大晦日

大晦日ってどんな日?

その年を締めくくる最後の日、12月31日を大晦日といいます。明治の初頭まで暦として使われていた太陰暦では、各月の最終日を「晦日(みそか・つごもり・かいじつ)」と呼んでいました。「晦(つごもり)」は月が隠れる日を意味し、「月隠(つきごもり)」が訛ったものといわれています。月の最終日の中でも1年の最終日でもある12月31日を大晦日(おおみそか)あるいは大晦(おおつごもり)と呼びます。

CONTENTS
1. 大晦日にすること・行事
2. 年越しそば
3. 大晦日の行事食

1. 大晦日にすること・行事

新しい年を迎える準備を終えてゆったりとした気持ちで1年を振り返る。大晦日はそんな過ごし方をしたいものですが、実際には、掃除のやり残しやおせち料理の準備などであわただしく過ごすという方も多いのではないでしょうか。各ご家庭によって、さまざまな習慣がありますが、ここでは、昔からある伝統的な大晦日の過ごし方をご紹介します。

掃き納め

その年の最後にする掃除を「掃き納め(はきおさめ)」といいます。大掃除は12月28日頃までに終わらせておく、というのが望ましいスケジュールなので、この日のお掃除は軽い掃き掃除にとどめましょう。また、元日に掃除をすると、お迎えした年神様を追い返す行為となってしまうので、掃除をしない習わしがあります。

年越しそばを食べる

「細く長く生きる」といって、江戸時代頃から大晦日にそばを食べる習慣ができました。おそばの麺は切れやすいことから、1年の災厄や苦労を断ち切る、といった意味でも食されるようになりました。食べるタイミングは特に決まりはありませんが、年が明ける前には食べ終えましょう。

除夜の鐘をつく・聞く

新年へのカウントダウンのような除夜の鐘。大晦日の夜は除夜の鐘の音を聞いて厳かな気分を味わいたいものです。お寺によっては参拝客に鐘を突かせてくれるところもあるので、1度体験してみてはいかがでしょうか。

年の湯

大晦日の夜にお風呂に入ることを「年の湯」と呼びます。1年の汚れや厄を落とすといういわれがあり、入浴が日々の習慣ではなかった時代には、普段とは違う行いとして行事化されていました。年の湯で体を清めたら、元日の日中の入浴は避けましょう。元日には年神様から福を授かるので、お風呂で洗い流してしまわないようにという意味があります。

除夜の鐘108回の豆知識

1年の本当に最後の行事といえるのが除夜の鐘です。テレビやラジオで聞く方、ご近所のお寺から聞こえてくる鐘の音に耳を澄ます方、初詣にでかけて実際に鐘をつく方、過ごし方は異なりますが、古い年が去り、新しい年を迎える心持は、普段の生活では得られないものです。除夜の鐘は108回つかれますが、これは仏教の思想に基づく百八煩悩を意味しています。仏教では、人は「眼(げん)、耳(に)、鼻(び)、舌(ぜつ)、身(しん)」の五感と、第六感がはたらく「意(い)」という心の感覚を持っていると考えられています。これを含め六根(ろっこん)といいます。それぞれの感覚にこれらは「好(良)、悪、平」のという3つの受け取られ方があり、さらに「浄(きれい)、染(きたない)」の2つに分けられます。すべて掛け合わせた数が、6×3×2=36となります。そして、これらの人の営みが「前世・今世・来世」という3つの時間軸に分けられて36×3=108という計算になります。これが108の煩悩の内訳です。このほか、「四苦八苦」を計算すると4×9と8×9を足した36+72=108とか、「二十四節気」と「七十二候」にちなみ、24+72に月の数を足して108とする説もあります。108回のうち最後の1回は年が明けてからつくといいます。新しい1年が煩悩に惑わされないように、という意味が込められているそうです。

2. 年越しそば

年越しそばは、江戸時代から定着した食習慣で、現代も年越しそばをいただくご家庭や人が一般的です。
年越しの行事を総じて「年取り」や「お年取り」ということから、「年(歳)取りそば」ともいわれます。1年の終わりになぜおそばを食べるかというと諸説あります。その意味合いは複数あり、呼び名も「寿命そば」「運気そば」「福そば」「縁切りそば」など地域によって異なります。食べ方にも地域性があり、例えば福井県なら越前そば、岩手県ではわんこそば、沖縄では沖縄そば、京都や大阪ではにしんそばを年越しに食べるようです。また、うどん県で知られる香川県のように、年越しうどんを食べる地域もあります。

そばは細く長くのびる説 

寿命を延ばす、家運を伸ばす、という思いを込めて食べる。

苦労を断ち切る説

切れやすいことから、一年の苦労や厄災、あるいは借金などの悪い流れを断ち切るという意味で食べる。

細工師の縁起かつぎ説

金箔を使う細工師は、飛び散った金粉を集める時に練ったそば粉を用いたとか。そこから「そばは金を集める」という意味で食べる。

一方、そばは健康維持にもってこいの食べ物であるといわれます。体内では合成されない良質のたんぱく質に富み、その質を示すたんぱく価では、お米65に対し、そばは92で卵100に肩を並べます。ビタミン類もたっぷり含まれており、無病息災につながる食べ物といえます。

 歴史 

年神様がやってくる

日没が1日の境と考えられていた時代では、新年は大晦日の日暮れから始まると考えられていました。そのため、お正月にやってくる新年の神様である「年神様(としがみさま)」をお迎えするために大晦日は寝ずに年神様を待つという習わしがあります。大晦日の行事の歴史は古く、平安時代ごろまで遡ります。大晦日は年神様を祀るための準備をする日でした。年神様は、稲の豊作をもたらすとされ、食べるものに不自由することなく暮らせるようにと崇められ、大切にされてきました。やがて仏教が浸透するとともに除夜の鐘など寺で行われる新たな習慣も加わりました。同じく江戸時代、町人は大晦日になると借金の返済に奔走していました。年内に借金を返してしまい、新年を新しく晴れやかな心持で迎えたいという人々が考えたからでしょう。大晦日があわただしくなったのはこのころからかも知れません。

3. 大晦日の行事食

大晦日の行事食は年越しそばのほかに、年取りの魚があります。かぞえ年は、元旦に年を取りますが、夜が一日の始まりとされていた旧暦では、大晦日の夕方を「年取り」と呼んでいました。年取りを祝う文化が残っている地域では、大晦日に「年取りのおかず」といって、ご馳走を用意します。さらに、縁起のいい鮭やブリを年取りの魚として食べます。

大晦日にやってはいけないこと

師走の忙しさを大晦日まで引きずるのは、お正月を迎えるにあたって心の準備不足になってしまいます。大掃除を大晦日にとっておく人もいますが、12月28日頃までに済ませておいたほうがよいでしょう。なお29日は音が「二重苦」と重なるので避けます。掃除はともかく、大晦日には伝統的に「やってはいけないこと」があります。

正月飾りを飾る

正月飾り(門松/しめ縄/鏡餅など)は、本来は12月28日までに飾り付けを済ませるか、30日に準備しておきましょう。大晦日に準備するのは、「一夜飾り」といって、葬儀と同じになってしまうので、年神様に失礼だとされています。もちろん慌てて準備をすることが一番礼を欠いていることになるでしょう。

餅つき

餅つきも避けるべきといわれています。31日についた餅は「一夜餅」と呼ばれ、これも正月飾りと同様、葬儀と同じ「一夜飾り」の意味をもってしまいます。また、29日の餅つきは「二重苦」や「苦餅・苦持ち」といわれ、これも避けた方がよいとされています。一方で、29は「福」に通じるので、「福餅」として餅つきを29日にする地域もあるそうです。

台所で長時間火を使う

台所で、長時間火を使う(料理をする)とは、火の神様に対して失礼な行為とする考え方があります。また、煮物料理の灰汁(あく)が「悪」を思い起こさせ、煮物や汁物を作るのは、大晦日にふさわしくありません。おせち料理を自宅でつくる場合は、30日までに済ませておき、できれば大晦日は簡単なものを作るにとどめましょう。ガスコンロや流しは念入りに掃除し、清潔な状態で新年を迎えましょう。もちろん年越しそばは、大切な行事食なのでここには含まれません。

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お正月飾りはお子様と一緒に、つくる!

身近な材料でお正月飾りづくり〜「牛乳パック赤べこ」と「おめでた紙皿リース」

1年も大詰めを迎える大晦日。今年を振り返り、来年に備える余裕が持てると、次の1年はきっといい年になるでしょう。悪いことがあった年も、新年を迎えることで気分をリセットできる。その意味では大晦日の「年忘れ」は私たちの心のためにとても大切な行為かもしれません。いいことは引き続き、悪いことは忘れて、すっきりした気分でお正月を迎えましょう。