっかけから縁を得て、それまで他人だった人と新しい家庭を築き、社会の一員として暮らしていく、その決意の表明ともいえます。また、単なる二人の結びつきだけでなく法制度の上でも夫婦となることで、社会的な権利と責任を持つことになります。
やがて家族をつくり、家系をつくることで、社会をつくり、未来をつくる、その基本の単位が夫婦であり、結婚は社会の基盤となるシステムとして続いてきました。
現在は、結婚観がより自由になり、その形態にこだわらない若者たちが増えてきました。
人生100年ともいわれ、更に進む超高齢化、少子化、環境問題などの諸課題…様々な要因によって社会や制度が変わっています。
しかし、太古の昔より人は結婚をしてきました。結婚は形を変えながらも
結婚することで得られる幸せがあるのではないでしょうか。

2. 結婚までのタイムライン

結婚式の準備期間はおよそ12~8カ月ほどといわれていますが、婚約がまとまってから結婚式本番に向けてあっという間に時間が過ぎていきます。
会場等によって異なりますが、結婚式当日までの一般的な流れを時系列にご紹介します。

お互いの親への報告 結婚式まで12~8カ月(期間は目安です)

結婚を決めるにあたって、まずお互いの親へ報告しましょう。結婚するには、様々な場面で親のサポートが必要となってきます。結納や両家顔合わせ、結婚式、場合によっては結婚後の生活まで、補助してもらうことがあるかもしれません。そうでなくとも、まず礼儀として、親への報告は最初にしておいた方が良いでしょう。そのとき、結納、両家顔合わせにはじまり、スケジュールや予算など、結婚式までの大筋、仲人の有無、会場の検討など、結婚を前に進めるためのより具体的な内容を話し合いましょう。

会場選び 結婚式まで12~8カ月

結婚式(挙式・披露宴)をする場合、会場探しの優先度は高く、早めに動き始めないと理想の結婚式のイメージに沿いづらくなってきます。
ネット検索が多い現在では、希望の会場を探すのは、以前に比べてスムーズです。
式場の絞り込みには、次のような条件をチェックポイントとして選ぶと決めやすいかもしれません。

結婚で得られる安心感やメリット

結婚から得られることとして、多くの人が、好きな相手と暮らすことにより、生活を楽しんだり悩み事を相談したりできること、お互いを支えることができること、また経済的な安定などを挙げています。夫婦となる二人の結びつきがまず頭に浮かびますが、結婚という制度を通じたメリット、特に生活の営みに欠かせない金銭的なメリットも考えられます。

●税制上の配偶者控除が受けられる
婚姻により生じる配偶者控除とは、配偶者の収入が指定の条件内であれば受けられる所得控除。どちらかが会社に就職し働いていて、その配偶者の所得が48万円以下の場合に受けることができます。

●社会保険の扶養控除が受けられる
どちらかの年収が130万円を超えなければ、扶養されているとみなされ社会保険料を払わずに済みます。仮に130万円を超えることがあっても、それが一時的なものと認められれば、扶養範囲とみなされるようです。

●共働きで収入安定
夫婦二人で働けば経済的に潤います。その上、生活空間や家財道具、日々の洗濯といったような家事まで、共有することで一人暮らしよりも余裕が生まれます。普段の生活が安定するだけでなく、将来を見越して貯金することもできるので、二人にとって大きな支えとなります。

会場見学・会場決定 結婚式まで12~8カ月

会場がおおよそ絞り込まれたら、実際に見学に行ってみましょう。ブライダルフェアや無料相談会などを利用することで、結婚式や披露宴のイメージをより具体化することができます。

会場の予約 結婚式まで12~8カ月

人気の会場は予約が埋まりやすいので、日取りを優先するなら、できるだけ早く予約することをお勧めします。多くの会場は予約を1年以上前から受け付けているので、ここだという会場が決まったら、少し早いと思っても押さえておく方がいいでしょう。予約にあたっては費用が掛かる場合がありますので、その点も考慮しておきましょう。

結婚って、
いったいいくらかかるの?

結婚、特に挙式・披露宴は多くの費用が掛かります。選択するスタイルによって、あるいはコロナ禍の前後で差がありますが、平均すると300~500万円というのが相場のようです。
内訳は結婚式(挙式・披露宴)、婚約(結納・食事会)、指輪(婚約指輪・結婚指輪)、新婚旅行(旅費・お土産代)で、そのうち6~7割が結婚式に掛る費用といわれています。
バブルの時期はは平均500万円、1,000万円超えも稀ではありませんでしたが、1990年代バブル崩壊後は結婚式のスタイルも様々。しかし、一生の記念になるイベントなので、後悔しない形を選びたいものです。

結納・両家の顔合わせ食事会 結婚式まで126カ月

結納・両家顔合わせのタイミングは、挙式の半年前くらいが一般的です。お互いの親へのあいさつが終わり、挙式までの都合のよい吉日を選ぶのが良いでしょう。

周囲への結婚報告と依頼 10~6カ月

結婚式の日取りや会場を決めると同時期に、親類、会社や仕事仲間、友人に結婚する旨を報告しましょう。仲人を立てる場合は最優先で依頼しつつ、挙式・披露宴の招待客についても
主賓を筆頭に、必ず来て欲しい人からリストアップしていきましょう。このとき両家のバランスに十分配慮しましょう。
また、主賓の挨拶や、受付、余興などの依頼もこの時期にしておくと頼まれた側も余裕をもって準備ができます。
披露宴の司会は会場に依頼するか、外部のプロを探すか、友人や親せきに依頼することになりますが、司会を専門とする人でない場合は、早めに依頼し、当日に向けて打ち合わせを重ねましょう。

衣裳決め 結婚式まで6~3カ月

結婚式まで半年を切ると徐々に忙しくなってきます。会場を決めたら、次は衣裳を決めます。会場提携のドレスサロンやショップでレンタル、あるいは購入するのが一般的です。
ウェディングドレスに和装、披露宴でのお色直し用を含めて、何度か試着の機会を設け、晴れ舞台を飾る衣裳を決めましょう。また、衣裳の持ち込みを希望される場合は、会場に確認を。場所により、持ち込みが不可能な場合や、持ち込み料などが加算される場合があります。

招待状の発送 結婚式まで4~3カ月

結婚式の4~3カ月前からが結婚式準備の佳境となります。衣裳の小物決めなど詳細にわたって決定していくなか、さらに招待客のリストアップ、招待状の発送もこの時期に行いましょう。印刷による宛名書きも便利ですが、目上の方に送る際や、格式を重んじる場合は、毛筆のプロに筆耕(ひっこう)を依頼する場合もあります。

挙式・披露宴の演出・進行  結婚式まで4~3カ月

結婚式のプランナーと共に、具体的な当日の流れを随時決めていきます。BGMや動画の制作、ウエルカムスペースの演出準備なども始まります。子供時代など手持ちの写真やムービーを提供する場合は、探したり選んだりするために時間がかかるので、早めに準備を始めておいた方が良いでしょう。

料理や引き出物の決定 2カ月前

いよいよ本番間近。ウェディングケーキや披露宴でのコース料理を決めましょう。試食会がある会場もあるので、事前に味わっておくのもいいでしょう。また、ゲストに渡す引き出物やギフトもこの時期に決めておきましょう。決定しなければならないことは、この時期までに済ませて、なるべく余裕をもっておきましょう。

最後の確認打ち合わせ 1カ月~2週間前

結婚式前の最終打ち合わせは、当日のスケジュール・段取りの確認や、引き出物・お土産等の
手配漏れがないかをチェックします。すでに見積もりが出ていて資金準備もできている場合は、この時点で支払いを済ませることもできます。

結婚式当日

挙式・披露宴・二次会と結婚式当日は、あっという間に過ぎていきます。会場のプランナーに進行は任せながら、お二人はこの日を心から楽しみましょう。

3. 結婚の届け出(入籍)について

もともとは他人、別々の籍に入っていた二人が、婚姻届を提出することで「夫婦」として認められるようになります。これを「法律婚」といい、原則として夫か妻のどちらか一方の戸籍に入ることが定められています。二人が初婚の場合は、親の籍から自分の籍を抜き、夫婦二人の戸籍がつくられます。

【入籍の手続き】
入籍までの流れは、大まかには以下の通りです。

  • 婚姻届を役所で手に入れる(ホームページからダウンロードもできます)
  • 必要な書類を揃える(戸籍謄本など)
  • 婚姻届に記入・捺印する(二人以上の証人に署名捺印をお願いする)
  • 婚姻届を役所に提出する

手続きは決して難しいことはなく、手順を踏めば問題なく入籍することができます。
場合によって、戸籍謄本などの提出を求められることもあります。
また、届け出るためには証人2人の署名・捺印も必要。誰に証人になってもらうかをあらかじめ考えておきましょう。
提出のタイミングは結婚式の前後、特に決まりはありませんが、当日にして、結婚記念日をまとめる、というカップルが多いようです。

【入籍に必要なもの】

  • 婚姻届
    市区町村の役所(自治体)の「戸籍課」で365日24時間提出が可能です。
  • 印鑑
    婚姻届は2021年9月より押印が任意となったため、必ずしも必要はありませんが、押印欄は残っているので、ハンコを押しても押さなくても構いません。ただし、スタンプ式のネーム印は認められていません。
  • 身分証明書
    運転免許証や健康保険証、パスポート、マイナンバーカードなどが必要です。身分証明書を提示しなくても婚姻届は受理されますが、後日必要になるので、同時に提出しておいた方が手間は省けます。
  • 戸籍謄本
    戸籍謄本が必要となるケースは、現時点の本籍地とは異なる自治体に婚姻届を提出する場合です。

 歴史 

日本における結婚史

原始時代の結婚は、男女が村の中で自由に結婚する「共同婚」でした。その形態が村外にも広がったことで、生まれた子が母親のもとで育つようになりました。これが母系氏族制の始まりとする説があります。
その後、古墳時代には男性側が女性側に通う「妻問婚」の形態に発展したと考えられます。
結婚はやがて、単なる男女の結びつきから、婚礼という儀式的な要素を含むようになってきます。婚礼の最初とみなされるのは、女性のもとに男性が通ってきて、家人がそれを発見。男性に餅を食べさせることで男性を女性の家の一員とする、という儀式。これは女性の家が婿を取る儀式で、平安時代になると、妻問婚は婿取婚に形を変えました。
鎌倉時代以降、武家社会となってからは、夫方に居を構える事例も出てきはじめ、母系家族の時代は終わりを迎えます。そして父権が強くなるとともに、「嫁取婚」が主流に。嫁取婚は、家と家との結びつきという性質が強く、政略結婚が盛んに行われるようになりました。
明治の時代になると宗教色を帯びた結婚式が増え、結婚の形態は多様化していきます。現代では、お見合いから結納、挙式、披露宴の流れは簡略化し、代わりに趣向を凝らした様々な婚礼が行われるようになりました。

恋愛結婚と見合い結婚の割合

1967年に逆転するまで、日本の結婚の主流は「見合い結婚」でした。現在では恋愛結婚が9割近くに達し、大きな差がついていますが、江戸時代から昭和の中頃まで見合い結婚が多かったことを考えると、日本の結婚事情は短期間に大きく様変わりしたといえます。しかし、相性がよさそうな相手を選んで引き合わせる方法は、ある意味合理的で「良縁」となりやすかったのでは。また、現代の結婚相談所やマッチングシステムなどにも通じるところがあります。

出典:第16回出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所)第1章 夫婦の結婚過程

2040年、50歳時の未婚率、男性29.5%、女性18.7%この数字は小さいでしょうか。1985年の調査では、男女とも5%未満だったことを考えると、結婚しない人がずいぶん増えていますが、今一度結婚の良さを見直してはいかがでしょう。持続可能な社会のキーワードの一つに「多様性」がありますが、結婚制度自体、多様な形に分化、進展していくのでしょう。