挙式(主催側)
なぜ挙式をおこなうの?
挙式とは新郎新婦が結婚を誓い合う儀式のことです。各宗教における神の前、または立会人の前で夫婦になることを誓い合います。現在の挙式のスタイルは宗教によって様々ですが、ここでは教会式と神前式について紹介します。
なお、人前式というスタイルも3割ほどまで増えています。宗教の形式によらず、友人代表などに立会人を務めてもらい、立会人や招待客に結婚を誓うかたちの式です。
新郎新婦が家族になるだけではなく、両家が親族として絆を深める意味では
どのスタイルも大事な儀式には変わりないでしょう。
CONTENTS
1. 挙式の日取り
2. 招待客の決定
3. 招待状の作成
4. スタッフの依頼
5. 新婦の衣装
6. 新郎の衣装
7. 教会式挙式の流れ
8. 神前式挙式の流れ
1. 挙式の日取り
日取りは、できるだけ多くの方から祝福される披露宴にするために、本人たちの都合はもちろん、家族や招待客にとって負担のない日取りを優先します。礼服を着るのに負担が掛かる真夏や真冬、出かける予定を立てる場合の多い連休の中日、さらに職場関係の招待客が多い場合は繁忙期を避けておくのが無難です。一方、礼服が簡素になりつつあることやリゾート婚などもあり、季節は関係なくなりつつあるケースもあります。また夏と冬は、経済的であるというメリットもあります。以前は、六曜の中で最も良い日とされる「大安」や、友を引き寄せる日とされる「友引」に行うのが良いとされていましたが、最近は日柄を気にしない方も増えており、特に人気のない仏滅や赤口の日は、予約も取りやすく割引料金が適用されることもあるので、あえて選ぶ方もいます。
六曜について
六曜とは、冠婚葬祭の日取りを決める目安で、江戸時代に中国古来の吉凶占いの方法が
日本に伝わり発展したといわれています。
六輝(ろっき)とも呼ばれ、その日の時刻や方位の吉凶、さらに運勢を「大安(たいあん)」「友引(ともびき)」「先勝(せんしょう)」「先負(せんぶ)」「赤口(しゃっこう)」「仏滅(ぶつめつ)」の6つで示したものです。
開店や引越し、大きな物の購入、手術など大切な日の日取りを決める際に、六曜を重視する場合もあります。
2. 招待客の決定
結婚式の招待客は大きく分けて「親族」「友人」「会社関係」の3つに分けられます。それぞれの思いつく招待客を一通り挙げた後、予算内におさまるように人数調整をおこないます。人数や顔ぶれは両家で揃えるのが基本ですが、必ずしも両家が同数程度にならなくても構いません。
また、遠方のゲストを招待するためには交通費や宿泊費を負う例もあります。関係性にもよりますので留意する方が良いでしょう。
3. 招待状の作成
最近では、招待状は結婚式場に依頼する場合が多いようです。そのほかにも、個人で事業者に依頼したり、パソコンでオリジナルのデザインを利用して作成したりする方法もあります。
また、以前は招待状の差出人は親の名前で出すのが一般的でしたが、最近では新郎新婦の連名で出すことが
多くなっています。目上の人には親の名前で送るなど、相手によって差出人名を変えるのも良いでしょう。
招待状は挙式の3〜2カ月前までに発送し、1カ月前までに出欠を確認できるようにしましょう。
招待状のポイント
- 招待状の封筒には、招待状、出欠の返信用のはがき、会場までの地図を同封します。
- 招待状には、新郎新婦の氏名(または親の氏名、媒酌人がいる場合は媒酌人の氏名)、挙式・披露宴の日時と場所、出欠の返信の締切日を明記します。
- お祝い事のフォーマルな手紙には、「区切る」を意味する句読点を使いません。
また、文章は1文字下げで段落を作らず、頭揃えかセンター揃いにします。 - 披露宴でスピーチや余興をお願いしたい人には、その旨を記した手紙を同封します。
【ここに注意】
招待状を送るには事前に結婚する旨を知らせた方が好ましいでしょう。特に目上の人には電話や手紙で報告してから送るようにしましょう。
4. スタッフの依頼
披露宴にて受付や撮影などの係をお願いする場合があります。依頼をするときは、招待状を送る前に、電話などで本人に必ず確認を取ってから、招待状にあらためてお願いの手紙を同封するのがマナーです。係を務めてくれた友人には、披露宴後に謝礼を手渡すなど感謝の気持ちを丁寧に伝えましょう。
歴史
「家」と「家」のつながりから、「個性」の尊重へ
日本では結婚式らしきものが形作られるのは、鎌倉時代になってからといわれていますが、儀式としての結婚式が庶民の間で普及しはじめたのは江戸時代といわれています。当時は既婚の女性はお歯黒や眉剃りをおこない、身体的にも結婚したことがわかるようにしていたそうです。明治時代になって、文明開化を迎えたあと、結婚式ではキリスト教の挙式様式が意識されはじめました。宗教者が関与する結婚式が成立する、現在おこなわれているような神前式や教会式は明治時代からといわれています。よって、結婚式は近代になって創られた新しい儀式ともいえます。特に、神前式結婚式は、明治34(1901)年5月の皇太子の御婚儀が普及を進めました。やがて庶民の間にも神前式が広まり、戦後の高度経済成長期に入ってからは、式場やホテルでの神前式の挙式が増加するようになりました。昭和の終わり頃には、神前式もしだいに減少しはじめ、1990年代半ばには教会式が神前式を上回り、現在は5割近くが教会式、人前式3割、神前式2割弱といわれています。
これは、神前式の「和装でしっとり」というイメージに対し、教会式の「新しさ」「個人」というイメージが
影響していると考えられます。人前式を選ばれる理由は、信頼する方々の前で誓いを立てることを大切にすることと、
新郎新婦お二人の信仰する宗教が異なる場合に形式にとらわれないことから、などが多いです。誓い方や衣装など、
お二人の意向に合わせたスタイルから選ぶと良いでしょう。
5. 新婦の衣装
新婦の衣装には洋装と和装があり、挙式・披露宴のスタイルが、神前式なら和装、教会式なら洋装が多いでしょう。洋装はウエディングドレス、和装は白無垢や色打掛、黒引き振袖があり、文金高島田(ぶんきんたかしまだ)の髪形に角隠しや綿帽子をかぶります。お色直しは準備に時間のかかる和装から洋装の順番が多いようです。
6. 新郎の衣装
新郎の洋装は、時間帯によって変わります。午前中や昼間ならモーニングかフロックコート、夕方以降ならテールコートかタキシードが一般的です。和装の場合は、黒五つ紋付羽織袴を着用します。新婦がお色直しをしない場合は、新郎もお色直しをしない例が多いようです。
ブートニアが、
ブーケと同じ花のワケ
ブートニアとは、新郎の左胸に飾られた小さな花のことです。洋装をした新郎には欠かせないアイテムですが、和装でも新婦のブーケとお揃いのブートニアを身につける方も多いそうです。
ブートニアの歴史は、中世のヨーロッパの時代にさかのぼります。当時、恋人にプロポーズをすることを決心した男性が、恋人の元に行く途中の道に咲く花を摘み、ブーケにして女性に贈り、結婚を申し込みました。女性は結婚の承諾をした証しとしてブーケの中から一輪の花を男性の胸に返したことが、ブートニアのはじまりと言われています。以後、ブートニアはプロポーズが成功したという意味を持ち、新婦のブーケと同じ花で新郎の上着の左襟に飾ることが定番となりました。
7. 教会式挙式の流れ
近年では教会式挙式は、結婚式場やホテルに併設されているチャペルで行うのが主流です。近年人気のある挙式形態で、5割近くのカップルから選ばれています。なお、キリスト教には二大宗派があり、
プロテスタント(チャペルウェディング)とカトリック(チャーチウェディング)という挙式の方法があります。
また、プロテスタントは「牧師」と呼びますが、カトリックでは「神父」と呼ぶなど、呼称にも違いがあります。
一般的な教会式の進み方
- 牧師・新郎入場
- 新婦入場
- 賛美歌斉唱
- 聖書朗読・祈祷
- 誓約
- 指輪交換
- 結婚証明書にサイン
- 祈祷・宣言
- 賛美歌斉唱・祝祷
- 退場
結婚指輪の相場は?
結婚指輪は明治時代に盛んになったといわれています。結婚の際には、婚約指輪(エンゲージリング)と結婚指輪(マリッジリング)の二種類を用意します。女性に贈る婚約指輪は20~40万円で購入する人が多いそうです。
一方、結婚指輪(マリッジリング)は、普段身に付ける実用的なものとされ、プラチナが人気です。
相場は、ペアでおよそ20~30万円未満で購入する人が多く、婚約指輪より安価といえます。
8. 神前式挙式の流れ
神前式挙式は、家と家を結びつけるという考えに基づいた、神社で行う日本の伝統的な挙式スタイルで、日本文化を見直すカップルに人気があります。家族や親族のみが列席するのが基本でしたが、神社によっては友人も列席できますので神社に席数を確認しておくと良いでしょう。指輪の交換もありますが、式の中心は三献の儀と言われる三三九度です。神社での挙式の際には神楽の奉納も行われます。
一般的な神前式の進み方
- 入場
新郎新婦、媒酌人夫妻、新郎両親、新婦両親、新郎親族、新婦親族、友人・知人の順に入場します。 - 修祓(しゅばつ)の儀
神事の前のお清めの儀式。斎主が入場し、神座(しんざ)に拝礼します。全員が起立して頭を下げ、斎主がお祓いをします。 - 祝詞奏上(のりとそうじょう)
斎主が神に結婚報告をして、祝詞を読み上げます。参列者は頭を下げて拝聴します。 - 三献の儀(三三九度の儀)
新郎新婦が三つの杯でお神酒を飲み交わし、縁を固める儀式です。
【神酒を飲む正しい順】
一の盃(小) 新郎→新婦→新郎
二の盃(中) 新婦→新郎→新婦
三の盃(大) 新郎→新婦→新郎
【現在の神酒を飲む順】
現在では、以下の順に略されることが多く、正しい作法で行われるのは稀なので、事前に確認しておくと良いでしょう。
一の盃(小) 新郎→新婦
二の盃(中) 新婦→新郎
三の盃(大) 新郎→新婦
三三九度は、美しい姿勢で盃は指を揃えて持ち、盃を口元まで持っていくのが正しい作法とされています。お酒が苦手な方は、飲む真似で構いません。
- 誓詞奏上(せいしそうじょう)
- 玉串奉奠(たまぐしほうてん)
玉串奉奠とは、挙式が無事に行われたことへの感謝や幸せな家庭を築けるように祈りを込めて、
玉串(榊の小枝に紙垂(しで)をつけたもの)を神前に供える儀式です。
【玉串奉奠のやりかた】
右手で玉串の根元上より、左手で上部を下より受け取る。
- 小揖(浅いお辞儀)して席を立ち、玉串を奉る案の前まで進み出て深めのお辞儀をします。
- 玉串を立て、左手を下げて両手で根元を持ち、祈念します。
- さらに回して右手が中ほど、左手が右手の下になるように持ちかえます。
- 時計回りに根元をご神前に向け、案の上に奉ります。
- 「二礼、二拍手、一礼(出雲大社などは除く、神社の作法に従ってください)」をします。
- 最後に深くお辞儀をし、お互いに背を向けないように内回りで方向転換をし、席に戻ります。媒酌人を立てる場合には媒酌人は同様に玉串を捧げます。
- 指輪の交換
- 親族固めの杯の儀
- 退場
三三九度ってなに?
三三九度とは、大・中・小の三つの盃で新郎新婦がお酒を酌み交わす儀式のことです。三三九度は室町時代の武家礼法に由来するとされており、その礼法が江戸時代に庶民に広がり、婚礼の儀式としてもおこなわれるようになったといわれています。三段に重ねられた盃を上から順番に、ひとつの盃で交互に三回、合計九回いただく作法だったことから三三九度といわれるようになりました。また、「三三」には吉数の3を重ねためでたい数を意味しています。
三回の「盃」のそれぞれの意味
一盃(小):新郎新婦の過去を表現しており、先祖への感謝を意味します。
二盃(中):新郎新婦の現在を表現しており、夫婦で力を合わせてこれから生きていくことを意味します。
三盃(大):新郎新婦の未来を表現しており、子孫繁栄と一家の安泰を意味します。
三回に分けて飲むことにも意味があり、一口目は神様へ、二口目は家族へ、三口目は招待客に対して感謝と誓いを込めて飲みます。
歴史
結婚式のはじまりは鎌倉時代
日本では結婚式らしきものが形作られたのは、鎌倉時代になってからといわれています。武士団における家、一族の重要性が増したことから家を継続させる必要にともない、結婚もこれまでの夫婦で同居せずに夫が妻の家を訪ねる妻問婚(つまどいこん)から、妻が夫の家に居住する嫁入婚(よめいりこん)へと変化しました。個人と個人の関係だけではなく、家が意識されはじめるようになると、家の格式にふさわしい女性とのお披露目が必要となったことが、儀式性を帯びるきっかけといわれています。
神前式挙式から教会式挙式へ
それまで活況であった神前式に代わり、1980年代半ば頃から教会式の人気が増加しはじめました。現在教会式の実施割合は、70%を超えて主流となっています。神前式から教会式へ移行した主な理由は、価値観や家族内での意思決定の主体が時代の変化とともに変わっていったことが考えられます。かつての家や地域共同体による拘束は弱まり、親や親族がこだわる結婚式を挙げる風習が薄れていったことから、新婦がリードして挙式形態を選択するようになりました。そして、伝統を重んじながら形式がおおよそ決まっている神前式よりも、多様な選択肢の中から自分たちらしい演出ができる教会式が好まれるようになったといわれています。