仲人

仲人って何をする人なの?

「仲人(なこうど)」や「媒酌人(ばいしゃくにん)」という言葉は知っている方も多いでしょう。しかし、仲人と媒酌人の違いや、何をしてもらうのかなど、詳しく知る方は少ないようです。最近では仲人を依頼することも少なくなり、媒酌人を立てる挙式も見かけなくなりましたが、仲人を依頼するメリットもあると言われています。仲人について少しだけ詳しくご紹介します。

CONTENTS
1. 仲人ってどんな役割をするの?
2. 仲人の選び方
3. 仲人の頼み方
4. 仲人へのお礼

1. 仲人ってどんな役割をするの?

本人同士の意志ではなく、仲介という形をとるとき、結婚における仲人の存在はとても重要です。
仲人には、お相手選びから結婚全般に係る場合と、婚礼の儀式のみをつかさどる者が別にいる場合と二通りがあり、儀式をつかさどる仲人には地域の有力者や本家の方、経済力のある方などが選ばれました。
仲人のいる結婚式は「正式」とみなされ、仲人は、その結婚が社会的なお墨付きを得るために必要な存在でした。仲人は新婚夫婦とその後も一種の親子関係を結び、子供の誕生、初節句、七五三などの祝い事にも加わり、新しい家族を指導・後見する役割が期待されました。
家と家ではなく、本人同士の意志による結婚が増えた昭和後期から平成になるころから仲人の存在は急速に減少しました。現在は地域によりますが、1~3%程度にとどまるといわれています。
家と家、ではなく、個人と個人の愛情による関係が重要視されるようになると、間を取り持つ仲人の意味は薄れてしまいました。しかし、両家の間の意見の食い違いやトラブルが起きた場合には、仲人が間に入り調整を行うなど心強い存在。夫婦の悩みや困りごとを気軽に相談できる第三者として、冷静な意見や、結婚生活の先輩としてのアドバイスがもらえるなど、大きなメリットがあります。

2. 仲人の選び方

誰を仲人に選ぶのが適当か。特に決まりや条件、資格のようなものはありません。これまで判断基準となっていたのは「尊敬できる目上の夫婦(円満な)」ですが、現在ではそのあたりもあいまいになって、独身の方お一人でも夫婦ではない二人であっても、問題はありません。新郎側の関係者という縛りもありません。
しかし、ならば友達でもいいのでは、ということではなく、仲人として立てるのなら両家の親御さんの納得のいく方を慎重に選び、お願いするのがよいでしょう。 

〈仲人・立会人・媒酌人の名称の区分〉

3. 仲人の頼み方

仲人がその結婚にどのようにかかわっているかで異なりますが、
挙式・披露宴当日のみの仲人(いわゆる「頼まれ仲人」の場合、普段からお付き合いがある上司や恩師であっても、お願いするときは結婚式の3カ月前までに依頼するのが常識的です。
当事者やその家族、参列者のスケジュールを優先されがちですが、本来は、仲人さんの都合を聞いてから
式や結納の日取りを決めるのが好ましいでしょう。

4. 仲人へのお礼

仲人へのお礼は、結納金の1割程度といわれています。結納金は、かつては50万円前後でしたが、最近の相場は100万円。その1割で10万円、仮に結納金が50万円だったとしても、10万円というのが妥当な額といわれています。
そのほかに交通費(御車代)、使ったと思われる実費、祝い膳なしの時は酒肴料(御酒肴料)も加えます。交通費は近距離なら実費の2倍、遠距離なら5割増しがおおよその目安となります。
御酒肴料は仲人夫妻2人分ということで、2~3万円が相場となります。
祝儀袋の表書きは「寿」または「御礼」。結納の翌日などに、両家の代表が仲人宅に伺い、
菓子折りなど(5,000円~1万円程度)を添えて差し上げます。

仲人を頼まれたら

「仲人は草鞋(わらじ)千足」といわれ、結婚の当事者、両家のため、縁談を上手にまとめるために
奔走する役回りでした。現代ではそれほどではありませんが、「仲人」は、結婚式よりも前から、二人のお世話をする役割があり、重要な役回りです。

【仲人の主な役割】

  • 人脈を活かし縁談を紹介し、お見合いの段取りや取り仕切り
  • 縁談がまとまったら、婚約・結納の世話
  • 結婚式当日には結婚の証人となる「媒酌人」としての役割も

ただ、現代では恋愛結婚の割合が多く、お見合いから「仲人」を頼まれるケースは多くありません。結納をするのであれば、結納の世話役からスタート。結納がないのであれば、ほぼ結婚式当日の媒酌人の役割のみになります。

 歴史 

仲人の歴史は古墳時代、日本書紀の記述の中で仁徳天皇の妃を決める「仲立ち」が「仲人」を意味するものであったとの説がありますが、一般には鎌倉時代に現在に近い形ができたといわれています。結婚は家と家の結びつきという考え方が強くなり、両家を結び付ける存在として仲人の役割が重要になりました。
江戸時代には「肝煎業(きもいりぎょう)」、明治時代には「高砂業(たかさごぎょう)」、「媒人(ばいにん)」と呼ばれ方は変化しましたが、役割は大きく変わることはありませんでした。江戸時代には職業的な仲人も誕生しました。
仲人が事業として確立するのは、一夫一婦制が布かれた明治期のことで、1880年(明治13年)に山口吉兵衛が開いた「養子女婿嫁妻妾縁組中媒取扱所」(大阪)がはじまりといわれています。現在の結婚相談所、マッチングの元祖、といえるでしょう。

仲人って
媒酌人のことですか?

仲人は縁談から結婚式、あるいはその後の生活まで関わりをもつ存在。
それに対して、媒酌人はあくまで挙式と披露宴の立会人です。仲人がいる場合には媒酌人を別に立てる必要はありません。また、仲人を立てていない場合でも、新郎新婦、家同士の意向によって立会人、媒酌人をお願いすることがあります。

仲人は結婚の格調を高め、新郎新婦両者の家族も含めて、その間に入り、しっかりと地固めをしていく存在です。仲人は中国の縁結びの神「月下老人」と「氷人」を合わせた言葉である「月下氷人」と呼ばれることもあります。良縁を取り持つ役割を期待されてのことでしょう。