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場所・方角から仏具の意味まで
【初心者向け完全ガイド】
仏壇の置き方・飾り方の基本

「いざ仏壇を置くことになったけれど、どこに置けばいいの?」「仏具がたくさんあるけど、何をどう飾ればいいのか分からない」。初めて仏壇に向き合うとき、多くの人がそんな疑問や不安を感じるのではないでしょうか。この記事では、仏壇を置くのにふさわしい場所や仏具の種類や意味など、初心者の方が知っておきたい基本を解説します。

仏壇はどこに置くのが正解?
設置場所の基本

仏壇は、故人やご先祖様に手を合わせ、心を通わす大切な場所です。昔の日本の家屋では、仏壇を安置するための「仏間」というスペースがありました。しかし、現代の住宅では仏間がないケースがほとんどなので、家族が集まりやすいリビングや、静かな寝室に置くのが多いのではないでしょうか。仏壇を置く場所に決まりはありませんが、家族が手を合わせやすい場所を選ぶことが大切です。

逆に、ご先祖様に気持ちよくお参りするため、そして仏壇を長く大切に保つためにも、玄関や部屋のドアなど人の往来が多い場所、日当たりが悪くて湿気がこもりやすい場所や、、直射日光や西日が強く当たる場所は避けるほうがよいでしょう。また、神棚の真下や向かい合わせに置くと、どちらかを見下ろしてしまったり、お尻を向けてしまったりするので避けましょう。

仏壇を置く方角はどうしたらいい?

仏壇を置く方角については諸説ありますが、どの向きに飾っても問題はないとされています。いくつか代表的な考え方があるので見ていきましょう。

1 南面北座説(なんめんほくざせつ)

北側を背にして南向きに置く考え方です。南向きは日当たりや風通しが良いことから、仏壇の品質を保つ上でも理にかなっているとされています。 古来、王様や高貴な人は南を向いて座るのが良いとされており、それに習った説です。

2 西方浄土説(さいほうじょうどせつ)

仏教の多くの宗派では、ご本尊である阿弥陀如来(あみだにょらい)がいるとされる「西方極楽浄土(さいほうごくらくじょうど)」に向かって拝むのが良いとされています。そのため、仏壇を東向きに置くことで、自然と西の方角を拝む形になります。

3 本山中心説(ほんざんちゅうしんせつ)

それぞれの宗派の総本山がある方角は、最も尊い方角とされています。その総本山に向かって拝めるように仏壇を配置するという考え方です。

仏壇のデザインや特徴を紹介

仏壇にはさまざまな種類があります。設置場所のスペースやライフスタイルに合わせて選ぶのが良いでしょう。

金仏壇(きんぶつだん)

漆を施して内部を金箔などで仕上げた、荘厳で伝統的なデザインの仏壇です。浄土真宗の正式な仏壇として知られていますが、他の宗派で使われることもあります。

唐木仏壇(からきぶつだん)

黒檀(こくたん)や紫檀(したん)など、木材の美しい木目を活かした、重厚感のある伝統的なデザインの仏壇です。和室にも洋室にマッチしやすいのもポイント。宗派を問わず広く用いられている一般的なタイプです。

家具調仏壇(かぐちょうぶつだん)

モダン仏壇とも呼ばれ、現代の洋室やリビングのインテリアにも馴染む現代風のデザインです。一見、仏壇とは分からないようなシンプルなデザインや、明るい木材を使用したナチュラルなものなど、バリエーションが豊富です。

何を飾る?
基本の仏具とその意味を知ろう

仏壇の中には、ご本尊やご先祖様を敬い、供養するためのさまざまな「仏具」を飾ります。一つひとつの仏具には意味が込められており、それを知ることで、日々のお参りがより一層心のこもったものになるはずです。ここでは、そろえたい基本的な仏具とその意味について紹介します。

礼拝(らいはい)の対象となる
仏具

ご本尊(ごほんぞん)

ご本尊は、仏壇の中央、最も高い位置に安置する、信仰の中心となる仏様です。宗派によってお祀りする仏様が異なり、掛軸の場合と仏像の場合があります。菩提寺に確認するか、仏具店で宗派を伝えて選びましょう。

脇侍(わきじ)

ご本尊の両脇にお祀りするのが脇侍です。ご本尊を補佐する役割を持つ仏様や、宗派の開祖・高僧を描いた掛軸や仏像です。仏壇には、ご本尊とお位牌を飾ることが優先なので、仏壇が複数の段になっていない場合などは、脇侍は飾らなくても大丈夫です。

お位牌(いはい)

故人の魂が宿る依り代(よりしろ)とされ、戒名(法名)や俗名、没年月日などが記されます。ご本尊のお顔が隠れないよう、一段低い位置に安置するのが基本です。

基本のお飾り
「三具足(みつぐそく)」

香炉(こうろ)

お線香を立てる(または寝かせる)ための仏具です。仏教では香りは空間を隅々まで清め、お参りする人の心身も清浄にするとされています。

花立(はなたて)

季節のお花をお供えするための仏具です。美しく咲く花は仏様の慈悲を、そしてやがて枯れていく姿は、この世のすべてのものは移り変わるという「諸行無常」の真理を表しているとされます。

燭台(しょくだい)/火立(ひたて)

ろうそくを立てるための仏具です。ろうそくの光は、仏様の智慧の光を象徴し、私たちの煩悩や迷いの闇を明るく照らしてくれるとされています。

これらの正式な飾り方では、香炉を中心に、両脇に燭台と花立を一対ずつ置く五具足(ごぐそく)が用いられますが、日常のお参りでは三具足で十分です。

日々のお供えに使う
仏具

仏飯器(ぶっぱんき)と茶湯器(ちゃとうき)

炊き立てのご飯を盛るのが「仏飯器」、朝一番のお水やお茶を入れるのが「茶湯器」です。ご先祖様への感謝の気持ちを表す大切なお供えです。

高坏(たかつき)

お菓子や果物など、季節の初物や頂き物をお供えする際に使う、足の付いた器です。お盆やお彼岸など、特別な日にはお団子やおはぎなどを盛ってお供えします。

おりん

お参りの始めや終わりに鳴らして音を響かせる仏具です。邪念を払い、心を落ち着かせるとともに、仏様やご先祖様へ「今からお参りを始めます」という合図を送る役割があります。

図解 仏壇の基本の飾り方

仏壇の飾り方は宗派によって異なる部分もありますが、基本の形を押さえておきましょう。仏壇の内部は、ご本尊を最上段に安置するのが決まりです。その下にお位牌、さらに下の段に三具足などの仏具を配置します。

最上段

ご本尊、脇侍を置きます。

次の段

お位牌をご本尊が見えるように右か左に少しずらして置きます。

中段

仏飯器と茶湯器を配置し、その左右に高杯を置きます。

最下段

三具足やおりん、マッチ消しなどを配置します。三具足は向かって左に花立、中央に香炉を置き、右に燭台を配置します。


まとめ

仏壇の置き方や飾り方にはさまざまな作法がありますが、最も大切なのは、故人やご先祖様を想い、感謝する気持ちです。形式にとらわれすぎず、ご自身のライフスタイルに合わせて、穏やかな心で手を合わせられる環境を整えることが、何よりの供養となるでしょう。




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