披露宴(主催側)
披露宴って何のためにあるの?
挙式は二人が結婚を誓う儀式に対し、披露宴は、親族や知人、友人などお世話になった方々に二人が結婚したことをお披露目し、招待客と料理や演出を楽しむパーティーです。ここでは披露宴を少し詳しくご紹介します。今までの感謝の気持ちを伝え、今後も夫婦として変わらないお付き合いをお願いするための場として大切にしましょう。
CONTENTS
1. なぜ披露宴をおこなうの?
2. ゲストを迎える演出
3. 引き出物
4. 席次の決め方
5. 披露宴の食事スタイル
6. 披露宴の流れ
1.なぜ披露宴をおこなうの?
披露宴の場を設けることで、普段なかなか会うことのない懐かしい友人や親戚、恩師に会うことができたり、お互いのパートナーを直接紹介したりすることは、人生の節目にとって重要な機会です。夫婦としての覚悟を持ちながら、これからの人生を共に歩んでいくためにも大事な儀式といえます。
最近ではコロナ禍でやむを得ず挙式のみ行う場合や、延期せざるを得なかったケースがありましたが、空間的に密を避けるために、「親族向け」「友人向け」の2部制のパーティとして行う、あるいはオンライン等、工夫されている方も増えています。
2 .ゲストを迎える演出
披露宴会場の入り口には、感謝の気持ちを込めたアイテムで招待客をお迎えしましょう。
ペーパーアイテム
席次表やメニュー表などをオリジナルで準備する場合もあります。さらに手書きメッセージを添えると喜ばれます。
ウエルカムアイテム
受付に新郎新婦を見立てたウエルカムドールを置くなど、二人のこだわりを表現することができます。
ウエルカムボード
新郎新婦の名前や結婚式の日付、メッセージなどを書いたボードです。最初に招待客をお出迎えする大切なアイテムです。
3. 引き出物
引き出物とは、披露宴に参列した招待客に感謝の気持ちを込めてお渡しする品物です。記念品・引き菓子・しきたり品の3品を引き出物として贈るのが一般的ですが、地域によっては5品、7品の場合もあります。
引き出物の相場は?
引き出物の金額は、一般的に飲食代の3分の1が目安といわれており、招待客一人あたりの相場は5千円~8千円程度を目安に用意しましょう。
親族や友人・同僚には5千円、上司には8千円、友人夫婦には友人ひとり分の1.5~1.8倍程度を目安に、贈り分ける場合もあるようです。
夫婦別々にご祝儀をいただいた場合は、「ご祝儀1つに対して、引き出物1つ」という考えなので、2つの引き出物が必要となります。事前に余分を用意しておくと安心です。
引き出物選びのポイント
引き出物は、食器やタオルといった誰でも使いやすいアイテムや、招待客が自由に好みのアイテムが選べる「選べるカタログギフト」が人気です。
新郎新婦の名前や写真が入った主張の強いアイテムや、趣味趣向に偏りがあるものなど実用性の無いものは避けましょう。持ち帰るのに負担の掛かる大きくて重いものも好まれません。
包丁やグラスはタブー?
日本ではかつて、割れ物は新郎新婦の仲が割れることを連想させ、刃物は2人の縁が切れることを連想させるため、ガラス製品や陶磁器、包丁やハサミなどは縁起が悪いとみなされタブーとされてきました。しかし、今日では包丁やハサミを「人生を切り開く」と捉えたり、グラスや陶器を贈る方も増えてきたりなど、本当に贈りたいものを贈る傾向も増えてきています。セットのものを贈る場合は、お祝い金と同様に「割り切れない」奇数が好まれます。ただし、2はペア、6は半ダースで1組として数えられるため、厳密なルールはなくなってきています。
昔の引き出物は
馬だった!?
引き出物は平安時代に宴を開いた貴族が、宴席の主が招待客へのお土産として用意した馬を庭先に“引き出して”贈ったそうです。この「引き出す」という言いまわしから、 「宴会の招待客へのお土産」のことを引き出物という意味合いで使われるようになったといわれています。
歴史
意外と歴史は浅い!?
ウエディング業界が発展した要因とされているのが、明治時代に西洋の写真撮影技術を学んだカメラマンが写真館で、結婚の記念に夫婦を撮影するようになったことからといわれています。やがて写真館はお見合い写真や結婚の記念写真まで手掛けるようになり、神社(日比谷大神宮:明治大正期の住所は麹町区有楽町。関東大震災後、昭和3(1928)年に飯田橋に移転し、現在の東京大神宮に至る)で挙式したあと、帝国ホテルで披露パーティーをおこなうスタイルが上流階級の間で流行しはじめました。それが披露宴のはじまりともいわれています。昭和34(1959)年には、皇太子殿下(現在の上皇陛下)と正田美智子さまのご成婚パレードに50万人を超える人々が集まり、世の中に結婚ブームが起きました。高度経済成長期に入ってからは、経済的な活況を背景に、人目を引く豪華な披露宴にもますます関心が高まり、高級ホテルで結婚式を行うことがステータスとなりました。新郎新婦が白馬やゴンドラに乗って登場するなどの「ハデ婚」といわれる演出が広がったのもこの時期です。バブル経済がはじけた平成3(1991)年から現在に至るまで低経済成長が続いていることから、経済的な理由やライフスタイルへの価値観も変化し、演出や手順を簡略化する「ジミ婚」や、入籍だけで済ませる「ナシ婚」が増えはじめました。最近では、ガーデンウエディングやレストランウエディングなど、自分らしい演出を重視したオリジナリティある披露宴が人気のようです。2020年からは、新型コロナウイルスの影響から、披露宴の中止や延期が増え、ブライダル業界にも大きな打撃を受けました。
4. 席次の決め方
新郎新婦の席「高砂」に向かって左側が新郎側の招待客、右側が新婦側の招待客になるように配置します。婿養子の場合は左右逆になることもあります。
新郎新婦に最も近い席が「上座(上席)となり、最も遠い席が「下座(末席)」となります。
主賓は新郎新婦に最も近い上座に、両親と親族は出入り口に最も近い下座に座るのがマナーです。媒酌人を立てる場合、媒酌人の席は新郎新婦の両隣になります。
なお、地域により、高砂近くに両親などの親族席を配置する場合もあります。
一般的な席次の例
【丸テーブルの場合】
披露宴の一般的なレイアウト。ゲスト同士も話しやすく、人数調整もしやすいのが特徴。
(テーブルと椅子は、数字が小さいほど上座になります)
【長テーブルの場合】
格式高く、落ち着いた雰囲気に。丸テーブルよりも大人数に対応できます。
長テーブルは、会場の中央に近いほど上座となります。
(テーブルと椅子は、数字が小さいほど上座になります)
5. 披露宴の食事スタイル
- シッティング・ビュッフェ
バイキング料理を、自分の決められた席でいただくスタイルです。料理のコストを抑えられるのが利点です。 - 立食パーティー
バイキング形式の料理を立食でいただきます。自由に歓談できるので、カジュアルな披露宴に向いています。 - 正餐(せいさん)形式
決められた席に座り、コース料理をいただく最も一般的でオーソドックスなスタイルです。比較的大規模な披露宴に多いです。
6. 披露宴の流れ
披露宴の形式はさまざまですが、まずは一般的な流れを把握しておきましょう。披露宴の所要時間は2時間半が一般的とされています。
①入場
まず招待客が入場し、着席。続いて、新郎新婦が入場。媒酌人がいる場合は、媒酌人も一緒に入場します。
②開宴の辞
司会者が開宴の挨拶をし、続いて列席者へのお礼と自己紹介をします。
③司会者挨拶
司会者から列席者へ新郎新婦の結婚を報告し、生い立ちやなれそめなどを紹介します。その間、新郎新婦と両親は起立して聞きます。媒酌人を立てる場合は、媒酌人が挨拶をします。
④主賓祝辞
新郎側の主賓、新婦側の主賓の順に祝辞を述べます。
⑤乾杯
司会者の合図で全員起立し、列席者の代表が乾杯の音頭を取り、乾杯します。
⑥ウエディングケーキ入刀
新郎新婦でナイフを持ち、ケーキに入刀します。入刀後、新郎新婦が互いにケーキを一口ずつ食べさせ合うファーストバイトの演出も人気です。
⑦会食
飲み物や料理が運ばれたら、食事と歓談を楽しみましょう。両親が列席者に挨拶をする場合は、この間に行います。
⑧お色直し
新郎新婦はお色直しのために中座します。新婦だけお色直しする場合は、準備が整った頃に新郎も中座します。この間に、二人の映像を流したり、司会者が祝電を披露したりします。
昔のお色直しは、
4日間も掛かっていた!?
実は、お色直しは日本の特有の文化で、海外などではあまりおこなわれないそうです。お色直しの起源は諸説ありますが、奈良時代にさかのぼると言われています。
当時は女性が嫁入りをする際に、三日間は白無垢を着続け、四日目に色打掛を着ることで、ようやく相手の家に染まることが許されたと言われています。その慣習を簡略化したのが現代のお色直しと言われています。
⑨キャンドルサービス
新郎新婦が再入場するときに、テーブルごとにキャンドルを灯すキャンドルサービスを行います。プチギフトを手渡ししながら、テーブルごとに記念撮影をしたりします。
⑩スピーチ、余興
食事の合間に、新郎側新婦側の友人や知人が交互にスピーチや余興を行います。
⑪新婦の手紙
新婦が両親へ宛てた手紙を読みます。司会者に代読してもらう場合もあります。
⑫花束贈呈
新郎から新婦親へ、新婦から新郎親へ花束を渡します。最近は形に残るプレゼントを贈る場合も多いです。
⑬両家代表の謝辞
一般的に新郎の父親が挨拶し、続いて新郎が挨拶します。
⑭新郎新婦退場
新郎新婦、両家親、媒酌人は先に退場し、招待客のお見送り準備をします。
⑮閉宴の言葉
司会者が閉宴の挨拶をし、招待客へ退場を促します。
⑯閉宴
新郎新婦は出口に並び、招待客一人ひとりに短くお礼を述べて見送ります。プチギフトを手渡すことも多いです。
謝辞ってなに?
謝辞とは、披露宴の終盤に行われる、挙式・披露宴に来ていただいた方へのお礼の挨拶です。新郎の父親が両家を代表して述べるのが基本ですが、最近では、新郎の父親に続いて新郎が謝辞を述べたり、父親の代わりに新郎が代表で述べたりすることも増えています。新郎新婦が並び、新郎に続いて新婦が感謝の気持ちをひと言述べてもかまいません。披露宴の最後を飾る大事な場面ですので、原稿を準備し、来てくださった方々に心を込めて感謝の意を表しましょう。
ファーストバイトの
意味とは?
ファーストバイトとは、新郎新婦がお互いにウエディングケーキを食べさせる演出のことです。ファーストバイトには、新郎から新婦に食べさせる場合は「一生食べるものには困らせない」、また新婦から新郎に食べさせる場合は「一生おいしいものを作ります」というこれからの結婚生活に対する意味が込められています。最近では、「ふたりで力を合わせて頑張ろう」という意味を込めて同時に食べ合う「同時バイト」など、ジェンダーの役割にとらわれない工夫を取り入れることもあるそうです。