年忌法要
【一周忌以降の法要】
年忌法要の意味や流れ、マナーは?
年忌法要とは、亡くなった人の命日に行われる法要のことです。一般的には、家族や親族が集まって、故人の霊前に供え物を捧げ、仏壇で読経を行います。また、お香やろうそくを焚いたり、線香を立てたりすることもあります。
年忌法要は、故人を偲ぶ場としてだけでなく、故人の冥福を祈る意味合いもあります。また、故人の生前にされた功徳を追悼し、その功徳に感謝することも忘れてはなりません。
年忌法要の日程は、故人が亡くなった日を起算して行います。一般的には、没後1年の祥月命日に一周忌、その後は死亡した年を1年目として数え、一周忌の翌年に三回忌(2年目)、6年目に七回忌と、同様の数え方で行います。
故人を偲び、冥福を祈る大切な儀式である年忌法要は、家族や親族にとって重要な行事の一つです。
CONTENTS
1.年忌法要の種類と数え方
2.年忌法要をいつまで行うか(弔い上げ)
3.年忌法要の準備やマナー
4.神道やキリスト教における年忌法要
5.参列者の服装とご供物料について
1. 年忌法要の種類と数え方
年忌法要は以下の年に行います。命日に親族などが集まりにくい際は、祥月命日よりも早めの日程に行うのがよいでしょう。
年忌法要の種類 | 行う時期 |
一周忌 | 亡くなって一年目(の祥月命日) |
三回忌 | 亡くなって二年目(以下同様) |
七回忌 | 亡くなって六年目 |
十三回忌 | 亡くなって十二年目 |
十七回忌 | 亡くなって十六年目 |
二十三回忌 | 亡くなって二十二年目 |
二十七回忌 | 亡くなって二十六年目 |
三十三回忌 | 亡くなって三十二年目 |
三十七回忌 | 亡くなって三十六年目 |
四十三回忌 | 亡くなって四十二年目 |
四十七回忌 | 亡くなって四十六年目 |
五十回忌 | 亡くなって四十九年目 |
百回忌 | 亡くなって九十九年目 |
歴史
家という観念と密接な繋がりのある年忌法要
中世末期から近世初期に家という観念が広がったことによって、お祀りするべきご先祖様を意識するようになり、その結果、年忌法要が定着していきました。中世には中国由来の十王信仰により三回忌まで行われるようになりましたが、日本では十三仏信仰が成立することで、七回忌・十三回忌・三十三回忌の3つが加わりました。その他、十七回忌や二十三回忌、二十七回忌なども行うようになりました。
年忌法要は家観念の成立とともに寺請制度の発達によって一般化されましたが、現代は当時に比べて家の観念は薄くなり、さらに寺院との結びつきも薄くなってきたため、直接的な関係のある方だけの法要を限定的に行うなど、そのあり方は徐々に変化してきています。
2.年忌法要をいつまで行うか(弔い上げ)
年忌法要をいつまで行うかについては、決まり事はないのですが、三十三回忌や五十回忌で弔い上げをすることが多くなっています。
弔い上げとは、「個別の供養を終えて先祖になる、神様になる」などのように、その方の個性が失われることとされています。
間もなく300回忌を迎える服部土芳の命日を偲ぶ土芳忌
江戸時代の俳人 松尾芭蕉の門弟の服部土芳(1657-1730 はっとりとほう)を偲んで、毎年命日の1月18日に、三重県伊賀市長田の西蓮寺の墓前で法要が行われています。この法要を本人の名前を用いて「土芳忌(とほうき)」と呼んでいます。 服部土芳は1730年に亡くなっているため、2029年には三百回忌を迎えることになります。
3. 年忌法要の準備やマナー
年忌法要を行う際に必要な準備やマナーを紹介します。
①日時場所を決める
一般に年忌法要は命日に行うものとされていますが、参列者の都合、会館など場所の都合、おつとめを依頼する僧侶の都合などを考慮しながら日程を決めて執り行うと良いでしょう。ただし、命日以外の日に行う場合は、命日よりも前に行うのが通例ですので気をつけましょう。
②参列者への出欠確認
僧侶の次は参列者に連絡し、出欠確認を取りましょう。その際は往復はがきや返信用はがきを入れた封書で案内状を送るか、関係が近い、あるいは親しい方々であれば、電話やメール等の連絡が取れる手段で確認をとっても問題はありません。
③食事の手配
次に食事の手配を行います。食事の手配は、手配先におめでたい食材を避けてもらうために、年忌法要でふるまう予定であることを伝えましょう。一人あたりの予算は3千円~7千円が多いと言われています。懐石料理がよく選ばれていますが、年忌法要にふるまう食事にこれといった決まりはありませんので、故人の好きだった料理などにしても問題はないでしょう。
④引き物の手配
法要の御仏前の目安は、葬儀の御香典の約半額と言われています。引き物(返礼品)の相場は、以前にいただいたお香典の額を参考に、御仏前の額に応じて決めるとよいでしょう。
引き物は参列者一人ひとりに対して、必ずお渡しするわけではなく、いただく御仏前に対するお返しとなります。そのため、家庭ごとで御仏前をご用意して頂いた場合は、各家庭に1つずつお渡しすることになります。もしも同一家庭で、別々の御仏前を頂いた場合は、それぞれに引き出物をお返ししましょう。引き出物(返礼品)の相場は、3千円~7千円程度と言われています。お食事同様に、故人が生前好きだったものをご用意しても良いでしょう。ただし、消耗品や食品など形の残らない、いわゆる「消え物」が適していますので、この点は考慮すると良いでしょう。
⑤年忌法要を執り行う
年忌法要を執り行います。開始時間に参列者が着席し、僧侶が入場し読経をして頂きますので、予め僧侶の座席を用意しておく必要があります。ちなみに席順ですが、故人との関係性が深い方から順番に前列に座っていただくのが通例です。年忌法要の施主は僧侶の真後ろの席に座ると良いでしょう。読経後に、僧侶の合図とともに、焼香を行います。焼香は施主から行い、席順同様に、故人と縁が深い方から順番に行います。僧侶に対するお布施等(お布施・お食事代・お車代)は、僧侶が会食に参加されるのであれば会食後、参加せず読経後そのままお帰りになるのであれば、僧侶退場とともにお渡しすると良いでしょう。ただし僧侶が会食に参加する場合は、お食事代は除きましょう。
⑥会食・お斎(おとき)
年忌法要の後は会食・お斎(おとき)です。施主に当たる方は、参列してくださった方々に対してお礼の言葉を述べていくとよいでしょう。普段お会いすることのできない、遠縁の方や友人知人ともお話をして、関係を深めつつ、故人を偲ぶと良いでしょう。
4. 神道やキリスト教における年忌法要
神道
神道では追悼儀礼を「霊祭」と呼んでいます。神式の法要にあたる「霊祭(れいさい、みたままつり、たままつり)」は死後50日までの10日ごとに行われます。一般的には、十日祭、五十日祭を行い、五十日祭を過ぎると忌明けとなります。その後100日目に行う百日祭や、年忌法要にあたる式年祭は、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭と続いていき、それ以降は10年ごとに行われ五十年祭をひと区切りとしており、弔い上げに近いものと言えるでしょう。
キリスト教
法要は故人の追善供養を目的としていますが、キリスト教にはそもそもそのような供養という概念が存在しません。ただしキリスト教には追悼行事として、カトリックの「追悼ミサ」とプロテスタントの「記念式」が仏教の法要に近いものとしてあげられます。カトリックの追悼ミサは、亡くなった日から3日目、7日目、30日目、月命日、年命日など、神父様によって行われます。プロテスタントの記念式は、亡くなって1か月目、1年目、2年目、7年目の召天記念日に牧師様による祈祷・説教や賛美歌斉唱が行われます。
5. 参列者の服装とご供物料について
法事に参列する際の服装は、喪服や略礼装、または喪服に近いもの、とされています。また、ご供物料(法事に包む現金)の金額の目安は、5千円程度(もしくは葬儀の際のお香典の約半額が目安)と言われています。