結婚の内祝い・お返し

引き出物と内祝いの違いって?

結婚式当日にお祝いいただく方には、引き出物として「寿」「御礼」の熨斗紙(のしがみ)のお礼をお渡しできますが、お祝いだけをいただいた方には、「内祝」という表書きのお礼の品を、式から一ヶ月以内に贈るようにします。
内祝いとは、もともと「きわめて親しい人を招き行う略式の祝事。またはそれに代わる贈り物」という意味を持ち、内祝いの「内」とは、「身内」のことを指します。出産祝いのお返しなども「内祝」と呼びます。結婚の内祝いは披露宴に招待できなかった方や、出席できなかった方から結婚祝いをいただいた際に、お返しとしてお礼の品を贈ることを意味します。

CONTENTS
1. 内祝いの準備
2. お礼のマナー
3. 贈るタイミング
4. 内祝いの相場
5. 贈らなくて良い場合
6. 贈り物選び

1. 内祝いの準備

結婚祝いは、挙式や披露宴の招待客以外にも、いろいろな方からいただくものです。内祝いを贈り忘れたり、重複することがないように、贈答リストを作っておくと便利です。贈り主、住所、いただいた金額や品物などを記録しておくと、内祝いをスムーズに準備することができます。また、贈ったものを控えておくと、今後のお付合いにも役立ちます。

 歴史 

「幸せのおすそ分け」から、「お祝いへのお返し」へ

かつて、結婚の内祝いは、結婚の報告をかねて、身内やお世話になった方に贈り物をすることで、喜びや幸せを分かち合うものとされていました。そのため、お祝いをいただいた、いただかないに関わらず内祝いを贈ることが習慣だったようです。
また、かつての村社会においては、出産、婚礼、年祝いなどは個人の問題としてすますことはできず、共同体のひとりとして、ともに喜び、ともに祝うという習慣からうまれてきたとされています。その後、時代の変化によって内祝を個々の家の中だけですます傾向が強くなり、結婚したり出産したりすると、親戚や友人、近所の人たちを自宅に招いて祝宴を開いていました。この時は、お披露目をするという意味であり、お祝いの金品をいただいたかどうかは関係ありませんでした。時代の変化とともに自宅に招く習慣も少しずつ消え、祝宴に招く代わりに贈り物で代用する習わしが主流となり、「幸せのおすそ分け」として感謝の気持ちを表すために贈るものとされていました。しかし最近では、お祝いを頂いていない相手に内祝を贈ってしまうと、相手にご祝儀を催促されたように受け取られてしまう場合もあるため、内祝いはお祝いを頂いた方に贈る「お祝いへのお返し」として贈ることが通常です。

2. お礼のマナー

お礼の連絡

結婚祝いをいただいたら、できるだけ早く連絡してお礼を伝えるのがマナーです。直接会っていただいた時は、その場でお礼を伝えましょう。お礼を伝える手段として、メールは相手によっては失礼だと思われることもありますので、年配や目上の方には電話で、友人にはメールやLINEなどで連絡をするなど相手に合わせて使い分けましょう。

お礼状

結婚祝いのお礼の連絡は、電話やメールに加えて「お礼状」で感謝の気持ちをつづるのがマナーです。結婚祝いをいただいてから結婚式まで期間がだいぶある場合は、まずはお礼状を先に出して、内祝いは後日にお贈りすることを伝えておくと良いでしょう。結婚祝いをいただいてから結婚式までの期間が短い場合は、内祝いの品物にお礼を同梱してもかまいません。
また、内祝いの品を購入した店舗から直接送る場合、お礼状を同梱できないときは、品物よりもお礼状が先に届くように送り、内祝いを別送したことも伝えると良いでしょう。
披露宴に招待できなかったり欠席されたりした方へのお礼状には、結婚式の写真を添えると喜ばれます。

【お礼状の構成】

  • 頭語(とうご)
  • 時候の挨拶
  • いただいたお祝いへのお礼
  • 内祝いを贈ったことについて
  • 新生活の近況報告やこれからの抱負
  • 今後のお付合いやご指導のお願いなど
  • 結語(けつご)
  • 日付・新居の住所・連絡先
  • 新郎新婦の名前(旧姓も添える)

【お礼状の文例】

  • 謹啓 晩秋の候(時候のあいさつは、季節に合ったものを調べてお使いください)
  • ○○様におかれましては お変わりなくご健勝のこととお喜び申し上げます
  • この度は 私たちの結婚に際し素晴らしいお祝いを賜り 誠に有難うございました
  • ささやかではございますが 内祝いのしるしに心ばかりの品をお贈りしますのでお納めください
  • 新居への引っ越しもようやく落ち着き 不慣れながらも新生活をスタートさせました
  • 未熟ではありますが二人で力を合わせて笑顔の絶えない家庭を築いていきたいと思いますので今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます末筆ながら季節の変わり目ですのでどうぞご自愛ください
  • 敬白
  • 〇月△日
    (新居の住所)
  • 新郎姓名
    新婦名前 (旧姓〇〇) 
    ※句読点は、「区切り」となり縁起が悪いため避けます。

ここがポイント

お礼状は、お祝いをしてくださった方のおかげで幸せに暮らしている様子をお伝えする手紙なので、「切れる・離れる・別れる」など、婚姻生活において縁起が悪い「忌み言葉」を使わないようにしましょう。また「近々・いよいよ・返すがえす・再び」などの重ね言葉は、再婚を連想させるので避けましょう。さらに、「区切りをつけないように」との意味を込めて、句読点はつけないでください。空白や改行で文章を区切って、読みやすいように工夫しましょう。

3. 贈るタイミング

結婚内祝いは、お祝いをいただいてから1ヶ月以内に贈るのが基本です。
通常、お祝いは結婚式の前後にいただくことが多いため、結婚式を挙げる場合は挙式後1ヶ月以内を目安に贈ります。結婚式後に受け取ったり、結婚式を挙げなかった場合は、いただいた日から1ヶ月以内を目安に内祝いを手配しましょう。内祝いを贈るのが遅くなってしまうと失礼になるので、注意しましょう。

4. 内祝いの相場

内祝いの相場は、いただいた金額の半額(半返し)〜三分の一程度のお返しが相場です。友人や職場の後輩など年下からいただいた場合は、半返し、おじやおばなどの年上の親戚には、三分の一程度の金額が相場です。他にも、目上の方から高額のお祝いをいただいた場合は、半返しするとかえって失礼にあたることもありますので、三分の一程度でお返しすると良いでしょう。相手の方との関係性によって内祝いの金額が変わるため、迷った時は夫婦で相談して決めましょう。お返しの金額の目安を知るために、いただいた品物のおおよその値段を調べておくことも忘れずに。

【その他の場合】

披露宴に招けなかった方へのお祝い返し

披露宴に招けなかった方からお祝いをもらった場合も、挙式後1ヶ月以内にお祝い返しをします。
金額は、お祝いの半額より少々多めを目安にしましょう。お祝い品の結び切りは、紅白の結び切りとし、表書きは「寿」で。名前を書いて手渡し、託送の場合は礼状を添えます。

媒酌人へのお礼

媒酌人を依頼した場合は、両家の両親がそろってお礼を行います。
本来は、挙式の翌日などにあらためて出向くのが正式ですが、媒酌人や両家が遠方の場合は、披露宴がお開きになった後でも良いです。金額は結納金の1〜2割と言われています。媒酌人との関係なども考慮し、両家で十分検討して折半することが多いです。

お返しのない「片祝い」は縁起が悪い!?

ご両親や祖父母など近い身内から「お返しは不要」と高額のお祝いをいただくこともあるでしょう。結婚祝いの場合、お返しがないのは「片祝い」といわれ、縁起が良くないとされています。その場合は、いただいた金額の3分の1程度のお返し、もしくはお返しはしなくてもお礼状で感謝の気持ちを伝えることをおすすめします。

5. 贈らなくても良い場合

結婚祝いをいただいても、内祝いを贈らなくて良い場合があります。それは、結婚式で引出物を渡した時です。結婚式でのおもてなしが結婚祝いに対するお返しとなるからです。また、会社の制度として結婚祝いをいただいた場合も、福利厚生とみなされるため、基本的にはお返しは不要です。いただいた金額が少額だった場合も、さらに少額の内祝いを贈ると、かえって気を遣わせてしまうかもしれません。気軽な気持ちでお祝いをくださった場合は、内祝いを贈らないというのもひとつの考え方です。

6. 贈り物選び

内祝いは、受け取った方に喜んでもらえそうなギフトを選びましょう。家族構成やライフスタイルを考えたうえで、気軽に使えるものや食べやすいものを選ぶことがポイントです。特に、スイーツ、調味料、飲み物といった食品類や、洗剤、タオル等のような消耗品は人気が高く喜ばれやすいです。消耗品は喜ばれやすい反面、あまりにも普段使いの洗剤などは失礼にあたるという考え方もありますので、ちょっと良いものを選ぶと無難でしょう。お子様がいる家庭には、家族で使える日用雑貨やお子様が喜びそうなキャラクターデザインのギフト(好き好きがあるため、要確認)も良いでしょう。ギフト選びに迷ったときは、「カタログギフト」を選ぶのもおすすめです。豊富な商品の中から好きなものを選んでもらえるため、相手を困らせることがありませんし、贈る側にもギフト選びの時間を短縮できるといったメリットがあります。

避けたほうがいいものって?

内祝いにも、避けた方が良いものがいくつか存在します。それは、「切る」を連想させる包丁やハサミ、「割れる」陶器やガラス製品、2や4など割り切れる数のセットもの、お別れをイメージさせるハンカチ、「苦」や「死」を連想させる櫛、弔事で使われる印象が強い日本茶などが縁起の悪いものとされていますので、注意して選ぶと良いでしょう。
そのほかに、現金を贈るのもマナー違反ですので、必ず品物でお返しするようにしてください。

内祝いの意味(合い)は、時代によって変わっていきますが、いつの時代も真心を贈ることには変わりはないでしょう。単にお祝いをいただいたから、形式的に贈るのではなく、マナーを重んじながら相手の喜びそうなものを感謝を込めて贈れば、気持ちが伝わり、本来の意味である「幸せのおすそ分け」となるでしょう。