葬儀の準備
葬儀の準備に必要なこととは?
葬儀の準備はいつから始めればよい?
身内の葬儀に立ち会うことは人生を通してそう何度も経験することではありません。ましてや生命の誕生(出産)は医師によって予定日を知らされ、ある程度予測することが可能ですが、生命の終焉(葬儀)は予測することが非常に難しいです。つまり、葬儀は経験不足と予測不可能な二点の理由で、非常に準備が難しいと言われています。
しかし、実は葬儀の準備はそう難しいことではありません。1990年代に映画や雑誌、小説などで「死」が広く語られるようになる以前は、死について語ることは縁起が悪いことだとしてタブー扱いされていました。しかし現在は「終活」が多く取り上げられているように、ご自身の最後と死後について、周囲の人達に迷惑をかけないようにという理由で、事前準備することは広がりを見せています。葬儀の準備をいつから始めるとよいのか。葬儀の準備がなぜ簡単なのかを紹介させていただきます。
CONTENTS
1. 葬儀の流れ
2. 葬儀社選びのコツ
3. 葬儀の準備に必要なこと
4. 葬儀の準備で必要となる決定事項
1. 葬儀の流れ
葬儀の準備が遅くなる原因は、葬儀の流れに対する理解不足も原因の一つだと言われています。葬儀がどのような流れで行われるのかを理解しておくことで、事前準備もある程度可能となるでしょう。
①危篤(予知できず急逝される場合もあります)
医師から危篤であることを伝えられます。この時点で身近な方々やご自身の職場等にも連絡しておくと良いでしょう。
②臨終・逝去
医師が亡くなっているかどうかの判定をし、死亡診断書を発行してもらいます。死亡診断書がないと火葬の許可がおりませんので、忘れずに受け取ってください。
③病院や施設の霊安室
ご遺体を病院の霊安室に移し、葬儀社のお迎えを待ちます。霊安室がない場合は、元々利用していたベッドに継続して安置します。
④菩提寺・葬儀社に連絡
菩提寺がある場合にはまず菩提寺に連絡します。また、葬儀社に連絡をして、病院にお迎えに来てもらいます。事前に葬儀社を決めておくことで、葬儀社も万全の準備が可能となり、迅速な対応が期待できるでしょう。
⑤搬送と安置
病院から遺体を安置場所までお連れします。安置にはお預かり安置とお付き添い安置、自宅安置の3種類あります。
⑥葬儀社と打ち合わせ
事前に相談していた先がある場合は、そのお寺や葬儀社に連絡を入れましょう。葬儀社などが決まっていない場合は、この時点から諸内容の確認を行う必要があります。「葬儀の準備で決めること」を確認して決めていくことになります。
⑦葬儀
打ち合わせで決めた通りの内容で葬儀を行います。
2. 葬儀社選びのコツ
後悔の無い葬儀をするためには葬儀社の協力が不可欠です。葬儀社に葬儀の喪主や故人のこだわりを伝え、その葬儀社で希望に副った葬儀が行えるか、費用などの面も含めて確認するのが良いでしょう。更に葬儀社としての社歴や実績、葬儀会館の設備環境を調べるとともに、葬儀費用のうち、どこまでが基本料金に含まれるサービスで、どこからがオプションか、見積りをもらい確認することで行き違いが防げるでしょう。他社と比較することも可能になります。葬儀後に行うことなどもあわせて確認することをおすすめします。
葬儀社が普及する以前は?
江戸時代にも葬祭に関わる職業はあったと言われますが、葬祭業と呼ばれる職業は明治以降と言われています。それ以前は現在の葬儀社のような仕事は、地域共同体である村や江戸中期からは葬式組や講中と呼ばれるコミュニティで行われていました。炊事、葬具の準備、穴掘り、宿の提供、葬儀の采配、会計など、全ての作業を家族や親族を中心に、隣人たちの協力を得て行われていたそうです。
3. 葬儀の準備に必要なこと
葬儀の準備が遅くなりがちなのは、葬儀そのものの経験不足が原因であるとお伝えしました。経験がないからこそ、何をしたらいいかわからない、何がわからないかもわからないという状態に陥ります。「葬儀費用や予算を決める」や「どこで葬儀をするか決める」、「通夜振る舞いや精進落し、香典返しや返礼品を決める」などを決めておくことが重要です。葬儀社を選んでおくと、いざ不明な点が出てきたとしてもすぐに相談可能となりますので、精神的にも余裕をもつことができます。
葬儀の準備に重要なことは、行いたい葬儀をできる限り具体化し、それらを実現できるところのサービス内容・費用などを確認することです。
葬儀での用語
- 通夜振る舞い:お通夜の後、喪主か司会者が声をかけ、通夜ぶるまいの席に誘う。本来は精進料理ですが、お料理を囲み、喪主から生前故人がお世話になったことへの感謝や、故人に対する気持ちなどを語らいながらいただく席です。
- 精進落し:精進の期間が明け通常食に戻ること。精進落ち、精進上げ、とも言う。
- 香典返し:香典を受けたお礼に物を贈ること。また、その物。
- 返礼品:贈られた品物のお返しとして贈る品物。
4. 葬儀の準備で必要となる決定事項
以下に葬儀の準備において必要となることを箇条書きで紹介します。(仏式の場合)
- 喪主の決定
- 葬儀にお呼びする人数と範囲
- 遺影写真
- 宗旨宗派の確認
- 菩提寺の有無の確認
- 家紋の確認
- 弔辞の依頼相手(弔辞が必要な場合)
- 葬儀社を決める
- 葬儀にかける予算
- 葬儀する場所
- 葬儀での通夜振る舞いや精進落としの選定
- 葬儀での返礼品や香典返しの選定
- 宗教者の手配の有無
歴史
葬儀は沢山の方にお声がけをし、盛大にお見送りすることが一般的なならわしでした。しかし「家族葬」という単語が、平成初期ごろから使われ始めました。新しい葬儀の形として徐々に広まると、2012年に新語・流行語大賞で「終活」がトップテンに選出され、それに伴い葬儀に対する凝り固まった考え方は徐々に変化していきました。その結果、以前よりも葬儀について事前に準備をしておくことに対する精神的なハードルが下がり、多くの人が葬儀について前向きに考えるようになりました。この先、葬儀の準備をすることへの抵抗感はさらに減っていくかもしれません。
終活はいつはじめるの?
自身の葬儀の準備(終活)は、会社の退職や子どもの独立など、生活のステージが大きく変化する年齢から始めることが多く、また加齢とともに増す身体的、精神的な不安を解消するという意味からも、70代から始める方が多いようです。「人生100年時代」と言われるようになりましたが、いつ亡くなるか、明日のことはわからないものです。そして死の準備、葬儀の準備は一定以上の年齢になってから始めるものという先入観を持っている方が少なくなく、それが葬儀の準備が進まないことの障壁になっています。「自分はこのように見送られたい」という希望を、エンディングノートなどに記して周りに伝えたりして、残しておくこともよいでしょう。そして、終活もこれからの「人生設計(終わり方)」の一環として捉え、希望が変わった際には更新していくのもよいでしょう。その気のある方は何歳と言わず、早くから始めてみるのもよいでしょう。