お宮参り
お宮参りっていつ行くの?
お宮参り(初宮参り・初宮詣)は、生後一か月前後に神社に参拝します。生後30日前後が多いですが、地域によっては生後100日前後に百日祝い(お食い初め)と同時に行うなど違いがあります。近所の神社(氏神※)や有名な神社に参拝しご祈祷を受け、その後に写真撮影や食事会を行うのが一般的です。赤ちゃんやお母さんの体調を最優先して、晴天の日に出かけるのが好ましいでしょう。
※氏神(うじがみ)とは、古代の血縁的な関係にあった一族がお祀りした祖先神・守護神や、産土神(うぶすながみ)と呼ばれる、こどもが誕生した土地を守護する神社のことをいいます。
CONTENTS
1. お宮参りとは
2. 服装
3. お宮参りの流れ
1. お宮参りとは
氏神(うじがみ)と呼ばれる古代の血縁的な関係にあった一族がお祀りした祖先神・守護神や、産土神(うぶすながみ)と呼ばれるこどもが誕生した土地を守護する神社への初参拝の儀式で、無事に誕生したことを神様に報告し、感謝とともに今後の健康を祈ります。また、母親が日常の生活に戻る区切りという意味や、祖父母、父母、こどもの三代がそろって新たな家族を認識する場という意味もあるようです。
2. 服装
お宮参りの際は、神聖な神社に参拝するため、家族そろって正装をすることが望ましいです。
赤ちゃん
赤ちゃんは、最近は洋装のベビードレスや産着の上に祝い着をかけることが多いようです。洋装の場合は、ベビードレスの上にケープやおくるみ(アフガンとも呼ぶ:アフガン編みに由来するという説があります)をかけます。洋装の場合は白い帽子と靴下を用意します。
和装では、白羽二重の着物の上に紋付の祝い着をかけます。男の子は、虎や鷹、龍などの図柄の熨斗目(のしめ)模様(:図柄ではなく、模様配置のひとつ)、色は黒や濃紺、緑などの祝い着を羽織ります。女の子はちりめん地などに花や蝶、鶴などのおめでたい図柄の友禅(ゆうぜん)模様、色は赤、桃色、黄色などの祝い着を羽織ります。
夏場は体温調節がまだできない赤ちゃんの体調を考え、薄手のベビードレスや産着に、ご祈祷や写真撮影の際だけ祝い着をかけるようにしましょう。
両親
赤ちゃんの晴れのお祝いですので、正装か、用意できる正装に近い装いで出かけることが望ましいでしょう。現在では父親は黒のフォーマルスーツやビジネススーツ、母親は露出の少ないワンピースやスーツで参拝する方も増えています。母親は和装される方も少なくありませんが、明るい色の色留袖や訪問着が多いようです。かつては父親は着物に羽織袴、母親は黒留袖といった和装で参拝することが多かったようです。
祖父母
本来は、父方祖母が赤ちゃんを抱っこして参拝するのが習わしです。祖母は黒留袖を着ることが多かったですが、現在では和装なら色留袖や訪問着、色無地紋付などを着るのがよいでしょう。祖父も洋装ならスーツなど、正装で行くのがよいでしょう。ただし、母親や祖母が黒留袖を着る場合は、格を合わせて慶事用の礼服、シャツとネクタイの色は白にすることをおすすめします。
氏神と産土神の違いは?!
氏神とは古代社会で 血縁的な関係にあった一族がお祀りした祖先神・守護神で、産土神は生まれた土地の守り神ですが、近世に鎮守(ちんじゅ)の神・氏神と同義になりました。氏子(うじこ)も氏族の子孫を意味するものから、神社の祭祀(さいし)圏内に住みお祭りに参加し人生儀礼の際に訪れる人という意味へと変化しています。
3. お宮参りの流れ
【事前準備】
ご祈祷の予約
混み具合や閉門時間も異なるので、ご祈祷は神社に予約を入れておくのが望ましいです。時間と目的がお宮参りであることを伝えます。予約の際に赤ちゃんの氏名、生年月日を聞かれることがあります。ご祈祷では神職が祝詞(のりと)をあげて赤ちゃんの健康を神様にお願いしてくれます。
初穂料の準備
神社で祝詞を読み上げてもらう謝礼の初穂料はお気持ちなので、あくまで目安ですが、5,000円~1万円程度の初穂料を用意することが多いようです。神社によっては金額が決まっているところもあります。初穂とはその年に初めて収穫された稲穂のことで、現代では初穂の代わりに初穂料としてお金で納めます。水引が紅白蝶結びの熨斗(のし)袋に入れ、赤ちゃんの氏名を書きます。読みにくい氏名の場合はふりがなを書きます。熨斗袋は袱紗(ふくさ)に包んで持参するのが望ましいでしょう。
【当日の流れ】
お詣り
神社に着いたら、手水舎(ちょうずや・てみずや)で手や口を清めてから神社に参拝します。お宮参りの際も一般的なお詣りと同じで、鈴を鳴らしお賽銭をお賽銭箱に入れ、二礼二拍手一礼(出雲大社など、異なる神社もあります)します。お賽銭の金額に決まりはありません。
ご祈祷の受付
ご祈祷の受付は社務所で行います。予約した時間の10分前には受付を済ませましょう。
初穂料
受付の際に初穂料を納めます。
ご祈祷
太鼓が叩かれたらご祈祷が始まります。拝殿で神主さんに祝詞(のりと)を上げてもらいます。祝詞とは祭典に奉仕する神職が神様に奏上する言葉です。祝詞により不浄な雑念を取り払い、赤ちゃんの健やかな成長を願います。参列者は玉串拝礼(たまぐしはいれい)を行います。詳しくは神職の指示に従ってください。
玉串拝礼の手順
右手で玉串の根元上より、左手で上部を下より受け取る。
- 小揖(浅いお辞儀)して席を立ち、玉串を奉る案の前まで進み出て深めのお辞儀をします。
- 玉串を立て、左手を下げて両手で根元を持ち、祈念します。
- さらに回して右手が中ほど、左手が右手の下になるように持ちかえます。
- 時計回りに根元をご神前に向け、案の上に奉ります。
- 「二礼、二拍手、一礼(出雲大社などは除く、神社の作法に従ってください)」をします。 最後に太鼓が叩かれ、ご祈祷が終わります。ご祈願されたお札やお守りを受け取ります。 神社によってはお神酒をいただけることがあります。
写真撮影
お宮参り当日に写真撮影を行う場合は、神社の前や写真スタジオに移動して撮影します。赤ちゃんとお母さんの負担を考慮して、別日に撮影する場合もあります。写真スタジオには事前予約を入れると安心です。
食事
最近ではレストランや料亭などで食事会を行うご家族が増えています。自宅で家族のみでお膳をとってお祝いしたり、親戚や知人を自宅に招いてお祝いするケースもあります。お店などは事前予約をすると安心です。
歴史
お宮参りの歴史
日本では古代から、生命の誕生を祝う行事があったと言われています。初期はご馳走を食べ、踊り、神に誕生を報告する程度で、お宮参りは鎌倉時代に始まり、現在のようなご祈祷を受けるようになったのは室町時代からのようです。お宮参りは各地方で呼び名があり、ヒノハレ(日の晴れ)やユミアケ(忌み明け)などは、出産が出血を伴うことから死と同様にケガレの対象で、産婦や赤ちゃんは産小屋(うぶごや)などに隔離され、産の忌みが晴れる日がお宮参りであり、初めて安産のお礼と赤子の披露が行われたことがわかります。また、ゲンゾマイリ(見参参り)やウジミセ(氏見せ)という呼び名は、赤ちゃんが初めて氏神へ参ることを意味しており、地域の一員として認めてもらう儀式であったと考えられています。
出産が医療機関で行われるようになり、氏神との関係性も薄くなった近年、家族の行事という側面が強くなりました。戦前は赤ちゃんと姑、産婆と産婦での参拝が主流でしたが、1960年代以降は両親と赤ちゃん、1990年代以降は夫婦双方の祖父母が加わり家族三世代で参拝するようになったのも家族の行事という意識の表れだと言えます。
犬張子って?
犬張子(いぬはりこ)は、お宮参りの際に祝い着の紐に付けたり、写真館の撮影で使用される子犬の形をした人形です。室町時代に上流階級で出産のお祝いとされたことに始まり名古屋の熱田神宮によると、愛知県のあたりが発祥とのことです。犬の子は病気をせずに元気に育つことから、「犬のように丈夫に育つように」との願いが込められています。人生が末広がりに開くようにという意味の扇子、お金に不自由しないようにという意味のお金、元気で裏表がない子に育つようにという意味のでんでん太鼓と一緒に結び付けます。犬張子がこどもが3歳になるまで身代わりとなって災厄をかぶるとも言われており、3歳の七五三に神社に奉納します。なお、現在では行われないことが多いようです。
水引の蝶結びと結びきりの違いは?!
慶事で用いられる紅白の水引には、蝶結び、結びきり、あわじ結びなどいくつかの種類があります。
蝶結びは何度でも結び直しができることから、出産や七五三、入学、長寿などの繰り返しても良い祝い事に用いられます。お見舞いや快気祝い、結婚祝いなど二度あってはいけないお祝いには使用しません。快気祝いや結婚祝いには、結びきりやあわじ結びの1度固く結ぶとほどけない水引を用います。