成人式

成人式にはどんな意味があるの?

成人式とは、学術用語で「成年式」と言い、時代や国、社会によって成人年齢は異なり、やり方も様々です。現代の日本において一般的に知られている、自治体が新成人を招いて行う成人式は戦後になって普及しました。最初に行ったのは埼玉県蕨市だと言われていますが、名古屋でも戦前に行われていたことが明らかにされています。
戦後直後の成人式は、終戦後の混乱と虚脱感を払拭するべく、祖国再建の先駆者として「自覚をもって行動すべき」という意味を込めて、若者を激励し前途を祝すために行われました。では現代の成人式にはどんな意味が込められ、何をするのでしょうか。成人式の意味や服装などもあわせて紹介します。

CONTENTS
1. 成人式とは
2. 成人式に何をするの?
3. 成人式の服装

1. 成人式とは

1月の第二月曜日(祝日)に行う成人式は、一生に一度の晴れの日で、人生において重要な節目となります。成人式は主に自治体が新成人を招いて行い、大人として社会的公認を得る通過儀礼となっています。ちなみに成人とは、明治時代から約140年間、20歳と法律で定められていましたが、2022年の4月から、法律が改正され、現在は18歳が成人年齢となっています。同年の改正に伴い、女性の婚姻可能年齢は16歳から18歳に引き上げられました。また、成人式の実施年齢や実施時期は自治体により異なっています。
成人年齢に達すると法律上の権利や義務が生じます。公職選挙法に基づく選挙権を取得し、民法上の婚姻の自由や取引の自由が発生します。
また成人式は生活者としての自覚を促す機会で、成人式を行うことによって一人前の主体性を確立するためのきっかけになると言われています。
つまり現代の成人式は、成人になったことによって生じる法律上の権利や義務だけでなく、社会人としての自覚と自立を促すことも含めて行われています。
ただし未成年者飲酒喫煙禁止法は変わりませんので、20歳まではタバコや飲酒は禁止となっています。

 歴史 

元服→青年祭→成人式

成人式は元々奈良時代にあった「元服(げんぷく)」が由来とされています。現代では成人式は文字通り、新成人を祝う儀式となっていますが、奈良時代の元服は11歳から16歳の間に行われました。
その後、「青年祭(せいねんさい)」と呼ばれる成人を対象にした儀礼が終戦の翌年である1946年に行われ、それが時間の経過とともに現代の成人式に変化していきました。

2. 成人式に何をするの?

成人式が新成人をお祝いするための儀礼であることは紹介しましたが、それでは具体的にどんな式典となるのでしょうか。成人式の流れを紹介します。

①案内状が届く
新成人を対象に、行政が成人式の案内状を送付します。自治体によりますが、毎年11月から12月中旬までに届きます。案内状には成人式の日付や場所が記されています。

②開式宣言
案内状には式典の流れが明記されていることもありますが、成人式の多くが最初に開式を宣言します。

③自治体の首長によるお祝いの言葉・式辞
自治体の首長(ここでは市長や区長、町長、村長など)から新成人に対してお祝いの言葉が送られます。

④来賓(都道府県議会議員や、出身著名人など)による祝辞
首長の次は都道府県議会議員や、その自治体出身である著名人、新成人が通った学校の教師などから祝辞が述べられます。当日、式に参加できなかった方からの祝辞は、動画でメッセージが届いたり、電報が代読されます。

⑤新成人代表者のスピーチ・成人の誓い
新成人を代表して、選ばれた方から新成人となったことについての誓いや抱負が述べられます。

⑥閉式
司会者が閉式を宣言して成人式は終わりです。

ユニークな成人式

東京ディズニーリゾートのある千葉県浦安市が行う成人式は、なんとディズニーリゾートで行われます。ショーなども見ることができるため、一生忘れられない思い出になるでしょう。またこのような取り組みは他の自治体でも行われています。例えば千葉県鴨川市は、鴨川シーワールドで成人式を行うことで有名です。
その他に沖縄県の石垣島では、島全体で成人をお祝いすることで知られています。人口が多くない上に、新成人の数も限られているため、島民の皆さんでお祝いするのでしょう。

3. 成人式の服装

成人式の服装に特別な決まりはありませんが、成人式当日の街なかでは振袖や羽織袴を着ている方々を見かけます。振り袖や羽織袴が多用されている理由なども紹介します。

振袖

1月に振袖を着ている女性を見かけると成人式を思い浮かべますが、振袖は未婚女性が着る着物の中で最も格式が高いものとされています。それが振袖が多用されている理由です。
振袖は、袖が長いため、日常生活には不向きです。その結果、成人式のように特別な日の晴れ着として着用されるようになっていきました。振袖は明治時代以降に未婚女性の第一正装として浸透したといわれています。

羽織袴

江戸時代、羽織袴は武家の略礼装でした。それが、次第に庶民の最礼装として定着していきました。そして明治時代に正式に礼服として採用された結果、羽織袴が成人式の正装となりました。

その他の服装

振袖や羽織袴を所有している方は決して多くありません。また用意するとなるとその分の費用がかかります。この費用は購入費用やレンタル代だけでなく、着付け代、ヘアセット代なども含まれるため、少なくない出費となります。
その結果、現代の成人式では男性はスーツ、女性はスーツやワンピースを着用して成人式に参加する場面も増えました。

人生1回だけの
映え写真を

振袖や羽織袴を着る数少ないチャンスだからこそ、大事にしたいのが写真撮影。成人式は一生に一度しか行われません。つまり振袖や羽織袴を着る機会も非常に貴重と言えます。そんな数少ないチャンスだからこそ、思い出を残しておくという意味も兼ねて、晴れ着姿で友人たちと写真や動画を残したり、前撮りなどの写真撮影は忘れないようにしたいですね。

成人式の前身が戦後に行われた青年祭だったことは紹介しましたが、お伝えしたように青年祭は、成人を対象に、終戦直後の日本全体を包んだ停滞感を拭うために行われました。
そこには「良い国家を作っていくために国民自身が成長していかなくてはならない」、そのためには「こどもから大人になることの自覚を持って欲しい」ということを願ったに違いありません。
このような背景があるからこそ「国民全員で新成人をお祝いしよう。新成人の心身の成長を願おう」という意味を込めて成人の日が祝日となったのかもしれません。
成人の日がどのような成り立ちで現在に至っているのか、また成人の日に込められた先人の想いを知ることが、成人として最初の一歩かもしれません。