端午の節句(こどもの日)

端午(たんご)の節句ってなにをするの?

端午の節句は、5月5日に男の子の成長と健康を願ってお祝いをする行事。現在は「こどもの日」、国民の祝日として定められています。ゴールデンウィークのなかの祝日でもあり、家族みんなで楽しい休日を過ごすご家庭も多いでしょう。五月人形や鯉のぼりを飾って、柏餅やちまきを食べて、菖蒲湯に入るなどの慣習があります。また、端午の「端」には、「最初、はじめ」という意味があることと、旧暦で午(うま)の月は5月のことを指すことから、端午は「5月最初の午の日」という意味で、元々は5月5日に限られていたわけではありませんでした。端午の「午(ご)」と五の発音と同じであることから、5月5日に定着するようになったといわれています。また、「節句」は季節の節目となる日のことをいい、旧暦の5月は春から夏への季節の変わり目で雨季にあたり、病気や厄災が増える時期といわれていたことから、強い香りを持つ菖蒲が邪気払いに用いられていたため「菖蒲(しょうぶ)の節句」とも呼ばれています。

CONTENTS
1. 五月飾り
2. 初節句
3. 行事食

1. 五月飾り

端午の節句の飾り物を「五月飾り」といいます。五月飾りには2種類あり、屋内に飾る五月人形を「内飾り」といい、男の子の健やかな成長を願うことを意味します。一方、屋外に飾る鯉のぼりを「外飾り」といい、男の子の立身出世を願って飾ります。

五月人形

五月人形には、力強くたくましく成長するようにといった願いが込められています。
4月上旬から節句の日の1〜2週間前までに飾り始め、5月中旬頃まで飾る家庭が多いです。また飾る日やしまう日は、天気の良い日が良いといわれています。五月人形は厄を身代わりし、願いを叶えると信じられていたことから、できれば兄弟の数だけ飾るのが望ましいでしょう。

五月人形の種類は、大きく3種類に分けられます。

  • 鎧(よろい)飾り
    装身具一式を飾った、五月人形の中で最も豪華な節句飾りです。実際に着用することができるタイプもあります。
  • 兜(かぶと)飾り
    有名な武将の兜をモチーフにしたものが多く、簡単に飾ることができます。
  • 武者人形
    鎧や兜をつけた武者姿の人形です。金太郎や桃太郎、牛若丸といった英雄をモチーフにしているものが定番です。

最近の五月飾り事情とは

五月人形と鯉のぼりはそれぞれ異なる意味があるため、できれば両方飾りたいものです。しかし、マンションやアパートで暮らす家庭が増加していることから、飾るスペースや収納場所がなかったり、そもそも鯉のぼりが禁止されているなどの事情で飾りたくても購入を断念してしまう場合もあるようです。近頃では、そのような住宅事情でも家庭で飾れるように、コンパクトサイズの鯉のぼりや五月人形も増えています。無理なく両方を取り入れて、端午の節句を存分に楽しんでほしいものです。

鯉のぼり

江戸時代に生まれた五月飾りです。当時は、武家社会の中で男の子が生まれると、家紋の入った幟(のぼり)を立ててお祝いしていました。その習慣が庶民に広まりましたが、庶民は武家のように幟を立てることが許されなかったことから、代わりに「鯉のぼり」を立てるようになったといわれています。
鯉のぼりは、「流れの激しい竜門という滝を登った鯉は、竜となり天に登っていった」という中国の故事から、鯉は竜へと出世する縁起の良い魚と考えられ、子どもの立身出世を願って上げられるようになったといわれています。また、鯉は清流だけではなく、池や沼でも生息できる強い生命力を持っていることから、子どもにどんな環境でもたくましく生きて欲しいという願いも込められています。

 歴史 

なんと!5月5日は田植えする女性たちのお祭りだった⁉︎

端午の節句は、奈良時代に中国から日本へ伝わった行事です。日本では元々田植えの時期である5月に、稲の豊作をお祈りするために早乙女(さおとめ)という田植えをする若い女性が不浄を避けるために小屋や神社にこもり、穢れを祓い身を清める「五月忌み(さつきいみ)」という習慣がありました。このことから、日本の端午の節句は本来、女性の厄払いの日であったといえます。一方、中国では端午の節句に「菖蒲(しょうぶ)」や「よもぎ」を軒に吊るして邪気払いをしたり、菖蒲酒(あやめしゅ)を作って飲んだり、菖蒲湯に入ったりすることで無病息災を願っていたそうです。この風習が日本へ伝わり、「五月忌み」の風習と結びついて日本でも端午の節句に菖蒲が用いられるようになりました。
やがて江戸時代に入ると、端午の節句は公的な行事として定められるようになりました。また、菖蒲(しょうぶ)の音が、武を尊ぶ意味を持つ「尚武」と同じであることから、「尚武の節句」として武家の間で男の子の厄除けや立身出世、一族の繁栄を願う大事な行事とされ、男の子の節句として現代へ受け継がれるようになりました。

2. 初節句

赤ちゃんが生まれて初めて迎える節句のことを「初節句」といい、一生に一度の特別なお祝いの日です。赤ちゃんの健やかな成長を願い、両家の家族や親戚を招いてお食事会を開くのが一般的です。4月に誕生した新生児の場合は、母子共に体調も定まらず行事をするには負担をかけてしまうこともありますので、翌年に初節句としてお祝いをしても問題なありません。家族団らんでごちそうを囲んだり、写真などを撮って大切な思い出を作りましょう。

五月飾りはいつ、誰が準備するの?

五月飾りは、3月頃から準備をするのがよいです。誰が用意するかについての決まりは特にありませんが、母方の実家が用意するのが昔ながらの風習でした。これは、母方の両親が嫁いだ娘や孫の姿の見たさに、五月飾りを用意して訪ねていたことにちなんだものです。やがて時代とともにその習わしは薄れ、現代では両家で折半をして購入する場合や親自身で購入する場合も多いようです。父方の親が用意するなど地域によって異なる風習もあるので、その確認も含めて家族でしっかり話し合って決めましょう。4月上旬から節句の日の1〜2週間前までに飾り始めるのが一般的で、家族が集まる場所に飾るのが良いとされています。また五月人形を直前や前日に飾ることは、「一夜飾り」といって縁起が悪いとされていますので避けるようにしましょう。

しまう時期は?

雛人形と違い、五月飾りには特に決まりはありません。端午の節句が終わり次第しまっても大丈夫ですが、5月中旬頃に片付ける家庭が多いようです。
五月人形はインテリアやコレクションとして一年中飾る方も多いですが、人形は湿気に弱いため6月頃まで飾っていると梅雨の湿度で傷んでしまうこともあります。遅くても5月末までには収納することをおすすめします。
鯉のぼりは、外でついた汚れを十分に落として乾かす必要がありますので、5月中旬までのまだ湿気の少なく天気の良い日に片付けると長持ちします。

3. 行事食

端午の節句では、ちまきと柏餅が代表的な行事食です。ちまきは主に関西中心で、柏餅は関東中心で食べられています。

ちまき

ちまきを食べる風習は、奈良時代に中国から当時の都であった奈良に伝わり、そこから関西に広がり、平安時代には宮中で厄除けのために食べられており、当時のちまきを包む糸の5色(赤・青・黄・白・黒)には、魔除けの意味が込められていました。これは鯉のぼりの吹き流しの色にもなっています。
関東でのちまきは、おこわを竹皮で巻いて三角の形に包んだ「中華ちまき」が一般的ですが、関西地方で端午の節句に食べられているちまきは、甘い細長い団子を笹の葉で包んだ和菓子のことをいいます。

柏餅

江戸時代、江戸で生まれた行事食です。柏の葉は、新芽が出てくるまで葉が落ちないことから、子供が生まれるまで親は死なずに家系が途切れない、という子孫繁栄の象徴と考えられ、縁起の良い和菓子として食べられるようになりました。

ほかにもこんなモノが
食べられています!

ちまきや柏餅以外にも、縁起物として食べられている食材や地方で食べられている料理をご紹介します。ぜひ、端午の節句のご馳走に取り入れてみたり、食卓での話題にしてみてください。

  • たけのこ
    端午の節句の頃に旬を迎える食材で、成長が早くまっすぐに育つことから、成長への願いが込められています。
  • 鰹(かつお)や出世魚
    “勝男”との語呂合わせによる鰹や、成長とともに名前が変わる出世魚であるスズキやブリは縁起が良いとされ、出世を願って食べられるようになりました。
  • 朴葉(ほおば)巻(木曽地域)
    朴(ほお)の大きな葉にお餅を巻いた、朴の若葉の香りが特徴的なお菓子です。木曽地域には柏の木がないことから、代わりに朴の葉を用いた朴葉巻が作られるようになったそうです。また、木曽地域の端午の節句は、ひと月遅れの6月5日に行います。
  • あくまき(鹿児島)
    もち米を木や竹を燃やした灰から灰汁(あく)をとり、その灰汁で漬けた竹皮に包んだもち米を灰汁水で煮込んで作られる餅菓子のことで、“ちまき”とも呼ばれています。

作って遊ぼう!

お子さまと一緒に、手軽に準備できる工作や
ホットプレートでのクッキングで楽しい思い出を作りませんか?

親子でこどもの日を楽しむ、おうち遊びアイデア

端午の節句の歌を聴いてみよう!

端午の節句は、男の子を持つ親御さんにとっては可愛い我が子の大事なイベントのひとつです。実は、知っていたようで知らなかった五月飾りのことや食べ物の意味などを、端午の節句の機会にお子さまと一緒におさらいしたり、教えたりして行事を楽しむのも良いですね。こうしてお子さまが成長し、父親になった時にもこの伝統がお孫さまにも受け継がれることでしょう。