出産祝い
出産祝いって何をするの?
出産祝いとは、赤ちゃんが産まれたことをお祝いする習慣です。現代では、生まれた子の親にプレゼントやお祝い金を贈るのが一般的です。以前は、出産前後の儀式やしきたりがいくつかありましたが、最近はお七夜とお宮参りのみのご家庭が多いようです。お七夜は、赤ちゃんが生まれて7日目の夜に家族や親戚が集まり、赤ちゃんの名前を披露する命名式を行います。お宮参りは、生後1か月ぐらいに神社に初参拝する儀式です。また、昔からのしきたりではありませんが、妊娠5か月目の「妊娠祝い」、産後半年にハーフバースデイを行うご家庭も増えているようです。
CONTENTS
1. お七夜とは
2. 出産祝いに贈るもの
3. 出産祝いのマナー
4. 出産内祝い
1. お七夜とは
出産を祝う儀礼として、今日でもお七夜と呼ばれるお祝いがあります。お七夜は、赤ちゃんが無事誕生したことを祝い、赤ちゃんの名前を披露する命名式を行います。赤ちゃんが生まれて初めてのイベントと言えます。命名式は、この日に命名し命名書を神棚に上げる風習です。尾頭付きの鯛や赤飯、ハマグリのお吸い物などの縁起が良い料理で祝い膳を囲みます。以前は父方の祖父が主催し、親戚まで集めて家のお祝いとして行われましたが、現在は母親が里帰りしている場合は母親の実家で行われたり、赤ちゃんと両親だけで行われることが多いようです。家族以外に名付け親がいる場合は招待します。命名書は書道家にオーダーできたり、文具店やネットショップで簡単に購入できます。
歴史
昔は生後7日目まで名前を付けない?!
平安時代の貴族社会では、「産養い(うぶやしない)」という儀礼が行われていました。こどもが誕生した日の夜を初夜と言い、3・5・7・9日目の夜に親戚や知人を集め祝宴を行う習慣がありました。その際に衣服や食物、調度などを贈ったのが出産祝いの始まりと言われています。近年まで産後3日目の三つ目・三日祝いとして、お赤飯を炊いたり、湯初め、着初め、産毛そりなどが全国的に行われていましたが、病院等での出産が当たり前になって行われなくなってしまいました。平安時代は医療も発達していなかったため、赤ちゃんの生存率は低く、生後7日目までは名前を授けませんでした。生まれてから1週間を無事に過ごせたことを盛大にお祝いする風習が、今もお七夜という儀式として残っています。また、お七夜は枕引きとも呼ばれ、自宅で出産した母親が寝床を片付ける日でもあったようです。
2. 出産祝いに贈るもの
今日では、お祝い金が主流になっています。親・兄弟は1万円~10万円、親族やいとこは1万円~3万円、友人や職場関係は3千円~1万円程度が相場です。また、アメリカのベビーレジストリー(アメリカのギフトレジストリー文化:欲しいものリストをAmazon等で作成し、ギフトを贈る側が、本人の欲しいものからプレゼントすること)に習って、出産する父母の欲しいものリストからプレゼントするという方法もあります。以前は、妻の実家から男の子が産まれた時は熨斗目(のしめ)模様(:袖の下部と腰のあたりの横一文字につけられた幅広の模様の配置)の紋付広袖、女の子の時は友禅模様の紋付の着物を贈る習慣がありました。出産祝いの熨斗(のし)などに犬張子の図柄が用いられるのは、犬は出産が軽く多産であることが由来です。
出産祝いの相場
おすすめトレンド情報
おむつをウェディングケーキのように積み上げて飾るおむつケーキや、出産を控えた女性をお祝いするアメリカ発祥のパーティーであるベビーシャワーは、日本でもおなじみになりました。さらにここ数年来流行しているのは、ニューボーンフォトとジェンダーリビール(gender reveal)。ニューボーンフォトとは、生後3週間ごろまでの新生児期の姿を写真に残すこと。かわいいおくるみやカゴ、ベビーブランケット、ぬいぐるみ、リボン、王冠、お花などの衣装や小道具で演出します。ジェンダーリビールとは、生まれてくる赤ちゃんの性別をお披露目するパーティーで、ケーキや風船などに性別がわかる仕掛けをして、ケーキを切ったり、風船を割ると性別がわかるというサプライズ演出をします。
3. 出産祝いのマナー
出産祝いを贈るタイミングは、一般的に産後7日目となるお七夜から約1か月後のお宮参りまでの期間とされています。贈り物は直接会って渡すのが正しいとされていますが、出産祝いは赤ちゃんとお母さんの体調を気遣って、郵送することをおすすめします。病院に会いに行くのはNGなので気をつけましょう。 親しいお友達などは、生活が落ち着いてくる出産後2~3カ月程度を目安に、お祝いのために短時間訪問する場合もあるようです。出産祝いの熨斗は、何度あっても喜ばしいことなので、結び直せる紅白の花結び(蝶結び)を使用します。表書きは「御出産御祝」や「御安産御祝」と書くのが一般的です。
地域の特色ある風習
医療が発達する前の時代は、出産は死と背中合わせの大変なことで、生まれてくる子と母親の無事を祈って、氏神や産神、産土神、地蔵、観音、箒神などへの祈祷が盛んに行われていました。安産の神様として広く信仰された寺社も全国にあり、宮城の塩釜神社、秋田の唐松神社、群馬の産泰神社、東京の水天宮、静岡の岩水寺、和歌山の淡島神社、兵庫の中山寺などが有名です。
戌の日の安産祈願を行う風習は良く知られていますが、安産祈願に底の抜けた柄杓を奉納する風習や、実の親以外の大人と義理の親子関係を結ぶ仮親という風習もありました。
4. 出産内祝い
出産内祝いは、赤ちゃんが生まれた側から贈るものです。出産内祝いは、出産祝いの返礼品を贈るという認識が強いですが、本来は親族や知人に赤ちゃんが無事生まれたことを披露するための贈り物です。赤ちゃんが生まれた幸せのおすそ分けの意味も含まれています。出産内祝いは、いただいた金額の半分程度の品物を贈るのが一般的です。金額のわからない品物をいただいた場合には、相手が気兼ねしない千円~3千円の品物を贈りましょう。出産内祝いの熨斗(のし)紙には、両親の名前ではなく赤ちゃんの名前を書きます。
赤ちゃんの毛で
筆をつくるの?
1度もハサミを入れていない赤ちゃんの毛で作る胎毛筆を出産の記念に作るという伝統が昔からあります。賢く健やかに成長するようにとか、字が上手くなるようになどの願いが込められています。胎毛筆の文化は中国から日本に約300年前に伝わったと言われ、中国では千年以上の歴史があると言われています。